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先天性の臍ヘルニア

先天性臍ヘルニア

お腹をなでていると「お腹の真ん中あたりがプクッと膨らんでる」んです。
しかも触るとやわらかくて、少し押すと引っ込んじゃううな感じがするんです。
これって何かしら?

あら・・・
それそれ「臍ヘルニア」かもしれませんよ。
診てみましょうね!

臍ヘルニア」とはどんなものなのか、そして治療についてやさしく説明します。

目次

臍ヘルニアってどんな病気?

「ヘルニア」とは、体の中の臓器や脂肪が、本来あるべき場所から飛び出してしまう状態のことを言います。
臍ヘルニア」はその中でも、ヘソの部分(=臍)からお腹の中の脂肪などが皮膚の下に出てしまうものです。

ヘソは、赤ちゃんの時に「ヘソの緒」が通っていた場所です。
普通は生まれた後にその穴がきちんと閉じるのですが、何らかの原因によってこの穴が完全にふさがらず、少しだけ隙間が残ってしまうことがあります。
それが、臍ヘルニアとなってしまうのです。

どうして起こるの?

多くの場合は生まれつき、いわゆる先天性です。
つまり、生まれた時からお腹の筋肉が少し開いている状態なんです。

これは遺伝的な体質が関係していることもあります。
そのため、兄弟や親猫にも同じようなヘルニアが見られることもあります。

また、まれにケガなどで後からできる場合もあります。
しかしほとんどは、子猫のうちに見つかる「先天性ヘルニア」なんですよ。

見た目や症状

見た目の特徴は、とてもシンプルなんです。

  • ヘソのあたりが、ふくらんでいる
  • 押すと「スッ」と引っ込む
  • 痛がったり嫌がったりはしない

これが、典型的な臍ヘルニアの様子です。

小さいうちはほとんどが元気で、特に不快そうな様子もありません。
しかし、次のような変化があった場合には注意が必要です。

  • 急にふくらみが硬くなった
  • 押しても戻らない
  • 痛がる、元気がない、吐く

これらの症状があるときは、腸などが挟まって血が通わなくなる「絞扼ヘルニア」という危険な状態になっている可能性があります。
その場合はすぐに手術が必要になります。

実際の様子

今回の猫ちゃんは、へその部分に小さな丸いふくらみがありました。
押すと少し戻るものの、成長しても閉じる気配がなかったため、安全のために手術で治すことになりました。

ヘソのあたりが、丸くふくらんでいます。
これは皮膚の下に、お腹の中の脂肪が少し出ている状態です。

開いた穴から、飛び出した脂肪(白くてつるっとした組織)が見えています。
幸い腸などは出ておらず、脂肪だけでした。
皮膚の下の脂肪とも癒着を起こしていたので、それらと分離した状態です。

穴から出ていた脂肪を、お腹の中に戻した状態です。
丸く穴が開いてるのが、ハッキリわかります。
しかもその穴の前後の部分が薄く透けた感じで、腹壁ヘルニアを起こしそうな感じになっていました。

穴と、その周囲の部分をしっかり縫って閉じました。
これでお腹の中身が再び飛び出す心配はなくなります。

手術はいつするのがいい?

小さな臍ヘルニアの場合、自然に穴が閉じることもあります。
しかし生後6ヶ月を過ぎても残っている場合には、避妊や去勢の手術と一緒に整復するのがおすすめです。
1回の麻酔で両方の手術ができるため、猫ちゃんの負担も少なく済みます。

放っておくと成長に伴って穴が大きくなったり、脂肪が癒着して硬くなったりすることもあります。
そのため「まあ大丈夫かな…」と様子を見るより、早めに対処した方が安心です。

手術後の回復

手術後は1週間ほどで抜糸できることが多く、お腹もすっかりきれいになります。
再発はめったになく、元気に走り回れるようになります。
ヘソの部分もすっきり平らになり、見た目にも違和感がありません。

ヘソの部分に膨らみを見つけたら、相談して下さいね!
ほとんどの場合は命に関わるものではありませんが、まれに危険なタイプもありますから!

まとめ

臍ヘルニアは「ヘソの部分」から脂肪などが出てくる病気です。
多くは生まれつきで、自然に閉じないこともあります。
放置すると腸が挟まって危険なこともあります。
避妊・去勢と同時に手術するのが良いかと思ってます。

今回の猫ちゃんも、手術後もとても元気です。
お腹の膨らみを見つけたら、早めの発見と治療で、安心・安全な猫ライフを!