若山動物病院ブログ
犬が寝る前にくるくる回るのはなぜ?

夜、ワンちゃんがベッドの上で、くるくる、くるくるッと・・・
「ん?何してるの?」と、思わず笑ってしまうことがありませんか?
この行動は、ただの癖じゃないんだよ!
我々にとっては、とっても意味のある本能的な行動なんでぇ〜す。
今回は、この「くるくる回ってから寝る」という不思議な習慣について、です!
野生時代の「寝床づくり」の名残
ワンちゃんの祖先であるオオカミや野生の犬たちは、草原や森の中で暮らしていました。
当然、寝るための「ふかふかの布団」なんてものありません。
そのため寝るには、自分で寝床を作り整える必要があったのです。
そのときに行っているのが、「くるくる回る」動きなんです。
何度か回ることで草を踏み倒したりなどして、自分の体にフィットする即席ベッドを作っていたのです。
この習性は長〜い年月を経て、今のワンちゃんにも残っているのです。
つまり、現代のワンちゃんがベッドの上でくるくるしているのは、「よし、ここを私の寝床にしよう!」という準備のための動作なんです。
周囲の安全を確かめている
眠るとき、当然ですが無防備状態になってしまいます。
野生の世界では、当然ですが寝ている間に敵に襲われる危険もありました。
そのためワンちゃんは寝る前に周囲をぐるっと確認して、安全を確かめなくてはなりません。
動物心理学の研究でも、この行動は「安全確認のための防衛本能」と考えられています。
くるくる回ることで「敵はいないかな?」「ここは安全かな?」と確認し、安心して眠りについているんです。
快適な温度と方向を探している
ワンちゃんは、とっても感覚が鋭い動物です。
寝る前に少し動いてみることで、風の流れや温度、地面の感触を感じ取っています。
暑い季節には少し涼しい場所を・・・
寒い季節には温かい場所を探し、落ち着いて快適に眠れるようにしています。
海外の研究では「寝床がデコボコしているほど、犬は回転する回数が増える」と報告されています。
つまり、くるくる回るのは寝心地の良さをチェックしていると言うことなんです。
ニオイをつけて「ここは自分の場所!」
ワンちゃんの足の裏には、実は小さな汗腺などニオイを出す腺があります。
寝る前に寝床の上を歩き回ったり、軽く引っかいたりすることで、自分のニオイをつけて安心するという意味もあります。
「ここは私の場所だよ!」という、縄張り行動の一種なんです。
家の中に新しいベッドを作ってあげたり洗いたての毛布を敷いてあげると、掘り返すことがあります。
これも自分のニオイをつけ直して、落ち着こうとしているからなんだよ!
安心して眠るための儀式
このくるくるという行動は、ワンちゃんにとっての眠る前のルーティンなんです。
ヒトでも、寝る前に布団の位置を直したり枕を整えたりする方がいますよね?
それと同じで、ワンちゃんも「安心して眠る準備」をしているのです。
そしてこの行動は、ワンちゃんがこの場所は安心しているぞ!と言う証拠でもあります。
安心できる環境があってこそ、リラックスできるのです。
もちろん飼い主さんが側にいることも、大切ですよね!
「回りすぎる」場合は注意!
ただ何十回も落ち着かずに、くるくると回り続ける場合は注意が必要です。
そのような場合には、次のような原因が隠れていることがあります。
- 関節痛や腰の痛みで寝る姿勢が決まらない
- 不安やストレスで落ち着けない
- 神経系の異常や認知症の初期サイン

回る回数が極端に多かったり声をあげるようなら、早めに相談して下さいね。
まとめ
ワンちゃんが寝る前にくるくる回るのは「安心して眠れる場所を作る」というとても自然で、やさしい行動なんです。
もし今夜、愛犬がベッドの上でくるくると回っていたら・・・
それは「今日も安心して眠れるよ!」という、メッセージなんですね!