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猫の食欲不振や食事制限の弊害

猫の食欲不振や食事制限の弊害

元気・食欲が無く、体重が1キロも痩せてしまった猫ちゃんの来院がありました。
1キロも減ったってことは、すごく痩せたって事ですよね!
これって、カラダの中が大変なことになってる場合もあります。

猫が食べられない時間が長かったり、いわゆる食欲不振であった場合や食事の制限からカラダに深刻な影響が生じる可能性があります。
特に、そのような状況で起こる「肝リピドーシス(脂肪肝)」が最も大きなリスクとされます。
また栄養不足による、全身の代謝バランスが崩れも問題となります。

では、猫の食欲不振や食事の制限による影響を説明します。

目次

肝リピドーシス(脂肪肝)の発症

猫の肝リピドーシスは食欲不振や食事の制限により、エネルギー不足になった結果発症する可能性がある深刻な病気です。

発症のメカニズム

猫は食事から摂れるエネルギーの量が不足すると、体脂肪からエネルギーを作り出そうとします。
脂肪は肝臓で処理されますが、猫の肝臓は脂肪の処理能力が低いため脂肪が肝臓内に蓄積してしまいます。
蓄積した脂肪が肝臓の働きを妨げ肝臓の機能を悪化、いわゆる肝機能障害を引き起こします。

主な症状

  • 食欲不振や嘔吐
  • 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)
  • 倦怠感や無気力
  • 体重減少や筋力低下

肝リピドーシスは進行すると命に関わる可能性が高くなるため、早期の治療が重要です。

免疫機能の低下

食欲不振や食事の制限が続くと、栄養不足により免疫系が弱まります。
猫は必要な栄養を十分に摂れないと、免疫細胞の生成や働きが落ち感染症や病気に罹りやすくなります。

必須栄養素の不足

タンパク質不足:筋肉量の減少、傷の治癒遅延、免疫細胞の機能低下。
ビタミンAやE不足:皮膚や目の健康に影響を与え、感染症のリスクを高める。
タウリン不足:心臓や目の健康を損なう(特に猫にとって必須アミノ酸)。

筋肉量の減少と体力低下

猫が食事を摂らないと、エネルギー不足を補うために筋肉が分解され、アミノ酸がエネルギー源として利用されます。
この「筋肉分解」が進むと、以下のような影響が出ます。

  • 筋力が落ち、動くのが大変となり活動量が減ってしまいます。
  • 体力が落ちて運動ができなくなり、健康全般に悪影響が出てしまいます。

内臓への負担増加

猫が飢餓状態に陥ると、肝臓や腎臓に負担がかかります。
特に高齢の猫や慢性腎疾患を抱えている猫の場合、エネルギー不足が腎臓の機能悪化を引き起こすリスクが高まります。

消化器の働きの低下

長期間の食事制限は、消化器官の動きを弱めます。
胃腸の働きが低下すると、次のような影響があります。

  • 消化不良により食事を再開しても、胃腸が適切に機能しない。
  • 腸内の細菌バランスの崩れてしまい、有害な細菌が増えやすくなる。

精神的ストレス

猫は習慣性の高い動物であり、食事が取れないことが大きなストレスとなります。
ストレスは食欲不振をさらに悪化させ、悪循環を引き起こします。
また長い期間のストレスは、免疫低下や心疾患リスクの増加につながる可能性があります。

まとめ

猫が食べられない期間が長い場合や食事の制限を行うと、以下のような深刻な健康問題を引き起こすリスクがあります。

  • 肝リピドーシス
  • 栄養不足
  • 免疫低下
  • 筋肉量減少

これらは場合によっては、命に関わる状態になることもあります。
そのため、猫には必要な栄養を欠かさず補給することが不可欠です。