若山動物病院ブログ
歯科処置
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
今日は5歳の猫ちゃんの歯科処置がありました。
この子は昨年秋頃から鼻水と目ヤニが出ているとのことで当院を受診。
問診でご家族の方にいろいろとお話を聞いてみると、どうやら原因は口にありそう。
実際に口の中を見てみると口臭と痛み・歯石があり、歯肉も赤く腫れて出血している場所もありました。
歯周病菌をチェックしてみると悪玉菌がかなり繁殖していたので、まずは歯周病菌の数を減らすことと口腔内免疫力の強化から治療を開始しました。
治療を始めてから1週間ほどで鼻水と目ヤニが改善し、落ちていた食欲も戻ってきました。
しばらく同じ治療を続けて歯周病菌の数が減ったところで、歯科処置をして根本治療をおこなうことになりました。
歯石を外して歯と歯肉の状態を細かく確認していくと、歯石の下に吸収病巣ができているのがわかりました。
吸収病巣とは歯が吸収されて骨に置き換わってしまう病気で、3歳以上の猫ちゃんの約50%が罹っていると言われています。
根本的な原因は解明されておらず、吸収病巣による強い痛みや口腔内の不快感は歯が完全に吸収されるまで続き、吸収病巣による痛みの解消には原因となっている歯を抜歯するのが一番だとされています。
抜歯した歯を見ると歯の根が溶けてなくなってしまっているのがわかります。
吸収病巣は口内炎や歯周病との鑑別が難しく、病気が進行して強い痛みが出てから発見されることがほとんどです。
口腔内の痛みは食餌が摂りにくくなるだけではなく、大きなストレスとなって生活の質を低下させる原因になってしまいます。
病気の予防・早期発見・早期治療につなげるためには定期的な歯科検診とお家でのケアがとても大切です。
歯科検診やデンタルケアについてご相談はいつでも受付けていますので、気になった方はお気軽にお声がけください!
吸収病巣については『Dr.Nyanのすこやかコラム』で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。