若山動物病院ブログ
【水】腎臓を守る小さな習慣
猫ちゃんの腎臓の健康を守る習慣として、もっと水を飲んでもらう工夫そしてあげましょう!
もともと猫ちゃんは、水分をあまり摂らなくても生きていけるカラダのつくりをしています。
その理由は、もともと水の少ない砂漠で暮らしていた動物だからです。
しかし現代の生活では、その「水をあまり飲まない体質」が、腎臓病や尿石症といった病気のリスクを高めてしまっています。
そこで今回は、猫ちゃんに楽しく、自然に水を飲んでもらう工夫の紹介です。
毎日のちょっとした工夫が、健康長寿への第一歩になりますよ。
1.器の材質や形にこだわる
猫ちゃんは、お皿の「素材」や「形」に敏感です。
- プラスチックより陶器やガラス、ステンレスが好きな子も
- ヒゲがあたらないように浅くて広めの器を選ぶ
- 食器を床から少し高くすると飲みやすくなる子も

Pointは、お皿をいくつか試して、猫ちゃんが気に入る形を見つけてみることです。
2.器の「数」と「場所」を増やす
猫ちゃんは水を探すのが得意ではありません。
そのため、いつでもどこでも飲めるようにしてあげるのも良い方法です。
- 家の数か所に水皿を置く
- 静かで落ち着ける場所や、猫ちゃんの「お気に入りの場所」に近いところに設置
- トイレやごはん皿から少し離して置いてみる

Pointは、「気づいたらそこにお水があった」という環境を作ることです。
3.自動給水器や流水タイプの導入
猫ちゃんは、流れる水に興味を持つことが多いです。
- 自動給水器は、フィルターで水を清潔に保ちつつ循環させてくれる
- 流れる水の音が好きな子は、飲水量がグンと増えることも
- 苦手な子もいるので、導入は様子を見ながら

Pointは、猫ちゃんによって好みはさまざまなので、まずは試してみることです。
4.ウェットフードやスープを活用
ドライフードだけでは、どうしても水分が不足になりがちな傾向にあります。
- ウェットフード(缶詰やパウチ)は水分約75%で自然に水分がとれる
- お湯で薄めた無添加スープをフードにかけても良い
- 水を嫌がる子には、「水ではなく美味しいものとして水分をとる」工夫が有効

当然です、塩分のあるヒト用スープやツナ缶の汁などはNGです。
5.水の「鮮度」にこだわる
猫ちゃんはニオイにとても敏感です。
お水が古かったり、ぬるくなっていたりすると口をつけない子もいます。
- 毎日2回以上はお水を交換
- お皿も毎日きちんと洗いましょう(ぬめりは細菌のもと)
- 冷たすぎない、常温の水が◎

Pointは「うちの子、水を飲まない」と感じたら、まずは水の清潔さをチェックしてみることです。
6.遊び感覚で「水」に興味を持たせる
水遊びが好きな子には、遊びを通じて水を知ってもらう方法もあります。
- お皿の中にキラキラする氷やビー玉(誤飲しないサイズ)を入れる
- 指につけた水をなめさせてみる
- 水面を軽くゆらして「面白い」と思わせる

Pointは強制せず、あくまで猫ちゃんの「自主性」に任せるのことです。
7.飲水量を把握する工夫も
健康管理のためには、「飲んだ量」を知ることも大切です。
- 飲んだ水の量を測れる器(メモリ付き)を使う
- 多頭飼いの場合は、カメラでチェックしてもOK
- 急に飲水量が増えたり減ったりしたら病気のサインかも

Pointは、シニア期になったら、水の飲み方の変化に注意して見ることです。
おわりに
猫ちゃんは本能的に「あまり水を飲まない動物」です。
しかしヒトと暮らす今の時代には、少し工夫が必要です。
水を飲んでくれる環境を整えてあげることは、飼い主さんからの大切な健康サポートに一つです!
そして尿石症や腎臓病の予防にもなり、結果的に長生きにもつながります。
今日からできることを少しずつやって、猫ちゃんの「水飲み習慣」を作っていきましょう。