若山動物病院ブログ
便秘のしんどさ
冬になると食欲の落ちてくる猫が多くなります。
寒くなると泌尿器関係の病気が多くなってきますが、その原因は水分不足です!
それと同時に、便秘も多くなっていきます。
便秘は、高齢の仔に多く見られる病気です。
本日も元気だけど、食べが悪くウンチが出てない猫ちゃんが来院しました。
この仔は、習慣性の便秘です。
その理由は・・・
- 水分不足、いわゆる脱水です
- 運動不足
- 年齢から関節に変形が起こり、そこからの痛みでウンチスタイルが厳しい!
便秘を解消するには結構大変ですが、頑張らないとですよね!
便秘が引き起こす「しんどさ」は、単なる排便の困難さだけではありません。
実は、カラダ全体の不調や苦痛を伴うことが多いと言われています。
しかも放置すると重症化し、命に関わる可能性もあるのが猫の便秘です。
そもそも便秘とは?
便秘は、ウンチが適切に排出されない状態を言います。
つまりウンチが腸内に溜まることで、体内に様々な影響を及ぼしてしまいます。
便秘による「しんどさ」の詳細
出るものが出ない、出るべきものが出ない!
それって苦しいものです。
腸にモノが詰まった状態を腸閉塞と言いますが、便秘は腸にウンチが詰まった状態です。
そっか、便秘は腸閉塞に似た感じか・・・と思うと、苦しいとは思いませんか?
腹部の痛みや不快感
ウンチが腸内に溜まり続けると、腸が膨らみ痛みや不快感が生じます。
猫にとってのしんどさ
- 腹部が張り、常に鈍い痛みを感じる。
- お腹を触られるのを嫌がる。
- 丸まる姿勢をとることで痛みを和らげようとする。
- 動くたびに腹部が圧迫され、苦痛を感じる。
排便の困難
便が硬く乾燥し、直腸に溜まることで排出が困難になります。
猫にとってのしんどさ
- トイレで踏ん張ってもウンチできないため、何度もトイレを行き来する。
- 排便時に痛みを伴い、鳴き声を上げる。
- 排便が成功しても、少量しか出ずスッキリしない。
全身の倦怠感
ウンチが腸内に留まることで腸の動きが悪くなり、老廃物がカラダの中に溜まります。
その結果、毒素が血液中に吸収されカラダ全体に影響を及ぼす腸内毒素症を起こします。
猫にとってのしんどさ
- だるさが続き、動きたくなくなる。
- 食欲が減り、元気がなくなる。
- 排便ができない不快感で、落ち着きがなくなる。
脱水症状
便秘の猫では水分摂取が不足している場合が多く、体内の水分バランスが崩れています。
また腸内でウンチが硬くなるほどカラダから水分が吸収され、さらに便秘が悪化します。
猫にとってのしんどさ
- 口の乾燥、皮膚の弾力の低下など、全身が脱水状態になる。
- 体力が低下し、倦怠感が増す。
精神的なストレス
便秘の不快感や痛みが続くと、猫がストレスを感じやすくなります。
猫にとってのしんどさ
- トイレで苦労する経験がトラウマとなり、トイレを避ける行動が見られる。
- 飼い主に対して攻撃的になる、または隠れる時間が増える。
- ストレスがさらなる腸の働きの低下を引き起こし、便秘が悪化。
重症化による合併症
便秘が慢性化すると腸が便で詰まり、直腸脱や大腸の機能不全(巨大結腸症)を引き起こすことがあります。
猫にとってのしんどさ
- 腸が完全に機能しなくなると、排便が不可能となり全身に毒素が広がる。
- 腸の壁が損傷し、感染症や腹膜炎を引き起こす可能性がある。
便秘の症状
- トイレで踏ん張るが便が出ない。
- トイレを頻繁に行き来するが何もせず戻ってくる。
- 排便の姿勢をとるが苦しそうに鳴く。
- 便が出ても、硬く小さなコロコロした形状。
- 食欲不振や吐き気が見られる。
- 腹部が硬く触ると嫌がる。。
まとめ
猫の便秘は、腹部の痛みや排便の困難さだけでなく、全身の倦怠感、脱水、精神的ストレスなど多方面で「しんどい」を引き起こします。
早期に気づき、適切なケアや獣医師による治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、猫の生活の質を保つことができます。
日々の観察と予防を心がけることで、便秘による「しんどさ」を最小限に抑えましょう。