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若山動物病院ブログ

細胞診か組織診か・・

腫瘍の種類は不明、悪性度20%と診断されたワンちゃんが来ました。
細胞診の診断は検査センターでは無く、自院で行ったそうです。
良性とは言えないとのことで、摘出手術になったのです。

ただ何の腫瘍かもわからず、しかも全身麻酔だし気が進まないとのことでした。
そこで、当院を受診したそうです。

飼い主さんとの話し合いの結果、組織診を行うことになりました。
パンチ生検と言って、局所麻酔後に直径6mmのトレパンという器材で患部の表皮·真皮·皮下組織を筒状に採取する方法です。
採取部位を縫うこともありますが、縫わずにおくこともあります。

皮膚から病変部を丸く採取した部位です。

細胞診も組織診も、顕微鏡で検査を行います。

  • 細胞診は、個々の細胞の形を観察し診断します。
  • 組織診は、細胞だけでなく組織の構造も観察し診断します。

そのため、細胞診より組織診の方が確実に悪性度が診断できます。

じゃ~検査は細胞診じゃなく、すべて組織診を行えば良いじゃん!

そうかもだけど、細胞診と組織診じゃ違うんだってよ!
それぞれに特徴があるんだってさ!

例えば血尿です···
その原因は腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかのトラブルです。
そのような場合では、まず原因を探るにはオシッコの検査を行いますよね?

オシッコの中に···
細菌が住んでいるのか?
悪い細胞が出ているのか?
これを調べるのが、細胞診です。

ちなみ細胞診は採取方法によって、穿刺吸引細胞診、捺印細胞診、剥離細胞診、擦過細胞診などに分類されます。
オシッコでは腎臓や膀胱などの組織から自然に剥離(剥がれてきた)細胞を検査するため、剥離細胞診と言います。

細胞診では、細胞の種類や形から悪性か良性かなどを推察します。
しかし細胞診ではオシッコの通り道のどこにトラブルがあるかは、チョットわかりません。

じゃ~やっぱりさ、最初から組織診をすればって思うけどさ!

そうは言っても腎臓、尿管、膀胱、尿道の全部の組織を切り取って調べる訳にはいかんじゃろ?

細胞診と組織診を比較すると、細胞診は検体を採取しやすく体への侵襲が少ないという長所があります。
そのため、一般的には最初は細胞診を行うことが多いように思います。
しかし組織の構造については組織診の方が良くわかるため、確定診断には組織診が必要となります。

それぞれの検査には一長一短あるため、どちらが良いかは症状などを見ながら決めていきます。

細胞診で細胞を採取する方法の種類

穿刺吸引細胞診
皮膚の中や皮膚の下の組織、また内臓の病変部に針を刺して細胞を採取する方法です。
お腹の中の組織の採取は、超音波を使い採取します。
当院では腫瘍を調べる時に行っています。

捺印細胞診
皮膚や手術などで採取された組織をガラスに押し当て、細胞を採取する方法です。
皮膚の検査で行うことが多い方法です。

剥離細胞診
病変部から自然に剥離した(剥がれ落ちた)細胞を採取する方法です。
オシッコや胸水、腹水などの中の細胞を採取する時に行っています。

擦過(さっか)細胞診
病変部の表面部分を、綿棒やブラシなどで擦り細胞を採取する方法です。
ここでは猫風邪の原因を調べる時などで行っています。

いろんな方法で検査するんだね!