若山動物病院ブログ
2.生活習慣病と尿
ワンちゃん猫ちゃんもヒトと同じように、生活習慣病になってしまうことがあります。
つまり食生活や運動不足、加齢などが重なると、糖尿病や肥満、腎臓病といった病気につながります。
これらの病気は初期のうちは気づきにくいのですが、徐々にオシッコに変化が現れることが多いのです。
生活習慣病が尿に現れる変化について
糖尿病と尿の変化
糖尿病になると血液中の糖が増え、カラダは余分な糖をオシッコで出そうとします。
その結果、オシッコに糖が出てきます。
さらに浸透圧の影響で水分も一緒に出てしまうため、オシッコの量が増え水もいっぱい飲むようになります。
オシッコのニオイが、甘〜い感じになることもあります。
腎臓病と尿の変化
慢性腎臓病は高齢のワンちゃん猫ちゃんに多く、生活習慣病の一つといえます。
腎臓の働きが弱ってくるとオシッコを濃縮できなくなり、尿の比重が低くなってしまいます。
また尿タンパクが検出されることもあります。
これは腎臓のろ過機能の破綻を示すサインとも言えます。
飼い主さんが気づく前に、オシッコの検査で見つかる場合も多いです。
肥満と泌尿器系の変化
肥満は膀胱炎や尿石症のリスクを高めます。
活動量が少なくなると飲む水の量も減り、オシッコが濃くなります。
その結果、結晶や尿石が形成されやすく血尿や頻尿といったトラブルにつながります。
食生活と尿の関係
塩分の多い食事は高血圧だけでなく、腎臓への負担を強めます。
尿中ナトリウムの排泄が増えることもあり、慢性的な腎障害の進行を早める要因となります。
また、過剰なタンパク摂取も尿タンパクの増加につながりやすいとされています。
尿検査が果たす役割
生活習慣病は「沈黙の病気」と呼ばれるほど、気づきにくいのが特徴です。
しかしオシッコの検査では、糖、タンパク、比重、沈渣の結晶など多くのヒントが得られます。
定期的にオシッコの検査を行えば、生活習慣病の兆候をいち早くとらえることができます。
しかも食事管理や運動療法を早めに取り入れることができれば、「健康寿命」を延ばすこともできます。
そのためにオシッコの検査は、とても頼れる味方なのです。