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都会でも油断できないレプトスピラ症

レプトスピラ

「レプトスピラ症」は、犬にとって命に関わる危険な感染症です。
しかもヒトにも感染する可能性のある「人獣共通感染症」なんです。

「そんなの田舎の話でしょ」
「都会では関係ないよね」
「ここは住宅街だしね」
と思われる飼い主さんも、少なくありません。

事実!
そのような理由から、レプトスピラの予防接種をしていない子もいます。

しかし実際には!!!
都市部でもレプトスピラ症に感染するリスクは十分にあります。

今回は「都会でも油断できない理由」を具体的にお伝えします。

下水や排水溝に潜むネズミが感染源

レプトスピラ菌を運ぶ最大の動物は、ネズミです。
都会にはゴミが多く、夜になると下水口やゴミ置き場を走り回るネズミがいます。

事実・・・
東京都内でネズミ被害の相談件数が10年前に比べ約2倍と急増しているとの報道もあります。
そうですよね!
飲食店の多い都市部の方が、餌がいっぱいあって暮らしやすそうにも思いませんか?
それに暖かい寝ぐらにも困らないようにも思います!

ネズミはレプトスピラ菌を、腎臓に持ったまま生活しています。
そしてレプトスピラ菌を、オシッコと一緒に環境中にバラ撒きます。

つまりネズミの住んでいる周囲・・・
下水や排水溝、ゴミ置き場の周囲の地面には、レプトスピラ菌が潜んでいる可能性があります。
雨が降ればレプトスピラ菌入りのオシッコが流れ出し、水たまりに混じります。

犬がその水の中に足を入れる、ニオイを嗅ぐ、場合によっては舐める・・・
これって怖く無いですか?
メッチャ感染リスクが高まりますよね?

公園やドッグランにもリスクがある

都会の犬たちにとって、公園やドッグランは大切な運動の場となっています。
しかし・・・そこにも落とし穴があります。

  • 公園の芝生にできる雨上がりの水たまり
  • 噴水や池の周囲の湿った土壌
  • ドッグランに侵入した野生動物(ネズミ、ハトなど)が残したオシッコ

こうした場所にも、レプトスピラ菌が潜んでいることがあります。
犬が夢中で遊んでいる間に、知らないうちにレプトスピラ菌に触れてしまうことも珍しくありません。

都会の生活環境そのものが温床に

都市部は整備された環境に見えます。
しかし実際には、レプトスピラ菌にとって住みやすい条件がそろっています。

  • 下水道や地下街は常に湿気があり、ネズミが繁殖しやすい
  • ゴミ集積所はネズミの食料庫になり、菌を持つネズミたちが増えていく
  • 散歩道や遊歩道に雨水がたまると、そこが感染源に
  • マンションの植栽や公園の草地にも野生動物が入り込み、そこが感染源に

つまり田舎の田んぼや川辺だけでなく、私たちの生活圏そのものがリスクをはらんでいるのです。

「都会だから安心」が最大の落とし穴

実は、都会に住む犬の方が危ない面もあります。

  • 飼い主さんが「都会だから安全」と思って、予防意識が低くなっている
  • 公園やドッグランなど、犬が集まる場所で感染犬が出ると広がりやすい
  • 飼い主さんが下水や水たまりを「危険」と意識していないため、犬が平気で触れてしまう

つまり都会だからこその「油断」が、最大のリスクなのです。

ヒトにも感染することを忘れないで

レプトスピラ症は犬だけの病気ではありません。

感染した犬の尿や血液から、ヒトにも感染する可能性があります。
人では発熱や頭痛から始まり、肝炎や腎不全などを起こすこともあります。
都会で生活していても、このように家族が感染するリスクがあるのです。

予防のためにできること

都会に住んでいるからこそ、予防を心がけてください。

  • 水たまりや側溝に近づけない
  • ゴミ置き場やネズミが出そうな場所は避ける
  • レプトスピラを含むワクチンを接種する
  • 散歩後は犬の足を洗い清潔にする
  • 排泄物を処理するときは手袋を使用し、処理後は手洗いを徹底

これだけでも、感染リスクを大きく下げることができます。

まとめ

レプトスピラ症は田舎だけでなく、都会の下水、公園、ドッグラン、ゴミ置き場など、どこにでも感染源はあります。
そして犬にとっては命に関わり、ヒトにも感染する可能性のある病気です。
「うちの子は大丈夫」と思わずに、日常の散歩や生活の中でできる予防を取り入れてください。
愛犬を守ることは、同時に家族を守ることにもつながります。