若山動物病院ブログ
冬の脱水が夏のお肌に影響する


冬のかくれ脱水が、夏のお肌や体調に影響するって・・・知ってました?
それって、どんな影響がでるんでしょう?
なんか想像がつかない・・・
冬の「かくれ脱水」が夏に危ない?

春を過ぎた頃から肌の調子が悪くなった、痒みや発疹が出て・・・
そんな経験がありませんか?
実は、冬に水の飲みが悪いことが原因になっていることがあります!
冬の軽い脱水や皮膚の乾燥が、季節をまたいで夏の皮膚や体調に影響を与えることがあります。
今回は、その理由と予防のポイントをわかりやすくご紹介します。
冬は「かくれ脱水」が起こりやすい季節
寒い季節になると、どうしても水の飲みが自然に減ってしまいます。
その理由は・・・
- 喉が渇かない
- 冷たい水を嫌がる
- 暖房による乾燥も重なる
このようなことから、気づかないうちにカラダから水分が抜けていきます。
この軽い水分不足を「かくれ脱水」といいます。

「かくれ脱水」とは・・・
見た目には体調に問題もなく元気そうでも、体の中では水分が足りず、血液が少しドロッとしていたり、皮膚や粘膜が乾き気味になっている状態です。
冬の脱水が、なぜ夏に影響するの?
冬のかくれ脱水が怖いのは、「今すぐ症状が出ない」ことなんです。
カラダはしばらくは頑張ってバランスを保とうとしますが、少しずつ変化が積み重なっていきます。
血流が悪くなる
軽い脱水でも血液の流れが悪くなり、皮膚や被毛への栄養が届きにくくなります。
その結果、春になっても皮膚の再生する力が弱かったり毛ヅヤが戻らないんです。
皮膚バリアが壊れる
皮膚の表面には「セラミド」や「皮脂膜」という、天然の保護膜があります。
脱水や乾燥が続くとこの膜が壊れ、外からの刺激や細菌、また紫外線に対して、むき出しの状態になります。

「かくれ脱水」のままの状態で夏を迎えると、皮膚が汗や湿気に負けてしまうんですよ!
その結果、痒みや赤みなどが出やすくなります。
いわゆる「発疹」や「皮脂のベタつき」「部分的な脱毛」なども、起こってしまうのです。
代謝のリズムが乱れる
カラダの水分が少ないと、代謝も落ちてしまいます。
そのため春になってもカラダは「冬モード」のままで、体温調整や皮膚のターンオーバーが遅れがちになってしまいます。
そして夏になると皮膚の炎症や湿疹、抜け毛にと・・・なってしまうのです。
実際に見られる症状
暑くなると、当然のように皮膚病が増えてきます。
そして以下のような症状が見られるようになってしまいます。
| 症状 | 冬の脱水との関係 | 
|---|---|
| フケが出る、痒がる | 冬に皮膚が乾燥してバリア機能が弱った結果 | 
| 皮膚に地図状の赤み | 乾いた角質層が刺激や細菌に反応して炎症化 | 
| 毛がごっそり抜ける | 冬の血流低下で毛根の代謝が落ちている | 
| 脂っぽくベタつく | 乾燥後の「反動性皮脂分泌」によるもの | 
| 食欲・元気が落ちる | 軽い内臓の疲労や代謝の低下が背景に | 

とくにシニア犬には「冬 ▶️ 夏」の影響が、とっても強〜く出やすいという傾向があります。
冬のケア=夏の肌づくり
冬にしっかり水分を飲んでおくことは、暑い時期の健康を守る先行投資とも言えます。
日常できること
- 朝いちばんに人肌程度(35~40℃)のお湯を与えると飲みやすい
- ウェットフードやスープを混ぜると、自然に水分が摂れる
- 部屋の湿度を保つため、加湿器で湿度を40~60%にキープ
- 保湿シャンプーやオイルケアで、乾燥肌をケア
- 軽くカラダを動かして血液の流れを良くする

毎日の小さな積み重ねが、夏に負けないお肌を作るってことね・・・
シニア犬や持病のある子は特に注意!
年をとると腎臓の働きが落ち、水分を保持しにくくなります。
冬の軽い脱水でも、春以降に腎臓の数値(BUN・CRE)が上がることがあります。
また皮膚のターンオーバーが遅く、夏に皮膚炎が長引く傾向もあります。
「おしっこの色が濃い」
「皮膚が乾いている」
「毛並みがパサパサ」
などのサインを感じたら、早めに対策をしましょう!
まとめ
冬のかくれ脱水は見た目ではわかりにくいし、時間をかけてカラダに負担をかけていきます。
そして、その負担が夏の皮膚のトラブルや代謝不良として表面化します。
「水をしっかり飲む、乾燥を防ぐ!」
それだけのことで夏の発疹やかゆみ、抜け毛を防ぐことができるのです。

「冬にカラダを守ることは、夏の健康をつくること」
それが、一年を通した水分ケアの基本ってことなんですね!
