若山動物病院ブログ
都内でも…
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
9月末、都内で飼育されていたワンちゃんが亡くなりました。
 死因はハッキリとしていませんが、検査の結果『SFTS(重症熱性血小板減少症候群)陽性』であったことがわかっています。
『SFTS(重症熱性血小板減少症候群)』とは、主にSFTSウイルスを持つマダニに咬まれることで感染するダニ媒介感染症です。

SFTSの恐ろしいところは、マダニに咬まれて感染するだけでなく、感染した動物の血液や唾液などの体液、排泄物などを通じて、他の動物や人にも感染してしまうことです。
中でも猫ちゃんはSFTSに対する感受性が非常に高く、重症化しやすいとされており、猫ちゃんの致死率は約70%という報告もあります。
実際、全国でSFTSに感染した猫の報告数は、2017年にはわずか8件だったのが、2024年には194件と急増しています。
また、人の致死率は約30%、ワンちゃんでは約40%とされており、動物だけでなく私たち人間にとっても深刻な病気です。
近年では地球温暖化の影響で、以前は生息できなかった寒冷地や標高の高い場所でもマダニが見られるようになり、分布域が広がっていることも報告されています。
なにより注意したいのは、完全に室内で暮らしている子たちにも被害が広がっていることです。
家族が外から持ち帰ったマダニが室内で繁殖し、ワンちゃんや猫ちゃんに寄生するケースが増えているのです。
温暖化によって外部のリスクが増すことで、室内飼育だからといって安心できない時代になっています。

季節に関わらず「ノミやマダニはいつでもいる」という意識を持ち、予防薬は一年を通して続けてあげることで、大切な家族の健康を守ることにつながります。
