若山動物病院ブログ
【猫の腎臓病】末期と言われたら?

「猫が腎臓病で末期と言われた」
「もう手遅れなのでしょうか?」
「何かできることはありませんか?」
最近、このようなご相談がとても増えています。
大切な家族だからこそ・・・
「まだできることがあるなら、何でもしてあげたい」
そう思うのは、とても自然な気持ちです。
末期腎不全・現実を知ることから始めましょう
腎臓病が進行し、末期腎不全と呼ばれる段階になると、
腎臓の働きは大きく低下し元の健康な状態に戻すことは難しくなります。
そのため治療の中心は、
「腎臓を治す」ことではなく
「腎臓の負担を減らし、今を少しでも楽に過ごすこと」になります。
主な治療やケアとしては、
・輸液(皮下点滴・静脈点滴)
・食事療法
・内服薬
・サプリメント
・透析(対応可能な施設の場合)
などがあります。
「完全に元に戻す治療」ではなく、
その子の生活の質(QOL)を守る治療が中心になります。
幹細胞療法は「魔法」ではありません
幹細胞療法(再生医療)は、
腎臓病に対するひとつの選択肢になる場合があります。
ただし、
・腎臓を元通りにする
・病気の進行を完全に止める
・すべての猫ちゃんに劇的な効果が出る
というような、万能な治療ではありません。
期待を持つことは大切とは思います。
しかし同時に「その子の腎臓の状態に本当に合っているか」を冷静に見極めることも、とても重要です。
もっと早く気づけたら」と後悔しないために
猫は体調の変化を隠すのが、とても上手な動物です。
見た目には元気そうでも、気づいたときには腎臓病がかなり進行している!
そんなことも、珍しくはありません。
だからこそ、腎臓病に限らず定期的な健康診断がとても大切なんです。
血液検査
尿検査
レントゲン検査
血圧測定
超音波検査
これらを組み合わせることで、小さな変化を早い段階で見つけることができます。
健診は「年1回」でよいの?
犬や猫は、ヒトよりもずっと早いスピードで年を重ねていきます。
若い頃の健康診断は、「その子の基準値」を知るためにとても大切です。年齢を重ねるにつれて、症状が出にくい病気が増えてくるため、半年に1回の健診をおすすめしています。
高齢期になると、体の変化はさらに早くなります。
「何も症状がない今」こそ、実は一番の健康診断のタイミングかもしれません。
「病院が苦手?」それでもできること
・キャリーを見ると逃げる
・車の中で鳴き続ける
・診察台で固まってしまう
そんな姿を見ると、
「できるだけ連れて行きたくない…」
そう思ってしまう飼い主さんの気持ちも、よく分かります。
でも病院は、
「怖い場所」ではなく
これからの時間を穏やかに過ごすために行く場所です。
お電話でのご相談をお受けすることもありますが、
実際に診察や検査をしなければ分からないことも多くあります。
その子に合った選択肢を考えるためにも、
ぜひ一度、実際に状態を見せてください。
腎臓病は「恐ろしいだけの病気」ではありません
早い段階から適切なケアを続けることで、
・食欲が安定する
・生活の質(QOL)が守られる
・穏やかな時間を長く過ごせる
・飼い主さんとの時間が、より大切なものになる
そんな未来を目指すことは、十分に可能です。
私たち獣医師は、未来を予言することはできません。
でも、その子の未来を支える選択肢を一緒に考えることはできます。
迷ったらご相談ください
「うちの子、元気だから大丈夫」
そう思える今こそ、健康診断のチャンスです。キャリーを、そっと出してみませんか。
その小さな一歩が、あなたと猫ちゃんの未来を守る力になります。

当院の考え・想い
「腎臓病で、しかも末期だと言われました・・・」
そんな言葉から始まり・・・
胸がぎゅっと苦しくなっている飼い主さんの表情を、私たちは何度も見てきました。
「なんで、もっと早く気づけなかったか・・・」
そう自分を責めてしまう気持ちも、猫ちゃんを大切に想っているからこその思いです。
当院が大切にしているのは、何が正解かを押しつけることではありません。
治療を積極的に行うこと
穏やかな時間を優先すること
どちらも間違いではなと思います。
私たちの役割は・・・
その子のカラダの状態、性格、年齢、そして飼い主さんの想いと生活・・・
それらすべてを含めて「この子にとっての最善」を一緒に考えること、そう考えています。
当院は、セカンドオピニオンのご相談も大切にしています。
「他院でこう言われたけれど、別の考え方も知りたい」
そんなお気持ちで来院されることを、ためらう必要はありません。
また幹細胞治療や再生医療などの先進的な治療についても、
「希望になる可能性」と同時に「限界があること」を、正直にお伝えした上で
その子に本当に合う治療かどうかを、一緒に考えています。
無理に勧めることはありません。
無理に諦めさせることもしません。
迷いながらで大丈夫です。
立ち止まりながらで構いません。
どうか一人で抱え込まず、不安なとき心が揺れたときは、いつでもご相談ください。
あなたと猫ちゃんが少しでも穏やかで、暖かな時を過ごせるように私たちは最後まで寄り添います。