若山動物病院ブログ
なぜ「元気になったように見える?」


うちの子、調子が悪いのでビタミンC療法してるんだけど・・・
家に帰ると、よく動いてお喋りもするようになるのね。
これって元気になったってことなのかしら!?
そうなんですよね!
猫にビタミンC療法を行うと、元気が戻ったように見えることがあります。
それは、ビタミンCが
- エネルギーを作る力
- 炎症をおさえる力
- ストレスに耐える力
- 神経や免疫の働き
といった、体のいろいろな働きを同時に助けてくれるからです。
このような変化は、ビタミンCが「必要な状態の猫」に「正しい量」を使ったときに起こります。
エネルギーを作る力が戻る
エネルギーを作る力が戻ると言うことは、動くのが楽になると言うことなんです。
カラダの中には「ミトコンドリア」という、エネルギーを作る工場のような場所があります。
病気・老化・炎症が続くと、この工場がうまく動かなくなり以下のような変化が見られるようにんあります。
- すぐ疲れる
- じっとしている時間が増える
ビタミンCは、この工場をダメージから守りエネルギーを作りやすくします
その結果「体を動かすのが楽になる」= 「元気が戻った」ように見えるのです。
小さな炎症が減って、体が軽くなる
猫は、はっきりした症状が出ないまま、このようなことをずっと抱えていることがあります。
- 口の中の炎症
- 腸の炎症
- 膀胱の炎症
- 軽い関節の炎症
こうした炎症があると、猫は「なんとなくだるい」状態になります。
ビタミンCには「炎症を鎮める働き」があります。
その結果「なんだか元気そう」とか「動きが軽くなった」と感じられるようになります。
ストレスに強くなる
猫は、とてもストレスに弱い動物です。
- 通院
- 環境の変化
- 痛み
- 他の猫との関係
こうしたストレスが続くと、体の中の「副腎」という場所が疲れてしまいます。
(副腎はホルモンを作る臓器で、腎臓の下の方にあります)

ビタミンCの働きは、以下のようなものがあります!
- ストレスに対応するホルモンを作る手助けをする
- 疲れた副腎の回復を助ける
このような働きにより、以下のような変化が出ることがあります。
- 表情が落ち着く
- 食欲が安定する
- イライラしにくくなる
眼に力が戻る理由(神経の働き)
ビタミンCは脳の中で使われる「伝達物質」を作る手助けもします。
これが整うと、以下のような変化が起こります。
- 周りへの反応が良くなる
- 好奇心が戻る
- ぼんやりしにくくなる
これが飼い主さんが「目がキラッとした」と感じる理由のひとつです。
免疫を「上げすぎない」役割
大切なのは、免疫をむやみに強くすることではありません。
ビタミンCには、免疫が働きすぎないように調整する役割があります。
そのため
- 口内炎
- 慢性的な炎症
- 体調の波が大きい場合
で、安定して元気に見えることがあります。
「猫はビタミンCを作れる」の本当の意味
よく「猫は体の中でビタミンCを作れるから、必要ない」と言われます。
これは若くて、健康な猫の場合の話です。
- 高齢
- 慢性病がある
- 炎症が続いている
- ストレスが多い
ビタミンCを作る量より使う量のほうが多くなり、足りなくなることがあります。
この「足りない分」を補ったときに、大きな効果が見られます。
全ての猫に効くわけではない
| 効果が出やすい猫 | 効果が出にくい猫 |
| 高齢 | 若くて健康 |
| 慢性炎症がある | 病気がない |
| 疲れやすい | いつも元気 |
| ストレスが多い | 環境が安定 |
足りないところを補った時だけ、その効果は大きくなります。
注意点
ビタミンC療法を行う場合には、ビタミンCの量や配合の方法がとても重要になります。
猫のビタミンC療法で元気に見えるのは、体の中のいろいろな働きを同時に助けているからです。
決して「元気=治った」ではありません。
必ず獣医師の指導のもとで行う、補助的な治療です。
しかも必要な猫に、正しい方法で使ったときだけその効果は現れます。