若山動物病院ブログ
お肌が乾燥で痒い
このところ、お肌の乾燥から痒みを訴える子が多く来院します。
お肌の乾燥は一見軽い問題のように思えますが、実は奥深いんですよ!
放置すると皮膚炎や感染症を引き起こしてしまいます、
お肌の乾燥による皮膚炎は、乾燥が原因以外の皮膚炎とも症状が似ています。
そのため皮膚の状態を細かくチェックすることが重要です。
乾燥による症状
フケが増える
幹部を舐めたり掻いたりしている
皮膚がのヒビ割れ
皮膚が赤くなっている
毛が抜けている
湿疹が見られる
強い臭いやべたつきがある
犬の皮膚は外界からの刺激や感染を防ぐ「バリア機能」を持っています。
このバリアが正常に働いていれば、外部からのアレルゲンや病原菌が侵入しにくい状態です。
しかし皮膚が乾燥するとバリア機能が損なわれ、外からの刺激に弱くなります。
これが原因でかゆみや細菌などの感染が起こりやすくなり、皮膚炎につながることがあります。
乾燥した皮膚が皮膚炎につながる理由
皮膚の一番外側りある角層(角質層)は、外部からの刺激を防ぎ内部の水分を保持する重要な役割を担っています。
この角層が乾燥すると、さまざまな問題が発生します。
ちなみ犬ではヒトよりも皮膚が薄く、乾燥による影響を受けやすいという特徴があります。
バリア機能が壊れる
健康な皮膚は「バリア」の役割をして、外からの刺激や細菌、アレルギー物質を防ぎます。
乾燥するとこのバリアが壊れ、刺激や病原菌が皮膚に入りやすくなります。
角質層の崩壊
皮膚の表面には「角質層」と呼ばれる保護層があり、水分を保ちながら外部からの刺激を防ぎます。
乾燥によって角質層が乱れると微細なひび割れが生じ、そこから刺激物や病原菌が侵入します。
皮脂の減少
犬の皮脂腺から分泌される「皮脂」は、皮膚表面に薄い膜(皮脂膜)を作り水分蒸発を防ぎます。
乾燥によって皮脂の分泌が減ると、皮膚はむき出しの状態になり水分が逃げやすくなります。
自然の保湿成分が失われる
健康な皮膚には「自然保湿因子(NMF)」と呼ばれる成分が含まれ、皮膚内に水分を保持します。
乾燥するとこの保湿因子が失われ、さらに水分が蒸発しやすくなる悪循環が起こります。
皮膚の痒みから
乾燥によって皮膚が引き締まる感じになり、犬はかゆみを感じやすくなります。
犬がかゆがって掻くと皮膚に傷ができ、それが炎症や感染を悪化させます。
抗ヒスタミン剤はアレルギー性のかゆみには効果がありますが、乾燥によるかゆみには効果が限定的です。
感染症のリスクが高まる
乾燥で皮膚に小さな傷やひび割れができると、細菌やマラセチアなどのカビの一種が入り込みやすくなります。
そうなると、皮膚の痒みはさらに強くなってしまいます!
まとめ
犬の皮膚は、外からの刺激を防ぐ「壁」のようなものです。
その壁が乾燥からヒビが入ってしまうと、様々な刺激物や病原体が皮膚の中に入ってきてしまいます。
その結果、痒みや炎症が起きやすくなります。
この壁を修復し強くするためには、保湿とオメガ3や6の脂肪酸を多く含む食品を与えたり、部屋の湿度を50〜60%に保つなどのケアが必要です。
乾燥からくる皮膚のトラブルは、早めの対策で改善しやすいものです!