若山動物病院ブログ
猫の特発性膀胱炎とストレス
猫の尿道閉塞」の原因やストレスの影響についてお話してきましたが、今回はその中でも特に大きな関わりを持つ 「特発性膀胱炎」 についてです。
特発性膀胱炎とは?
「特発性」というのは「はっきりとした原因が分からない」という意味です。
しかも猫ちゃんの膀胱炎の中で最も多いのが、この 猫の「特発性膀胱炎」と言われています。
- 細菌感染は見つからない
- 結石もない
- なのに膀胱に炎症が起きる
そんな「原因不明の膀胱炎」が、若いオス猫ちゃんに多くみられます。
ストレスとの深い関係
この特発性膀胱炎は、ストレスと強く結びついていることが分かっています。
猫がストレスを受けると、交感神経が活発に働き身体は緊張状態になります。
その結果、膀胱の粘膜に炎症が起こりやすくなり痛みや血尿を引き起こすのです。
実際に私が診てきた猫ちゃんでも
- 引っ越しをした
- 家族に赤ちゃんが生まれた
- 同居猫が増えた
こうした環境の変化をきっかけに特発性膀胱炎を発症することがありました。
尿道閉塞とのつながり
特発性膀胱炎が怖いのは、尿道閉塞へとつながることがあるということです。
膀胱炎の炎症や出血でオシッコに粘液や血のかたまりが増え、それが尿道に詰まることがあります。
また炎症による痛みやストレスが尿道にケイレンを引き起こし、オシッコトラブルを引き起こすこともあります。

特発性膀胱炎は「単なる膀胱炎」では終わらないこともあるのね。
下手すると、命に関わる尿道閉塞へとなってしまうから油断はできないってことなのね。
飼い主さんが気づけるサイン
特発性膀胱炎のサインは次のようなものです。
- トイレに頻繁に行く
- 血尿が出ている
- トイレで長時間うずくまる
- トイレ以外の場所でオシッコしてしまう

「ただの膀胱炎だろう」って、軽く考えない方が良いのね。
オシッコにトラブルあったら、尿道閉塞へ進む前に検査を受けようっと!
ストレスを減らすことが最大の予防
特発性膀胱炎の治療で大切なのは、薬や食事だけではありません。
一番重要なのは、ストレスをできるだけ減らすこと です。
- トイレを清潔に、数を増やす
- 隠れ場所や高い場所をつくる
- 大きな音や急な環境変化を避ける
- 飼い主さんと遊ぶ時間をつくる
- お水をしっかり飲める工夫をする

これらの小さな積み重ねが、膀胱炎や尿道閉塞の予防につながるってことね。
まとめ
特発性膀胱炎は「ストレスが引き金」となりやすく、そこから尿道閉塞へと進んでしまうことがあります。
「ただの膀胱炎」と油断してはいけないのです。
猫ちゃんが安心して暮らせる環境づくりこそが、最大の予防であり、治療の一部でもあります。
毎日一緒にいる飼い主さんの小さな気づきと工夫が、猫ちゃんの命を守る大きな力になるのです。