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猫が腎不全で体温が下がる理由

猫が腎不全で体温が下がる理由

急に立てなくなり、横たわったままの猫ちゃんが来院しました。
体温は35.8℃、しかもBUNが100を超えており腎臓障害を起こしています。

体温が37℃以下になった状態を、低体温症と言います。
血液検査では貧血も起こし慢性腎不全と診断し、腎臓と低体温の治療の開始です。

腎臓は老廃物をオシッコと一緒にカラダの外に排泄し、カラダのバランスを保つ重要な臓器です。
しかし、その機能が悪くなるとカラダ全体に影響を及ぼします。

猫が慢性腎不全になると、腎臓が体の中で正常に働けなくなる状態になります。
その結果として、体温が下がることがあります。
では慢性腎不全の状態になると体温が下がる、その理由を説明します。

目次

腎臓が体のエネルギーを支える力を弱める

腎臓は老廃物をカラダの外に出す働きをしていますが、慢性腎不全ではこれが十分にできなくなります。
そのためカラダの中に毒素がたまり、全身の働きが弱くなります。

毒素が体の動きを鈍くする

腎臓が老廃物を処理できないと、体の細胞が疲れてしまい元気がなくなります。
このような状態になると、熱を作り出す力も弱まってしまいます。

エネルギー不足で熱が作れなくなる

腎臓の不調が進むと食欲がなくなり、フードを十分に食べられなくなります。
その結果、カラダを温めるために必要なエネルギーが不足してしまいます。

血液の流れが悪くなる

腎臓は血液をきれいにする「フィルター」のような働きをしています。
しかし慢性腎不全では、その働きが落ちてしまいます。

血液の流れから

腎臓の調子が悪くなると、カラダ全体の血の流れも悪くなります。
血液は体の中で熱を運ぶ働きをしているため、血液の流れが悪くなるとカラダを温めることが難しくなります。

脱水から

腎臓が悪くなるとオシッコが増え、カラダの水分バランスが崩れます。
カラダの水分量が不足すると血液の量も減り、熱を運ぶ力も弱まります。

血が薄くなり酸素を運ぶ力が弱まる


腎臓は「エリスロポエチン」というホルモンを作り出します。
エリスロポエチンは血液中の赤血球を作る手助けをしていますが、腎臓の機能が落ちるとエリスロポエチンが十分に作られなくなります。

酸素が届かない

「エリスロポエチン」が十分に作られないと、赤血球が減り貧血となってしまいます。
その結果、カラダ中の各組織に酸素が行き渡らなくなります。
酸素は体がエネルギーを作り出すために必要な物質ですので、その量が減ると体温を維持する力が弱くなってしまいます。

栄養不足や筋肉量の減少

慢性腎不全が進行すると、猫は食欲が落ちたり吐いたりしてフードから必要な栄養を取ることが難しくなります。

筋肉が減る

栄養不足で筋肉が少なくなると、カラダを温めるための熱を作る力が低下します。

エネルギーが不足する

フードを食べられないとカラダを動かすエネルギーも不足し、元気がなくなってしまいます。

体のバランスが崩れる

腎臓は体の中で水分や塩分、ミネラルのバランスを保つ重要な働きをしています。
しかし慢性腎不全になるとそのバランスが崩れます。

塩分(ナトリウム)の不足

塩分が少なくなるとカラダの細胞がうまく働けず、体温を維持する力が弱まります。

筋肉の動きが鈍くなる

カリウムなどのミネラル分が不足すると筋肉がうまく動かなくなり、筋肉から熱を作り出す力が低下します。

炎症や感染症の影響

慢性腎不全ではカラダが弱り、病気に対する免疫力が落ちてしまいます。
その結果、炎症や感染症が起こりやすくなります。

体がエネルギーの消耗

炎症や感染症があると、カラダが病気と戦うためのエネルギーを大量に必要とします。
そのため体温を維持するためのエネルギーが、不足してしまいます。

感染症から

重い感染症や敗血症が起こると、体温が下がってしまうことがあります。

どのような症状?

慢性腎不全で体温が下がった猫には、次のような症状が見られることがあります:

  • 動かない、ぐったりしている
  • 食欲がない
  • 耳や足が冷たい
  • ふらふら歩く
  • 暖かい場所を探すようになる・丸まってジッとしている

まとめ

猫が慢性腎不全になると、体のエネルギー不足、血液の流れの悪化、栄養失調、そして感染症などが重なって体温を維持する力が弱くなります。
もし猫が元気をなくして寒がるような行動を示した場合は、注意が必要です。

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