若山動物病院ブログ
5.尿検査の数値の見方
目次
比重・糖・タンパクの意味
健康診断や体調不良のときに、尿検査を行うことがあります。
尿検査の結果を見て「尿比重」「尿糖」「尿タンパク」などの言葉が並んでいると、「これってどういう意味?」と戸惑うことも多いのではないでしょうか。
今回は、尿検査の基本的な数値の見方について分かりやすく解説します。
尿比重
尿比重とは、尿がどれくらい濃いかを表す数値です。
腎臓の「尿を濃縮する力」をチェックする指標になります。
- 正常値(犬猫):1.030前後(範囲はやや幅あり)
- 低い場合
腎臓が尿を濃くできなくなっている可能性(慢性腎臓病など)。
水をよく飲む病気(クッシング症候群、糖尿病)でも低下することがあります。 - 高い場合
脱水や下痢、嘔吐で体が水分不足のときに一時的に上がります。

尿比重は腎臓病の早期発見に特に重要な数値です。
尿糖
本来、尿には糖は含まれません。
血液中の糖があまりに高くなると腎臓からこぼれ出て、尿に混じるようになります。
- 尿糖陽性:糖尿病を疑うサイン。血糖値が高すぎると尿に糖が出ます。
- 偽陽性もある:一時的なストレスや薬剤の影響でも出ることがあるため、血液検査と合わせて判断します。

尿糖が出ている=糖尿病の可能性
ただし一回だけでは判断せず、継続的な確認が必要です。
尿タンパク
尿にタンパク質が混じっているかどうかを調べます。
本来は腎臓のフィルターで止まるはずのタンパク質が漏れていると異常です。
- 尿タンパク陽性:腎臓病、尿路感染症、炎症などで検出されることがあります。
- 持続的に陽性の場合:慢性腎臓病の進行を示す重要なサインです。

単発のタンパク尿は一過性のこともあるが、繰り返し出る場合は腎臓病を強く疑う必要があります。
そのほかのチェック項目
- 潜血(Blood)
膀胱炎や尿石症で出やすい。尿に血液が混じっているサイン。 - pH
尿の酸性やアルカリ性を示す。
結石の種類によってはpHが影響します。
(ストルバイトはアルカリ尿、シュウ酸カルシウムは酸性尿でできやすい)。 - ビリルビン
肝臓や胆道の異常で尿に混ざることがあります。
尿検査数値の活かし方
尿検査の数値は一度だけでは判断が難しい場合もあります。
食事や飲水量、環境によって変化することがあるため、定期的に検査して変化の流れを見ることが大切です。

尿検査だけでなく血液検査や画像検査と組み合わせることで、より正確に病気の状態を把握できます。
まとめ
尿検査の数値は、腎臓や代謝、泌尿器の健康状態を映す大切な情報源です。
- 尿比重 → 腎臓の濃縮力
- 尿糖 → 糖尿病の可能性
- 尿タンパク → 腎臓病や炎症のサイン
結果の見方を知っておくと、病院での説明も理解しやすくなります。
大切なのは「数値の変化を早く見つけることです」。
小さな家族の健康を守るために、尿検査をぜひ定期的に取り入れてみましょう。