若山動物病院ブログ
去勢手術の必要性
当院では生後5〜6ヶ月を目安に去勢手術をおこなっています。
去勢妊手術は『予防を目的』とした手術で、精巣を摘出することで性ホルモンが原因となっておこるさまざまな病気や問題行動を未然に防ぐことができます。
〈 去勢手術で予防できる病気 〉
- 性ホルモン性皮膚病
体内の性ホルモンバランスが崩れることにより、脱毛や脂漏症をおこしてしまいます。
精巣腫瘍に関連して生じると言われています。
- 前立腺肥大
初期症状はほとんど見られず、肥大が進行すると結腸や直腸を圧迫してウンチの通過障害や慢性の便秘になることがあります。
前立腺肥大があると細菌感染がおこりやすく細菌性膀胱炎になってしまったり、血尿や排尿困難といった症状が出てくることもあります。
また、急性前立腺肥大では発熱や嘔吐、食欲不振などが見られます。
- 精巣腫瘍
主に精細胞腫、セルトリ細胞腫、間細胞腫の3種類があり、どれもほぼ同じ割合で発生し転移は稀とされています。
未去勢の犬では2番目に多く遭遇する腫瘍と言われていて、潜在精巣(停留精巣、停留睾丸)の子は腫瘍化するリスクが10倍以上高くなるとも言われています。
精巣の大きさが左右で極端に違う場合や精巣の表面がデコボコとしている場合には、精巣腫瘍の可能性を考える必要があります。
- 肛門周囲腺腫
肛門周りにある分泌腺が腫瘍化したもので、できた場所や大きさによっては排便障害をおこしたり腫瘍が破裂して化膿・出血したりします。
肛門以外に尻尾や腰部、包皮にできることもあります。
- 会陰ヘルニア
肛門周り(会陰部)の筋肉が弱く薄くなることで筋肉と筋肉の間に隙間ができてしまい、その隙間から腸や膀胱、前立腺、脂肪などが飛び出てしまう病気です。
悪化・慢性化すると排便・排尿障害や臓器の壊死がおこり、命に関わる場合があります。
去勢手術は必ずしなければならない手術ではありませんが、その子の将来を考える上でとても重要な選択になります。
病気の予防についてもそうですが、忘れてはならないのが「災害時の同行避難」について。
自治体によってルールは異なりますが去勢手術をおこなっていないと同行避難ができない場合があり、環境省が出している「災害時における救護対策ガイドライン」でも同行避難のマナーとして去勢手術が勧められています。
いつまでも健康的で元気に過ごして欲しいからこそ、しっかりと考えてあげる必要があります。