Dr.Nyanのすこやかコラム
飼い主様に伝えたい犬猫の病気や日常ケアについての役立つコラムをお届け♪
犬・猫の「臭い下痢」と「あまり臭くない下痢」|原因と症状・受診の目安
犬の下痢と言っても、水のような下痢や泥状の下痢など様々です。
そんな下痢の中でも「とっても臭い下痢」と「あまり臭くない下痢」がありますが、この違いは何でしょう?
下痢のニオイの特徴や原因を、具体例を挙げながら詳しく説明します。

飼い主
先生、うちの仔が最近下痢気味なんです。いつもより凄く生臭いというか、腐ったようなニオイがして心配で…
Dr.Nyan
それは心配だね。実は犬や猫の下痢の『ニオイ』は、お腹の中で何が起きているかを知るためのとても重要なサインなんだ。ニオイが強い場合と、そうでない場合では原因が大きく異なるんだよ
とても臭い下痢
原因とメカニズム
「とても臭い下痢」は、主に腸内での細菌繁殖や、未消化の食べ物が異常に発酵・腐敗していることが原因です。
腸の粘膜がダメージを受けることで、血液や粘液が混じり、さらに独特の強烈な悪臭を放つようになります。

飼い主
下痢のニオイって、そんなに重要なんですか?
Dr.Nyan
実はかなり重要なんだ。
「腐敗臭」なのか、「酸っぱい臭い」なのかで、腸の中で起きていることが変わってくるよ。
下痢には「小腸性下痢」と「大腸性下痢」があります。
小腸性では大量の便・体重減少・脂肪便が見られやすく、大腸性では少量頻回・粘液便・血便が特徴です。

飼い主
血が少し混じるだけでも病院に行った方が良いですか?
Dr.Nyan
鮮血だけなら大腸炎のことも多いけれど、黒い便や元気消失を伴う場合は緊急性が高いこともあるんだ。
主な特徴・症状
- 強烈な硫黄臭(腐った卵のニオイ)や腐敗臭がする
- 便に粘液(ドロっとしたもの)や血液が混じることがある
- お腹にガスが溜まり、便が泡状になって出る
具体的な疾患とリスク
リスク先生
強いニオイを伴う下痢は、腸内環境の乱れや消化異常が起きているサインです。
中には軽度で一時的なものもありますが、血便・嘔吐・元気消失を伴う場合は注意が必要です。
「腐ったような臭い」「硫黄臭」が強い場合は、早めの受診をおすすめしますぞ!
細菌性腸炎
原因
サルモネラ菌、大腸菌、クロストリジウム菌などの感染。
特長
激しい腹痛や血便、時には嘔吐や発熱を伴う、非常に強い悪臭。
不適切な食事・誤食による中毒
原因
腐敗した食べ物、高脂肪・高タンパクな食事の過剰摂取。
特徴
便が油っぽくテカテカしており(脂肪便)、生臭い腐敗臭がする。
腸内細菌の異常増殖
原因
小腸での細菌の過剰な増殖により発酵が進む。
特徴
硫黄のような強烈なニオイを伴う下痢となり、腸内でのガス発生が多い。
膵外分泌不全(EPI)などの消化器疾患
原因
膵臓からの消化酵素が不足し、栄養を十分に分解できない。
特徴
しっかり食べているのに体重が落ちる(痩せる)症状を伴い、油っぽい強烈な悪臭の下痢が出る。
特にジャーマン・シェパードなどで見られることがある疾患です。
寄生虫感染(ジアルジアなど)
原因
腸にジアルジア、トリコモナス、回虫、鉤虫などの寄生虫の感染によります。
特徴
独特の生臭さや粘液便を伴うことがあります。
特に子犬・子猫、多頭飼育では注意が必要です。
あまり臭くない下痢(軽度の軟便・水様便)
原因とメカニズム
「あまり臭くない下痢」は、腸の動き(蠕動運動)が一時的に早くなりすぎ、内容物が十分に水分を吸収されないまま排出されてしまうことが主な原因です。
腸内での異常な発酵や腐敗が起きる前に便が出るため、強い悪臭にはなりません。
ヨーグルトのような酸っぱい臭い」がする場合は、腸内発酵が関係していることがあります。
主な特徴・症状
- 水様性または柔らかい便
- 強い臭いはなく、少し酸っぱいような臭いがする
- 一過性(1〜2回)で終わることが多い
具体的な原因
Dr.Nyan
こちらのタイプは、お腹のバリア機能自体は壊れていないことが多いんだ。ただし、長引く場合は脱水に注意しようね。
身体の冷え
原因
冬場の寒さ、エアコンの効きすぎ、冷たい水の飲みすぎなど。
特徴
一時的に腸の動きが活発になる。ニオイはほとんどないか少々の酸味臭。
ストレス性の下痢
原因
ペットホテル、引っ越し、来客、飼い主の不在などによる。
特徴
臭いが弱く、元気や食欲はいつも通りあることが多く、環境に慣れると自然に治まる。

飼い主
ストレスだけで下痢になるんですか?
Dr.Nyan
犬や猫の腸はとても繊細なんだ。
来客やホテルだけでも腸の動きが変わることがあるよ
過敏性腸症候群(IBS)
原因
自律神経の乱れや腸の感受性が高くなることで、腸の運動が速くなる。
特徴
臭いが少なく、頻回の下痢が見られるが、腸の粘膜は大きく損傷していないことが多い。
一時的な消化不良
原因
食べすぎや急に新しい食事に変えた場合。
特徴
臭いが弱い緩い便が出るが、数回の排便で自然に治まることが多い。
視認性を高める比較表
スマホ画面でもスクロールして崩れないよう、シンプルなレスポンシブ対応の表(Tableブロック)でまとめます。
| 項目 | とても臭い下痢 ⚠️ | あまり臭くない下痢 🐾 |
| 主な原因 | 細菌感染、重度の消化不良、膵臓などの疾患 | 冷え、ストレス、突発的な食べすぎ |
| ニオイの特徴 | 硫黄臭、強烈な腐敗臭、油臭 | ほぼ無臭、またはわずかに酸っぱい臭い |
| 便の状態 | 粘液・血液混じり、ドロドロ、泡状 | 水っぽい、形のない軟便 |
| 全身の症状 | 元気がない、嘔吐、発熱、腹痛を伴う | 元気や食欲は比較的あることが多い |
| 緊急度と対応 | 高い(速やかに動物病院へ) | 低〜中(1〜2回で治まれば様子見も可) |
リスク先生
「臭いが弱い=安心」ではないぞ!
下痢が続く・食欲低下・嘔吐がある場合は必ず受診じゃ!
よくある質問
下痢のニオイがいつもと違ったら、すぐに病院へ連れて行くべきですか?
はい、特に「腐敗臭」や「生臭いニオイ」が強く、元気がない場合は早めの受診をおすすめします。 単なる食べすぎや冷えであればニオイは強くありません。
強い悪臭がある場合は、腸内で細菌異常増殖や粘膜炎症が起きている可能性があります。
病院を受診する際、便を持参したほうが良いですか?
可能な限り、新鮮な便をビニール袋やラップに包んでお持ちください。 顕微鏡で寄生虫や細菌のバランスを調べる「糞便検査」をすぐに行うことができるため、より迅速で正確な診断につながります。持参が難しい場合は、スマホで便の写真を撮ってお見せいただくだけでも大変参考になります。
まとめ
とても臭い下痢は細菌感染や消化不良など深刻な原因が潜んでいることが多く、治療が必要な場合があります
あまり臭くない下痢は冷えやストレス、一時的な消化不良が原因であることが多く、軽度で短期間で治まることが多いとされます。
ただ臭いが弱くても、数日以上続く場合は検査が必要になることがあります
便のニオイや性状を観察することで、原因を推測し適切な対応を取ることが重要になります。
「たかが下痢」と軽く考えず、早めに対処してあげることが大切です。
筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

本記事は、犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。
特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。
また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。