若山動物病院ブログ
猫の突然のダッシュ!その理由は?

夜に、静かに寝ていた猫が突然猛ダッシュするんです。
家の中を駆け回ったり跳ねたりして、しかも家具の上を飛びのって上に置いてあった物を落としたりなんですよ。
もう〜気が気じゃなくて・・・

そうですよね。
でも猫にとっては自然ことなんですよ。
実はそれって、「スイッチタイム」と呼ばれるものなんです。
スイッチタイムとは?
スイッチタイムとは・・・
猫が特定の時間帯に突然テンションが上がり、走り回ったり、じゃれ合ったりする興奮状態の時間帯を指します。
主に明け方と夕方から夜にかけてに起こりやすく、「夜の運動会」とか「スイッチが入った」と言われることもあります。

あらぁ〜
うちの子供が「寝る前のハイテンション」に少〜し似た感じと同じなのかしら?

ヒトの子どもの寝る前ハイテンションは猫とは違って、脳と体のバランスがとれていないなどなんですよ!
だから眠れる環境を整えることが、良いとされてます!
なぜスイッチが入るの?
猫がこの時間に元気になるのには、きちんとした理由があるといわれています。
① 野生時代の名残(本能)
猫は本来「夜行性」ではなく薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)といって、朝と夕方の薄暗い時間帯にもっとも活動的になります。
野生だったころの猫にとって、この時間帯はまさに「狩りのゴールデンタイム」でした。
そしてヒトと一緒に暮らすようになった今でも、その習性はしっかり残っています。
そのため、この時間になると自然に体が「動きた~い!」と反応してしまうのです。
② 日中のエネルギー消費不足
昼間にたくさん寝てしまうと、エネルギーが余ってしまいます。
その結果、夜になるとスイッチが入り「遊びたい!」「走りたい!」という気持ちが一気に爆発するのです。
特に若い猫や完全室内飼いの猫では、この傾向が強く見られます。
③ 環境の変化・刺激
飼い主さんの帰宅、部屋の明かり、ごはんやトイレの時間など、日常のちょっとした変化も猫にとっては刺激になります。
ヒトにとっては何気ない出来事でも、猫のスイッチを押してしまうことがあるんですよ。
どんな行動をするの?
スイッチタイム中の猫は、とても活発で表情もイキイキしています。
- 家中を猛スピードでダッシュで走り回る
- 物陰やカーテンの裏に隠れて、突然のように飛び出す
- 飼い主の足に飛びつく
- 唸りながらジャレ合う(本気のケンカではない)
- 突然ぬいぐるみやオモチャを攻撃する
見ていると驚くほど俊敏ですが、これは「狩猟ごっこ」をしているようなものです。
猫にとっては、ストレス発散であり運動不足の解消でもあります。
これってケンカなの?
猫が複数いる家庭では、追いかけっこや唸り声も出ます。
そのため「ケンカしてるの?」と心配になることもあるでしょう。
以下が、スイッチとケンカを見分けるポイントの一覧です。
観察ポイント | スイッチタイム | ケンカ |
---|---|---|
体の姿勢 | しっぽが立ち | 毛を逆立て、背中が丸まる |
声 | 高めで短い鳴き声 | 低く長い唸り声 |
攻撃の強さ | 甘噛み、交互に追いかける | 一方的に追う、強く噛む |
終了後 | すぐに普通の関係に戻る | 距離を取り、緊張が続く |

「遊び」の場合は、終わった後に毛づくろいをしたり同じ場所でくつろいだりします。
しかしケンカである場合には、しばらくお互いの距離を置くことが多いです。
スイッチタイムとの上手な付き合い方
1. 遊びで発散させる
猫じゃらしやレーザーポインターなどを使って、寝る前に狩りごっこなどして遊んであげるようにしましょう。
運動して満足すると、夜の大暴れが減ります。
2. 日中に刺激を増やす
昼間の退屈が夜のスイッチを強めます。
窓辺で外を眺められるスペースを作ったり、知育おもちゃで頭を使わせたりするのも効果的です。
3. 食事タイミングを工夫
寝る直前に軽く食べると、お腹が満たされ自然と眠りやすくなります。
「遊ぶ → 食べる → 眠る」という流れを作ることが理想的です。
4. 危険防止も忘れずに
スイッチタイム中は、家具の上やカーテンに登ることもあります。
事故や怪我の無いよう落ちやすい物や倒れやすい物を片づけるなど、安全な環境を整えましょう。
まとめ
スイッチタイムは、猫の自然な行動です。
叱ったり止めたりするより、安心して遊べる環境を作ることが大切です。

猫が走り回るのは「幸せな生活を送っている証拠」と、思ってくださいね!
安全と安心を守りながら、見守ってあげましょう。
- スイッチタイム=猫の活動スイッチが入る時間
- 主に朝・夕方~夜に発生
- 原因は本能・日中の刺激不足・環境の変化
- 遊びとして自然な行動
- 安全に見守ることが大切