若山動物病院ブログ
糖尿病の猫ちゃんに起きた変化

嬉しい、もうその一言!
気分は南国、パラダイスです!
飼い主さんがそうおっしゃった瞬間、私たちも胸が熱くなりました。
この言葉の背景には、長い間入院を繰り返してきた猫ちゃんと、そのご家族の苦労がありました。
今回の猫ちゃんは、最初は他の病院で治療を受けていました。
けれども血糖コントロールが難しく、1~2週間ごとに入院しなければならない状況が続いていたそうです。
こう振り返ります

入院しても、退院するとまたすぐに血糖が乱れてしまって・・・
どうすればいいのか分からず、不安ばかりでした。
転院して当院に来られたとき、その猫ちゃんは痩せ細ってガリガリでした。
糖尿病の治療ではカロリーコントロールのため、糖尿病食による食事療法が欠かせません。
しかしこの子には「体を支える栄養」が必要と考え、あえて栄養状態の回復を優先しました。
幹細胞療法という選択
そんな状況の中で行ったのが、幹細胞療法でした。
幹細胞は「修復力」と「炎症を抑える力」を持つ細胞です。
そして糖尿病に対しては、以下のような効果が期待できます。
- • 膵臓の細胞を守り、残った働きを引き出す
- • インスリン抵抗性を改善し、インスリンが効きやすい体にする
- • 全身の状態を安定させる
実際に1回の治療を行ったところ・・・
それまで不安定だった血糖値が落ち着き、インスリンの効きが改善されたのです。
しかも入院も必要なく、自宅で安定した生活を送れるようになりました。
体力も回復し性格も明るくなり、寝たきりだったのが遊ぶまでにもなったそうです!

飼い主さんの言葉
治療後の診察のときに飼い主さんから自然に出てきたのが、この言葉でした。

とっても嬉しいんです!
あんなに不安だった毎日が、嘘のように楽になりました。
猫の表情も和らぎ、穏やかに過ごせるようになって本当に嬉しく思います。
その表情は猫の体調が安定したことへの安心感と、これまでの苦労から解放された安堵感に満ちていました。
なぜここまで変わったのか?
- • インスリンの効きやすさが改善 → 炎症が抑えられインスリンの効果が安定
- • 膵臓の機能がサポートされた → 残された膵臓の細胞の働きが引き出された
- • 全身状態の回復 → 食欲・体力が戻り、ガリガリの体に少しずつ力がついてきた
これらの変化が重なり、入院管理に頼らなくても良い日常へと変わったのです。
今後の治療と見守り
幹細胞療法の効果は猫によって異なり、数週間で薄れる子もいれば数か月以上持続する子もいます。
当院では定期的に血糖値とフルクトサミンを測定し、再び乱れが見られた時点で再投与を検討しています。

幹細胞療法は必要になったときに行うので、猫にも私にも負担の少ない治療方法だと思ってます!
飼い主さんへ
猫の糖尿病は「一生付き合うしかない病気」と言われています。
毎日のインスリン注射、通院、体調の変化への不安と、とても大変な病気です。
しかし幹細胞療法を取り入れることで、自宅で穏やかに過ごせる日常に変わることもあります。
今回の飼い主さんがこぼした 「嬉しいの一言です」 は、その変化を象徴する言葉でした。
もし同じように悩んでいる飼い主さんがいらっしゃれば、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、猫と飼い主さんが少しでも安心して暮らせるよう一緒に歩んでいきます。