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若山動物病院ブログ

犬の別腹

犬の別腹

犬はもともと、野生のオオカミにルーツを持つ動物です。
自然界ではいつ食べ物にありつけるかわからないため、「食べられるときに食べておく」という生存本能が備わっています。

このため目の前に食べ物があると『満腹かどうか”より今食べておくべきかどうか』で判断するのです。
食後であっても、飼い主さんがオヤツの袋を開ける音を聞いただけで、「それ、今のうちにもらっておかないと!」とスイッチが入ってしまうわけです。

さらに犬の胃はとても柔軟にできていて、たっぷり食べてもさらに容量を広げることができます。
まるで伸び縮みする風船のように、必要があればスペースを作ってしまうのです。
これ物理的な「別腹」の正体なんです。

「うれしい」が詰まった別腹

でも・・・犬の「別腹」は本能や胃袋の構造だけでは語りきれません。

犬の脳は「美味しいものを食べたとき」にドーパミンという快楽物質を出すしくみになっています。
これはヒトと同じなんです。
つまり犬にとって美味しいオヤツは、「空腹を満たす」だけでなく、「うれしい気持ち」や「楽しい思い出」と結びつくのです。

たとえばトレーニングのごほうびに使ったおやつ。
褒められた時に出てきたボーロ。
家族がそろって笑っているときに分けてもらえたパンのはじっこ。
そういった「いい記憶」が、食べ物と結びついて、より一層別腹を育てていくんです。
つまり、犬の別腹には「愛情や楽しさ」が詰まっているともいえるかもしれませんね。

気をつけたいのは「与えすぎ」

可愛いからといって、毎回おねだりに応じてしまうとダメですよね!
気がつけばオヤツの回数が増えて、食事よりオヤツが主役になってしまった、なんてこともあります。

食後でも欲しがるその仕草。
じっと見つめるつぶらな瞳。

犬は「おねだりするともらえる」と覚えると、賢く何度も同じ行動をとるようになります。
そのため要求吠えや催促のクセがつくこともあります。
その結果、肥満や栄養バランスの偏りの原因にもなります。

おやつは「1日のカロリーの10%以内」に抑えるのが基本とされています!
オヤツはお楽しみ、ご飯はちゃんと食べるがうルールであり、それをしっかり守ることが大切です。
またヒトの食べ物の中には犬にとって有害なもの、例えば脂肪分や塩分の多いオヤツは避けましょう。

別腹を「しつけの味方」に

とはいえ別腹の欲求そのものを、悪者にする必要はありません。

オヤツが大好きな子なら、トレーニングのご褒美や、苦手なケア(歯磨きやお薬)へのモチベーションとして活用できます。
つまり、犬の別腹は「上手に使えば最高の味方」になるのです。

大切なのは「今はあげる」「今日はおしまい」とメリハリをつけることです。
そして飼い主さんが主導権をもって、おやつ時間を楽しくて安心できる習慣にしてあげることです。

おやつをあげるその一瞬が、ワンちゃんとの大切なコミュニケーションの時間になりますように。