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Dr.Nyanのすこやかコラム

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オリゴ糖の効果

オリゴ糖の効果

ヨーグルトにオリゴ糖が加えてあるのを見たことはありませんか?
今回は、そのオリゴ糖についのお話です!

オリゴ糖って何でしょう?
そしてその働きには、どのようなものがあるのでしょうか?

ウンチがスムーズに出すためというか、便通改善ですよね?
便秘に良いって聞きますよ?

ではオリゴ糖の効能について、わかりやすく説明しましょうね!

目次

オリゴ糖とは何?

オリゴ糖は、いくつかの糖分子が結合してできた炭水化物の一種です。
砂糖(ショ糖)やブドウ糖のような単純な糖と比べて、以下のような特徴があります。

消化されにくい性質

  • 消化酵素では分解しにくい構造を持っています。
  • 未消化のまま腸まで届き、腸内の善玉菌のエサとなる。

種類

オリゴ糖は構造や原料によりいくつかの種類があります。

  • フラクトオリゴ糖:果糖からできており、甘味が強い。玉ねぎやバナナに含まれる。
  • ガラクトオリゴ糖:乳糖由来で、乳製品に多い。
  • イソマルトオリゴ糖:デンプンから作られ、調味料や加工食品によく使われる。
  • ラフィノース:大豆やビート(甜菜)に含まれ、腸内環境の改善に効果的。
  • キシロオリゴ糖:トウモロコシの芯や繊維質から抽出される。

甘味

  • ショ糖(普通の砂糖)の約0.2~0.6倍程度の甘さ。
  • 砂糖に比べカロリーが低い。

自然な食品では、大豆、玉ねぎ、バナナなどにも含まれています。
オリゴ糖は低カロリーで体に優しいため、健康志向の食品によく利用されます!

ヨーグルトにオリゴ糖を混ぜた理由

ヨーグルトにはもともと乳酸菌などの善玉菌が含まれており、腸の健康をサポートする力がありますが、そこにオリゴ糖を加えることで、善玉菌の働きがさらに活発になり、ヨーグルトの効果がより高まります。

以下にその理由をわかりやすく説明します。

善玉菌のエサになる

腸の中にいる善玉菌は、腸内環境を整え、健康を守る重要な役割を持っています。
オリゴ糖は善玉菌にとっての「エサ」となるため、これを加えると善玉菌が元気になり、数が増えやすくなります。
善玉菌が増えると、腸内の悪玉菌が減り、腸の調子が良くなります。

オリゴ糖が善玉菌の餌になる仕組みを以下のステップで説明します

1.消化酵素で分解されない

オリゴ糖の構造は、ヒトや動物の消化酵素では分解されにくい特徴があります。
例えばフラクトオリゴ糖やガラクトオリゴ糖は小腸で分解されず、そのまま大腸まで届きます。

オリゴ糖が消化酵素で分解されない理由を、説明しますね。
ただチョット難しい点もあるので、箱と鍵の例えでお話しします。

オリゴ糖が消化されないのは、その形がチョット違うことからなのです。

たとえば・・・
砂糖を「鍵付きの箱」だと思ってください。
その箱は、消化酵素という「鍵」で簡単に開けることができます。

しかしオリゴ糖は「特殊な鍵穴をした箱」のようなものなのです。
そのため普通の消化酵素では開けることができないため、オリゴ糖はそのまま腸まで届いてしまうのです。
しかし腸にいる「善玉菌たち」は、その箱を開ける特殊な鍵を持っているのです。
そして箱を開け、オリゴ糖を食べ物にすることができてしまうのです。

この説明で、わかりますか?

    2.大腸で善玉菌が分解

    オリゴ糖が大腸に届くと腸内細菌(特に善玉菌)がオリゴ糖を分解し、エネルギー源として利用します。
    善玉菌の中でも、ビフィズス菌や乳酸菌は特定のオリゴ糖を効率よく分解・代謝できる酵素を持っています。

    3.発酵による短鎖脂肪酸の生成

    善玉菌がオリゴ糖を発酵すると、短鎖脂肪酸(SCFA:Short Chain Fatty Acids)が作られます。

    🔳短鎖脂肪酸の種類

    • 酢酸(腸内のpHを下げる)
    • プロピオン酸(肝臓での脂肪合成を抑制)
    • 酪酸(腸管上皮細胞のエネルギー源)

    🔳短鎖脂肪酸の役割

    • 腸内を酸性に保つことで、悪玉菌の増殖を抑える
    • 腸の運動を促進し、便秘を改善する
    • 腸管免疫を活性化し、体全体の免疫力向上に寄与する

    4.善玉菌の増殖

    オリゴ糖が分解されることで、善玉菌はエネルギーを得て増殖します。
    善玉菌が増えると、腸内環境が改善され、以下の効果が期待できます。

    • 悪玉菌の抑制(腐敗物質や有害ガスの生成を減少)
    • 腸内フローラのバランス改善

    5.特異性は善玉菌だけを増やすこと

    オリゴ糖は、特定の善玉菌だけに利用されやすい性質があります。
    例えばフラクトオリゴ糖は、ビフィズス菌のエサとして特に効果的なオリゴ糖です。
    ガラクトオリゴ糖は、乳酸菌にも優れたエサとなります。

    🔳オリゴ糖が善玉菌の餌となる理由は

    • 消化酵素で分解されず腸内に届く
    • そこで善玉菌によって分解・発酵される

    この過程で善玉菌が増え、腸内の酸性環境を作り出して腸内フローラを整え、健康全般に良い影響を与えます。

    腸の壁を守る力をサポートする

    善玉菌がオリゴ糖を食べると「短鎖脂肪酸」という、腸に良い物質が作られます。
    この短鎖脂肪酸は、腸の壁を健康に保つ働きがあります。
    腸の壁が元気で強くなると、体に悪い物質が腸を通じて血液に入り込むのを防ぐことができ、体全体の健康を守るのに役立ちます。

    短鎖脂肪酸について、チョット説明しますね!

    短鎖脂肪酸は、腸内細菌がオリゴ糖や食物繊維を発酵することで生み出される重要な代謝物質です。
    これらは腸内環境の改善だけでなく、全身の健康維持にも深く関与しています。

    オリゴ糖を適切に摂取することで、短鎖脂肪酸の産生が促進され、以下のような健康効果が期待できます

    • 腸内フローラのバランス改善
    • 免疫力の向上
    • 生活習慣病の予防(肥満、糖尿病、脂質異常症など)
    • 腸管バリア機能の強化

    健康的な食生活にオリゴ糖や食物繊維を取り入れることで、善玉菌の活動をサポートし、短鎖脂肪酸の恩恵を受けることができます。

    腸内環境を安定させる

    オリゴ糖は、消化酵素では分解されにくく、そのまま腸内に届きます。
    そこで善玉菌の活動を助けることで腸内環境を整えます。
    腸内が安定すると腸のバリア機能も向上し、腸の働きがより良くなり、リーキーガット(腸漏れ)の予防につながります。

    リーキーガット(腸漏れ)について、チョット説明しますね!

    リーキーガット(腸漏れ)とは、腸の壁がダメージを受けて「隙間」ができ、本来腸内に留まるべき未消化の食べ物や細菌、有害物質が血液中に漏れ出してしまう状態を指します。
    この状態が続くと、体に様々な不調を引き起こしてしまいます。

    便通を良くする

    オリゴ糖は水分を引き寄せる性質があり、腸の中で便を柔らかくするのに役立ちます。
    その結果、便がスムーズに出るようになり、便秘が解消されます。
    便秘が改善されると、腸内に溜まった老廃物や毒素が効率よく排出され、腸の負担が軽くなります。

    オリゴ糖は水分を引き寄せる性質について、チョット説明しますね!

    オリゴ糖が水分を引き寄せるのは、分子の中に「水と仲良し」な部分がたくさんあるからです。
    オリゴ糖には、水がくっつきやすい「ヒドロキシ基」という小さな手のような部分があり、これが空気中や体の中の水分をつかまえます。

    その結果:

    • 食品では:湿気を保ち、しっとりした食感を作るのに役立ちます。
    • 腸の中では:便に水分を引き寄せて、排便をスムーズにする助けになります。

    つまりオリゴ糖は「水を引き寄せる性質」を持つので、食品や健康に役立つ成分として利用されているんです!

    ヨーグルトの効果を高める

    ヨーグルトにはすでに善玉菌が含まれていますが、オリゴ糖を加えることで善玉菌がさらに活発に働くようになります。
    これにより腸内で善玉菌の活動が広がり、ヨーグルトの健康効果を一層実感できるようになります。

    体に優しい

    オリゴ糖は砂糖に比べて消化吸収されにくいため、血糖値を急に上げる心配が少なく、犬にも安心して与えることができます。
    またカロリーも控えめなので、健康的に腸の働きを助けられます。

    オリゴ糖のカロリーは種類によって異なりますが、一般的には1gあたり1〜2キロカロリー程度です。
    これは砂糖(約4キロカロリー/g)と比べて約半分以下です。

    オリゴ糖が砂糖より消化吸収されにくいのは、「1.消化酵素で分解されない」を参考にして下さいね!

    アレルギーのリスクを減らす

    腸内環境が良くなると、腸のバリア機能が強くなり、腸から体に悪い物質が入り込むのを防ぎます。
    このおかげでアレルギーや炎症の発生リスクを減らすことができ、健康な体を維持しやすくなります。

    まとめ

    オリゴ糖は善玉菌のエサとなり、腸内環境を整え、腸を健康に保つ力を高めてくれます。
    ヨーグルトと組み合わせることで、善玉菌の働きがより強くなり、腸内環境の改善、便通のサポート、アレルギー予防など、体にたくさんの良い効果をもたらします。
    このヨーグルトとオリゴ糖の組み合わせは、犬の腸内健康を守る食事としてとても有効です。

    筆者・若山正之のプロフィール

    1974年から犬や猫の診療に携わり、飼い主さまと共に動物たちが「太く長く、明るく楽しく」暮らせることを目指して、家族の一員である動物たちに寄り添った診療を行っています。
    予防医療や老齢医療を重視し「病気になる前から集える動物病院」を実現。また「猫に優しい動物病院」として国際的なゴールド認定を受け、猫が安心できる診療環境を整えています。さらに「幹細胞療法」や「免疫療法」といった先進医療にも積極的に取り組み、動物に優しい治療の提供に努めています。
    診療以外では、一般の方や学生、動物看護師などを対象にしたセミナーや講演を行い、知識の普及にも力を入れています。著書には「老犬生活 完全ガイド」「犬と猫の老齢介護エキスパートブック」などがあり、動物の健康と幸せを支える活動を続けています。