若山動物病院ブログ
お腹が腫れてきた
お腹に水が溜まる猫ちゃんが来院しました。
この猫ちゃんは、1年以上も前に別の病院で腹水を抜いたことがあるとのことでした。
そして今回、またお腹が膨れて来たので当院を受診となりました。
エコー検査の結果では腹腔内には嚢胞状の構造が見られ、中に淡い黄色の液体が溜まっていました。
また血液検査でも心臓、肝臓、腎臓などに大きな異常は見られず、内臓機能には問題がないようでした。

次にFIP(猫伝染性腹膜炎)の可能性を調べるため、検査を行いました。
その結果、抗体価は6400倍という高い数値を示しFIPを強く疑わせるものでした。
FIPはコロナウイルスによる疾患で、湿性型(腹水や胸水が溜まるタイプ)と乾性型(結節や臓器障害を伴うタイプ)があります。
今回の猫ちゃんの場合、腹水の存在や抗体価の高さから湿性型FIPの可能性が高いと考えられます。
FIPは診断が難しい病気ですが、早期に治療を開始することで症状の進行を抑えることが期待できます。
特に近年では新しい治療薬が登場しており、以前よりも治療成功率が上がっています。
ただし、これらの治療は費用がかかることがあるため十分に相談しながら進める必要があります。

今回の症例は腹水が見られる猫ちゃんにおいて、慎重な診断と適切な検査が重要であることを改めて教えてくれました。
飼い主の皆様には、愛猫の体調に少しでも気になる点があれば早めに受診していただくことをお勧めします。
早期の対応が、猫ちゃんの健康と生活の質を守る鍵となります。