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若山動物病院ブログ

北風とストレス

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

ここ1週間ほど、風の強い日が続いています。
13日には強風の影響で、成田空港着陸予定だった12便の飛行機が、別の空港へ目的地を変更するほどでした。

風の強い日は、さまざまな音や動きが、いつも以上に大きくなります。
外では草木が激しく揺れ、家のきしむ音や物がぶつかる音、そしてゴウゴウと鳴る風の音が重なります。
こうした強い刺激は、わんちゃんや猫ちゃんにとって大きなストレスとなり、いつもと同じおうちにいても、まるで生活環境が変わってしまったかのように感じてしまうことがあります。

見逃しがちなストレスサイン

脳には、気持ちや感情など精神の働きを司る領域と、内臓や筋肉など身体の働きを調整する領域があり、これらはお互いに密接に関係しています。
私たちが緊張したときに心臓がドキドキするのは、心理的なストレスによって交感神経が活性化し、体が「身構える状態」になるためです。

ワンちゃん猫ちゃんも同じように、ストレスを受けることで、表情やしぐさ、行動に変化が現れたり、身体の働きに影響が出たりすることがあります。

  • ウロウロ動き回ったり、キョロキョロと周囲を見回すなど、落ち着きがなくなる
  • しきりに床や空気中のにおいを嗅ぐ
  • 何度もあくびをする
  • 鼻や口の周りをペロペロと舐める
  • 身震いをする
  • 体をこわばらせ、硬直したような姿勢になる
  • 足先やお腹などを舐め続け、過剰に毛づくろいをする
  • 食欲が急に落ちたり、反対に過食になる
  • 家具の奥や人目につきにくい場所で過ごす時間が増える
  • 家具や床など、決まった場所をしつこく舐め続ける
マットを舐めるロイス

このような行動には、不安や緊張、興奮といった気持ちを自分自身で落ち着かせ、ストレスから身を守ろうとする目的があります。
ワンちゃんや猫ちゃんにとっては、心のバランスを保つための自然な反応であり、決して「悪い行動」ではありません。
大切なのは、行動そのものを止めさせることではなく、「なぜ今、そのサインが出ているのか」に気づいてあげることです。

ストレスを緩和させよう

ワンちゃんや猫ちゃんが、強風など家の外からの刺激によってストレスを感じる背景には、さまざまな理由があります。
においや音、気圧の変化に敏感な子もいれば、過去の怖い経験がトラウマとして残っている子もいます。
また、飼い主さんの不安そうな表情や声のトーンから「これは怖い出来事なんだ」と学習し、より不安を強めてしまうケースも少なくありません。

少しでもストレスを和らげるために、日常の中で取り入れやすい工夫をしてみましょう。

  • 安心できる場所を作る
     クレートやベッドなど、音や光の影響を受けにくい落ち着ける空間を用意します。
  • いつも通りの態度で接する
     過剰に心配せず、普段と同じ声かけや行動を心がけることで安心感につながります。
  • 遮音・遮光で外の刺激を減らす
     遮音・遮光カーテンやシャッターを活用し、風の音や外の動きをやわらげます。
  • 構いすぎず、甘やかしすぎない
     不安な行動に過剰に反応せず、落ち着いた対応を意識しましょう。
  • テレビやラジオをつけておく
     一定の生活音を流すことで、突発的な音が目立ちにくくなります。
  • 服や腹巻きなどで体を包む
     体が包まれることで安心感を得られる子もいます。
赤服シロロイスルーサー

その子の性格や好みによって合う方法は異なります。
いくつか試しながら、「この子が安心できる過ごし方」を見つけてあげることが大切です。

ストレスへの強さはひとそれぞれ

よく、ストレスへの強さは「コップ」、ストレスの原因は「水」にたとえられます。

生まれつき大きなコップを持っている子は、多少ストレスになる出来事があって水がたまっても、コップに余裕があるためあふれにくく、表に出る変化も少ないことがあります。

一方で、コップが小さめの子は、ほんのわずかな刺激でも水がいっぱいになりやすく、行動や体調の変化として現れやすくなります。

この「心のコップ」の大きさは、幼少期の体験やそれまでの生活環境によって、少しずつ形づくられていきます。あとからコップを大きくすることは難しいですが、飼い主さんの接し方や日々の生活環境を整えてあげることで、コップに注がれる水の量を調整してあげることは可能です。

おうちの子が少しでも安心して過ごせるようにするためには、行動や体調の変化を「いつもと違うサイン」として見逃さず、早めに気づいてあげることが何より大切です。