若山動物病院ブログ
猫の尿道閉塞とストレスの関係
猫ちゃんの尿道閉塞というと、ストリバイトなどの「結晶や結石」が原因だと思われがちです。
もちろん、そのようなこともあるでしょう!
ところが「ストレス」が、とても大きな要因になっていることがあります。
しかし実は・・・
尿道閉塞を起こした猫ちゃんのオシッコを検査してみたら、結晶も結石も見つからない!
そんなことがあります。

じゃぁ~なぜ、オシッコが出なくなったのかかしらね?
チョット不思議!
実は尿道が強いケイレンを起こしオシッコの通り道が塞がれてしまう「機能性閉塞」と呼ばれるものを起こしてしまったからなんです。
そしてその背景の多くには、ストレスが関わっているとされています。
ストレスで尿道が詰まる!
ストレスを感じると、猫の体は「交感神経」が優位になります。
交感神経が働くと、カラダは「戦うか逃げるか」の緊張状態に入ります。
その結果、尿道の周りの筋肉がギュ~ッと収縮してしまいます。
そうなると尿道が細くなり、オシッコの流れが悪くなるのです。
さらにそこに膀胱や尿道の粘膜に炎症が起き、粘液や細胞片がオシッコの中に出てきます。
尿道が細くオシッコの流れが悪いため、それらが「詰まり」やすくなってしまいます。
ストレスの持つ二重のリスク
- 直接的に尿道を閉じさせる
- 炎症や粘液分泌を悪化させる
猫にとってのストレス要因
「うちの子は、のんびり屋だからストレスなんて無いはず」と思う飼い主さんもいます。
しかし猫ちゃんにとってのストレスは、ヒトとは違うところから生まれます。
猫の感じるストレスには・・・
環境の変化(引っ越し、模様替え、家族の出入り)
トイレが汚れや数の問題
他の猫との同居
飼い主さんの行動
近所からの音
食事や給水環境の急な変更

そう言えば「トリミングに行った」時に、オシッコトラブルを起こしたことあったわね・・・

「新入りを迎えた」時と「模様替えをした」時にも、オシッコ詰まりかけたことが・・・
ストレス性尿道閉塞の特徴
ストレスが関わる尿道閉塞には、いくつかの特徴があります。
- 検査しても明らかな結石や結晶が見つからない
- 症状が出たり治ったりを繰り返す
- 若いオス猫に多い

「再発しやすい」という特徴もあるらしいので、注意しておく必要があるのね!
気をつけなくちゃ!!
ストレスを減らすためにできること
飼い主さんにできることは、猫ちゃんが安心できる環境を整えてあげることです。
- トイレは常に清潔に、数も十分に
- 落ち着ける隠れ場所をつくる
- 高い所やキャットタワーを用意し、安心できる居場所を増やす
- 環境の変化はゆっくりと、少しずつ
また猫ちゃんによっては「フェリウェイ」を使うことで、安心感を与えられることもあります。

まとめ
尿道閉塞というと「砂や石が原因」と思われがちです。
しかし実際に診療していて「ストレスがきっかけ」と感じるケースは少なくありません。
最大に予防は、飼い主さんが「いつもと何かが違うかな?「変かな?」と気づいてあげることです。
「尿道閉塞は時間との戦い」です。
そしてその背景には「日々の暮らしの中のストレスがある」ってことを忘れないで下さいね!