若山動物病院ブログ
猫風邪ではなかった
鼻の奥に出来た腫瘍で、抗がん剤治療を行っている猫ちゃんがいます。
この猫ちゃんは頭の中の腫瘍による特異的な症状があり、来院したわけではありません。
だから歩けない、ふらつくなどでは無く、来院のキッカケは鼻水とクシャミなんです
猫風邪って言われたんですけど。
薬飲むとチョット良くなるけど、治らないんです!
なるほど・・・
鼻水で鼻の下が濡れてるし、クシャミで鼻水飛ばしてますね!
なるほど・・・
鼻水で鼻の下が濡れてるし、クシャミで鼻水飛ばしてますね!
これじゃ鼻血もでちゃう時もあるくらい、すごいクシャミです。
猫風邪はヒトの風邪と似た症状がみられるから「猫風邪」とは言われるのですが、実際には「猫風邪」と言う病気があるわけではありません。
しかも猫風邪と一括りで言いますが、その原因は「プラズマ」や「ヘルペス」「クラミジア」など様々あり、それぞれで治療方法が違うため原因を探り出す必要があります。そのため頑固な猫風邪症状の時には、PCR検査を行います。
今回の場合には、結果は陰性!
歯が原因って言うことありません?
歯周病でも鼻水が出るって聞きましたけど?
なるほど・・・上の奥歯の歯周病から蓄膿症になっちゃうことありますよね!そこで口の中を確認し良く見ていくと・・・なんか顔の形が左右で微妙に違います。腫れているのなと皮膚の状態を見ても普通ですし、触っても嫌がる様子もありません
顔に見た目の違和感と、治らない風邪症状・・・
鼻の中に何かあるかもしれないので、顔のCT検査を受けてみませんか?
そのようなことから、CT検査となったのですが・・・その結果は鼻の中から顔の奥の骨を溶かし、眼の裏にまで広がったた腫瘍でした。細胞診の結果は悪性のリンパ腫で、手術は無理とのことでした。
悪性腫瘍と聞くとショックを受けてしまいますよね!でも早期に発見できれば、そして適切な治療を行えば普通の生活も可能なこともあります。
腫瘍は見た目だけは診断するのは難しため、様々な検査を行うことが必要です。ただCTやMRI検査は全身麻酔を必要とするため、飼い主さんの意向によっては検査が難しいこともあります。
リンパ腫は他の臓器にも出来ることが多く、体中のリンパ節に転移している場合には予後は悪い傾向にあります。今回の場合の治療は抗がん剤で行い、治療開始から程なくして顔の形の違和感もクシャミ鼻水も無く、呼吸も楽そうになりました。現在も抗がん剤を行ってます。
元気になっのは良かったけど、紐は噛むは!!ビニールは噛むは!!
もうひと昔の若い頃と同じように、悪事の数々を行ってるのよね!
ここでは、治療中も物静かでムチャクチャ良い子なんですけどね・・・
辛かったのが取れた反動なんでしょうか、でも良かった!