若山動物病院ブログ
猫の膀胱がうまく縮まらず膀胱炎
猫ちゃんのオシッコトラブルは、飼い主さんにとって非常に心配な問題です。
特に膀胱がうまく収縮しない場合は、膀胱炎や尿道閉塞といった命に関わる状態につながることがあります。
今回は膀胱がうまく収縮しないことが原因となり、膀胱炎から尿道閉塞を起こした猫ちゃんの症例をご紹介します。
症例紹介:元気なのにおしっこが出ない猫
「トイレの回数が減っている・・・」
「排尿姿勢をとっても、オシッコがほとんど出ない・・・」
という事での来院がありました。
驚くことに、その猫ちゃんは食欲も元気もある様子なんです。
しかし検査をしてみると、膀胱の中には大量のオシッコがたまっていました。
原因は膀胱の収縮不全
膀胱の働きは、オシッコをためるだけではありません。
オシッコをする際に収縮して、オシッコを外に押し出すという重要な働きも持っています。
この猫ちゃんの場合、その膀胱の収縮する機能がちゃんと働かずオシッコが長い時間膀胱の中に溜まってしまっていたんです。
膀胱収縮不全の原因としては、
- 過去の尿道閉塞によるもの
- 膀胱炎の慢性化
- 脊髄や神経系の障害
などが考えられます。
膀胱炎から尿道閉塞へ
膀胱内にオシッコが長時間残ると、細菌が繁殖しやすくなり膀胱炎を発症します。
さらに炎症物質や細胞片、また結晶などが尿道に流れ込むことで尿道が詰まりやすくなります。
今回の猫ちゃんもそのようなことから、尿道閉塞を引き起こしてしまいました。
元気でも安心できない理由
尿道閉塞,、つまり尿道が詰まったまま24~48時間経ってしまうと、命に関わる事態を引き起こします。
また元気で食欲があっても、オシッコが出ない状態は良くはありません。
見た目の元気さに惑わされず、異常があれば早めに動物病院を受診することが大切です。
治療内容
今回の治療は以下の流れで行いました。
1. 尿道の詰まりを取り除き、カテーテルを用いてオシッコの排出
2. 膀胱の中を洗浄し、細菌や炎症物質を除去
3. 抗菌薬と鎮痛薬の投与
4. 膀胱の収縮を助ける薬や尿道を緩める薬を使用
再発防止と日常ケア
再発予防のためには・・・
- 定期的なオシッコの検査と、膀胱の状態を確認するために超音波検査
- 水分の摂取量の確認と確保
- 尿路結石予防のためのフードの使用
- トイレ環境の清潔保持と複数のトイレの設置
が大切です。

猫のトイレの拘りって知ってる??
ウンチで汚れているトイレより、オシッコで汚れてるトイレの方がダメなんだよ!
オシッコで汚れてたら、我慢しちゃう!
まとめ
膀胱収縮不全は見過ごすと膀胱炎や尿道閉塞を繰り返し、命に関わる危険性があります。
日々の排尿行動の観察と早期対応が、猫の健康を守る最大のカギです。
猫の膀胱炎・尿道閉塞チェック表
こんな症状はありませんか?
チェック項目 | チェック | 備考 |
トイレに行く回数が増えた | ⬜︎ | 何度も入るが少量しか出ない |
排尿姿勢を長くとる | ⬜︎ | じっとして動かない時間が長い |
尿が出ていない | ⬜︎ | 全く出ない場合は緊急事態 |
血尿が見られる | ⬜︎ | 薄いピンク~鮮血まで様々 |
排尿時に鳴く | ⬜︎ | 痛みや違和感のサイン |
お腹を触ると嫌がる | ⬜︎ | 膀胱がパンパンの可能性 |
元気はあるが尿が少ない | ⬜︎ | 進行しても元気な場合あり |
食欲が落ちた | ⬜︎ | 尿毒症進行の危険サイン |
嘔吐する | ⬜︎ | 緊急度が非常に高い |