若山動物病院ブログ
元気食欲がある=健康とは言えない

~見かけの健康と免疫機能のズレ~

うちの子、ごはんもしっかり食べるし、ウンチも快調!
歳をとっても元気なんです。

たしかに動きもよく、尻尾も振っている姿は「健康」に見えます。
しかし・・・
この元気はカラダの表に出ているエネルギー状態、つまり見た目にしかすぎないこともありますよ!
見た目の元気とカラダの中の免疫は別
犬や猫は、多少体調が悪くても平気な顔をして暮らしていることが多々あります。

筋肉や神経、ホルモンのバランスが保たれていれば、多少の不調は隠せてしまうのです。
それはヒトでも同じですよね?
体調がチョットくらい悪くても、仕事は普通にこなせちゃいますもんね!
そして犬や猫は本能的に、弱っている姿を隠そうとします。
それは弱肉強食の世界を生きる動物にとって「生きる術」なんです!
つまり元気そうに見えても、免疫力が落ちていることは珍しくありません。
免疫は、その存在自体が眼に見えるようなものではありません。
しかも意思とは無関係に、感染症・腫瘍・老化などあらゆる脅威からカラダを守り続けています。
だからこそ「元気そうだから大丈夫」とは、言い切れないのです。
高齢になるほど免疫の中身が変わる
年齢とともに筋肉や臓器の働きは衰え、皮膚や粘膜の再生もゆっくりになります。
そして免疫も、同じように変化していきます。
ワクチンで作られた抗体も、時間とともに減少していきます。
その結果「守られていたはずのカラダ」が、気づかないうちに防御力を落ちてしまうこともあります。
・熱もない
・咳もない
・食欲もある
見た目には普通と変わらない、しかし・・・

少しずつ少しずつ、感染に対する抵抗力が落ちていってしまうのです。
この点が、シニア期の健康管理で最も注意すべきポイントになります。
「元気」は行動「免疫」は仕組み
「よく食べるから大丈夫」
「散歩も行けるから健康だ」
そう思ってしまうのが、実は間違いの始まりになることがあります。
- 元気:体を動かす「力」の結果(筋肉・神経・ホルモン)
- 免疫:体を守る「仕組み」の働き(血液・リンパ・抗体・細胞)
例えば・・・
・元気に散歩し走ってもいたのに足腰が弱くなる
・食欲があるのに感染症に罹ったら、重症になってしまう
・小さな傷や皮膚炎が治りにくい
このようなことがありますが、これは見た目の元気と免疫力が釣り合っていない、そんなサインかもしれません。
「見かけ」より「仕組み」を支えるケアを
免疫力を支えるために大切なのは、日々の積み重ねです。
- 栄養バランスの良い食事(たんぱく質・ビタミン・ミネラル)
- 質の高い睡眠
- 適切・適度な運動
- ストレスの少ない生活環境
- 定期的な健康診断

とくにシニア期は、ほんの少しの疲れや睡眠不足でも免疫力が下がることがあります。
「見た目が元気だから」ではなく、「カラダの中の状態」を守るケアが必要になります。
まとめ
驚くほど我慢強く生きている子たちの元気は、その子自身の努力です。
だからこそ!
飼い主さんが支えてあげるべきは見かけの元気ではなく、カラダの中の元気なんです。
- 元気はその子の頑張り
- 免疫はその頑張りを支える仕組み
どちらも大切にしてあげましょうね。