若山動物病院ブログ
猫の別腹
朝ごはんを半分残していた猫ちゃんが、大好きなオヤツを見た瞬間にスタスタとこちらに・・・
そして真剣な顔して、おねだり・・・
「んっ??? さっき食べてなかった?」
と驚いたことも多いのではないでしょうか。
実はそれ、猫の「別腹」を発動しているのかもしれませんヨ!
実は猫には、犬ほどあからさまではないけれど別腹的な食行動があります。
ただそれは食いしん坊からではありません。
猫らしい繊細さとこだわりが詰まった、ある意味で選ばれし別腹なんです。
今回は、そんな猫の「本当に食べたいとき」についてのお話です。
猫は、ごはんは気分
猫はもともと、一日に何度も獲物を狩って少しずつ食べるというライフスタイルで進化してきました。
つまり「お腹が空いたら少し食べ、また後で食べる」というスタイルが、本能として脳にインプットされています。
ですから1回の食事で、胃がパンパンになるほど食べることはあまりありません。
「ちょっと残す」「あとでまた食べる」が普通なんです。
そこで、そこに登場するのが好物です。
普段はマイペースで食べる猫ちゃんも、大好きな焼きカツオやチュール、ツナの缶詰などを見ると・・・
眼の色が変わる子がいます。
「ごはんは、いらなぁ〜い!
でもそれは食べたぁ〜いんだよ!!」
これが猫にとっての別腹かも、なんです!
つまり、お腹がいっぱいかどうかではなく、食べる価値があるかどうかで判断しているのです。
嗜好性の高さ=別腹の条件
猫の別腹が発動するかどうかには、いくつかの条件があります。
1.におい
猫は嗅覚が鋭く、「食べたいかどうか」を香りで判断します。
好みの香りじゃないと、見向きもしないことも!
2.温度と食感
冷たいものよりも体温に近いもの、パサパサよりもしっとり系が好まれがちです。
3.音や習慣
袋のカサカサ音、開封のカチッという音。
これらの音が「美味しいモノが出てくるサイン」と結びついていることもあります。
これらの条件がそろったとき、猫の別腹スイッチがONになります。
ただ・・・
そこは気まぐれな猫です。
昨日食べたものを今日はいらない!
見向きもしなかったり、急にブームが去ったり。
同じものを与えても、毎回同じ反応になるとは限らないのも猫らしさですよね。
おねだり成功がクセになる?
別腹が可愛い仕草として見られる一方で、ちょっと注意しておきたいのが「おねだり癖」です。
「この鳴き方でおやつがもらえた」
「このタイミングで出てきたら反応してくれた」
といったことを覚えるのがとても得意なんです!
気がつけば、おやつの時間が1日3回、4回と増えていた・・・ということも。
しかも・・・
食べないごはんを前にして「おやつ頂戴ビーム」を発動してくる猫もいます。
その可愛さに負けてしまう気持ちは痛いほどわかりますが、そこは愛情でコントロールしましょうね!