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若山動物病院ブログ

タミフルを使う

タミフルを使う

生後2ヶ月齢・・・
ここ数日下痢から徐々に元気も食欲も落ち、そして昨日から吐き出し食欲が全く無くなったとのことです。

来院した時には下痢と言うか、悪臭漂うトマトジュースみたいな血が混じった粘液血便。
お腹も痛み、ウンチは垂れ流しのためかお尻周りも汚れて何とも言えない状態になってました。
下痢と嘔吐、しかも水を飲んでも吐いてしまうことから脱水症状も起こしてます。

原因は?
ストレス、胃腸炎?寄生虫?
もう少し大きくなってたら、食物アレルギーや膵炎・・などもの病気も考えられるけど・・・
でも仔犬だよ!


そこで寄生虫を含めた腸内の感染症を疑いチェック!
白血球が異常に低い・・・

あらら?
パルボウイルス感染症?

そうなんですよ!
今から数十年前に、すごく流行ったのが犬のパルボウイルス感染症です。
その時の、悲惨な状況がが脳裏を走ります。

パルボウイルスは、元々は猫ちゃんやミンクなどに感染するウイルスとして知られていました。
しかし突然変異を起こしたのか、犬にも感染するようになってしまったのです。

このウイルスはメッチャ頑丈で、一般的な消毒薬では次亜塩素酸ソーダくらいしか効果がありません。
アルコールやクレゾールなどは効果無し、しかも環境中で数カ月以上は生きているとまで言われている強いウイルスです。

パルボウイルスはウンチの中に排泄されるウイルスで、これが口や鼻から入ることで感染します。
ただワクチンの普及で、次から次へと感染するようなことは激減しました。

しかし仔犬ではまだ感染することがあります。
しかも下痢や嘔吐が続くと、亡くなってしまうこともあります。

治療としては脱水の改善、吐き気を止めて、二次感染に対しては抗生剤の使用、そして抗ウイルス薬も使用します。
パルボウイルスは腸内に住む細菌により病状を悪化させるため、それらの治療も行います。

インフルエンザの治療薬に「タミフル」ってのがあります。
一時いろいろなことがあり話題にもなった、あの薬「タミフル」です。
この「タミフル」が、犬のパルボウィルス感染症に効果があるとされています。

投薬方法はヒトがインフルエンザに感染したときに使用するのと同じで、症状が出て48時間以内に服用開始し、1日2回で5日ほど使用します。

実際には、パルボウイルス感染症と確定してから使うべきとは思います。
しかしパルボウイルス感染症が激減するにつれ検査薬を使うことも無くなり、検査薬を常備することも無くなってしまいました。
そのため一般症状と白血球の減少から仮診断し、治療を行うことになりました。

ちなみ猫ちゃんのパルボウイルス感染症(汎白血球減少症)にも、タミフルは効果があるとされています。