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若山動物病院ブログ

狂犬病

千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。

毎年春になると動物病院ではワンちゃんの来院数がグッと上がります。
その理由は5月から始まるフィラリア症予防に向けての準備や狂犬病の予防注射などが挙げられます。
特に狂犬病の予防注射は狂犬病予防法という法律により成犬は毎年4〜6月に予防注射を受けること、生後91日以上の仔犬ちゃんはお家に来てから30日以内に予防注射を受けることと定められています。
また狂犬病の予防注射を受けた場合には各市区町村への届出と登録申請が義務付けられています。

鑑札
右:各市町村に登録すると発行される鑑札 左:毎年予防注射して届出をすると発行される注射済票
目次

狂犬病とは

『狂犬病』とは狂犬病ウイルスを病原体とした致死性ウイルス性脳炎を引きおこす人獣共通感染症で、「犬」という字が入っていますがワンちゃんだけでなく人を含むすべての哺乳類に感染します。
症状があらわれた場合には致死率はほぼ100%で、現在でも世界中で年間約5.5万人が亡くなっており、これは10分に1人が亡くなっている計算になります。

日本では1957年以降国内での発生は見られていませんが、近年では2020年にフィリピンから入国した男性が発症し約1ヶ月後には亡くなっています。

狂犬病ウイルスはゆっくりと神経を通って中枢神経に侵入して発症します。
感染から発症までの潜伏期間は1~3ヶ月程度、長くて半年ほどだそうです。
人の場合には過去に1年以上の潜伏期間を経た事例もあります。

感染経路

狂犬病ウイルスに感染した動物の唾液に含まれるウイルスが体内に侵入することで感染します。
咬まれたり引っ掻かれたりしてできた傷や目・口などの粘膜に飛沫物が付着しても感染することがあります。

人への感染は99%が犬からですが近年では野生動物からの感染が増加しており、アジアでは犬、アフリカでは犬・マングース・ジャッカル、北米ではアライグマ・スカンク・コウモリ、中南米では犬・コウモリ、西欧ではキツネ・コウモリ、東欧ユーラシアではキツネ・犬と地域によって異なります。

人から人へ感染することはありませんが、角膜移植や臓器移植などによる移植患者への感染例があります。

症状

狂犬病の症状は主に「狂騒型」と「麻痺型」の2タイプがあります。
「狂騒型」は徘徊や壁に自らぶつかるような異常行動に始まり、激しい興奮状態から攻撃的になったり精神錯乱状態になったりするのが特徴です。
「麻痺型」は後半身から前半身に麻痺が拡がり、排泄が困難になったり、食餌や水分が摂れなくなったります。

狂犬病を発症したワンちゃんの約4分の1が麻痺型と言われていて、猫ちゃんの場合はほとんどが狂騒型で麻痺型は1割程度と言われています。

狂犬病予防ワクチン

狂犬病は予防注射によって防ぐことができる病気ですが、年々その接種率は下がってきています。
日本は狂犬病清浄国となってはいますが世界では依然として発生しており、いつ狂犬病が入ってきてもおかしくない状況です。
お家の子の命を守るためにもきちんと予防をしてあげましょう。