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去勢で防げるセルトリ細胞腫

千葉県佐倉市の『若山動物病院』獣医師の齋藤です。

みなさんは去勢を済ませていますか?
去勢をするだけで防げる病気があることはご存知でしょうか。

過去のブログで去勢の大切さを説いているものがあります。
よろしければそちらも是非お読みください。

わんちゃんやねこちゃんの負担を減らすために処置をするのはもちろんですが、病気になってから治療する出費も防げるのは大きいですし、当然ながらそうした病気に関する親御さんの心配も無くなります。

避妊、去勢はそういった意味で非常に重要なことだと認識しています。

さて、今回は去勢で防げる病気のひとつ
『セルトリ細胞腫』についてお話ししたいと思います。

セルトリ細胞腫というのは精巣の腫瘍のひとつです。
発生は主にわんちゃんです。
ねこちゃんではなかなか発生はしませんが、決して起こらないわけではありません。

精巣の腫瘍には
👉間質細胞腫
👉精上皮腫
👉セルトリ細胞腫
の3種類があります。

それぞれ腫瘍の原因となる細胞によって種類が分かれています。

セルトリ細胞というのは精子形成を促す支持細胞で、簡単に言えば精子形成をお世話する細胞と考えていただいて大丈夫です。

50%以上が潜在精巣から発生するとされてますが、良性の腫瘍です。良性というのは転移しにくいという意味で、症状は以下の通りです。

臨床的特徴は女性ホルモンであるエストロゲンを大量に放出するので、丸みを帯びてくるとか、乳房が大きくなってくる等のメス化をしてきます。
また両側性の対称性脱毛や前立腺過形成も起きてしまいます。

転移は5〜10%と言われており、近傍のリンパ節(鼠径リンパ節、腸骨リンパ節、腰下リンパ節)へが多いとされています。

さきほどエストロゲンを大量に放出するといいましたが、これが厄介なんです。

エストロゲンはステロイドホルモンに分類されます。
当然、生理的に必要なホルモンなので適量ならいいのですが、腫瘍化して大量に出るのが問題なんです。

ステロイドホルモンがずっと出続けると骨髄に抑制がかかります。そうすると貧血症状を示します。
白血球などの免疫も低下して、易感染性になり、弱ったところに更に感染もとなると踏んだり蹴ったりになります。
血を止める血小板も減少して、出血傾向にもなります。

治療は外科的摘出(去勢)になります。
貧血で、感染しやすく、血も止まりにくい。。。去勢だけなら出血も少ないですが、、、

若いうちに去勢をしておけば、歳をとってからの全身麻酔のリスクも回避できます。

去勢で防げる病気には他にも会陰ヘルニアや前立腺肥大や肛門周囲腺腫などもあるので、ひとつずつ紹介する機会があればブログで書いていきます。

繁殖する予定がなければ去勢をお勧めしますが、しないなら定期的な検査をお勧めします。

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