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若山動物病院ブログ

猫の卵巣遺残症候群とは

手術風景

目次

猫の卵巣遺残症候群とは?

日々の診療の中で、時たま「あ〜そうだったんだ?」と思うような症例に出会うことがあります。

今回は過去に避妊手術を受けている猫ちゃんで乳腺腫瘍が見つかり、術前検査を進めていたところ残っていた卵巣が発見されました。

これは「卵巣遺残症候群(らんそういざんしょうこうぐん)」と言います。
まず滅多に出会うことがなく珍しいことなのですが、重要な病気なのでわかりやすく解説します。

避妊手術したのに、なぜ卵巣が?

卵巣遺残症候群とは

通常の避妊手術では、左右の卵巣、または卵巣と子宮までを一緒に切除します。
しかし場合によっては、卵巣の位置や周囲の組織の状況により完全に切除できない場合があります。

そして、ほんの少しでも卵巣組織がカラダの中に残ってしまうとホルモンが分泌され続けてしまいます。
その結果、時間が経つと通常の卵巣と同じように働いてしまう ことがあります。

これが「卵巣遺残症候群」と呼ばれるものなんです。

発見のきっかけは乳腺腫瘍と肺の影

今回の猫ちゃんは、悪性の乳腺腫瘍が見つかり手術を控えていました。
そして手術前には血液検査や、胸部のレントゲンを撮影したのですが・・・
その際に、肺に腑に落ちない影が見つかったのです。
専門医にレントゲン写真を見てもらったのですが、評価は私と同様でした。

「転移の可能性は?」
「別の病気?」
しっかりと評価するために、CT検査を依頼したのですが・・・

その結果は肺には大きな異常は無かったのですが、左側の腎臓の下に卵巣があることが確認されたのです。
肺に大きな問題が無く、一安心でしたが・・・

子宮は確認されなかったので、避妊手術の際に子宮は摘出していたのでしょう!
でも、どのような形にしろ卵巣が残っていたわけです・・・

時たま発情のような声を出していたのは、そのんな訳だったんですね・・・

卵巣が残っていると何が起きる?

卵巣は、女性ホルモンを作る重要な臓器です。
もし卵巣が残っていたならば、女性ホルモンが分泌され続け次のような症状が見られます。

発情のような行動として・・・
大きな声で鳴く
落ち着きがなくなる
体を擦りつける
お尻を高く持ち上げる

乳腺腫瘍のリスク

猫の乳腺腫瘍は ホルモンの影響を強く受ける ため、卵巣があると腫瘍の発生率が高くなります。
早期避妊が乳腺腫瘍の予防に有効なのは、このホルモンが関係するからなんです!

今回、乳腺腫瘍が見つかった背景には残っていた卵巣のホルモン刺激が影響した可能性は十分にあります。

どう治療するの?

治療法はとてもシンプルで、残っている卵巣を取り除く手術が最良となります。
ただ卵巣が小さかったり、周囲の組織と癒着している場合も多いため取り残しがないようにしなくてはなりません
今回ような場合には、乳腺腫瘍の手術と同時に摘出することも可能です。

残っている卵巣を取り除けばホルモンの刺激が止まり、発情のような状態はなくなります。

卵巣遺残症候群はミス?

これって・・・
手術ミス?なんでしょうか???。

獣医師が丁寧に手術しても、何らかの理由で卵巣の一部が残ることが無いとは言えません。

よくある原因としては・・・
卵巣が通常と違う位置にあって見つからなかった
生まれつき卵巣が非常に小さい状態であった
癒着が強く剥離が難しく取り残してしまった

このようなことが無いように、卵巣が完全に摘出されてるかを確認しなくてはなりません。

ここで大切なのは・・・
見つかった時点で卵巣を適切に取り除くこと、そして乳腺腫瘍の治療を最善の形で進めることだと思うのです。

まとめ

乳腺腫瘍の手術に向け、胸部を詳しく調べたことが結果的に残存卵巣の発見につながりました。
このように「別の目的のための検査が、大きな発見をもたらす」ことがあります。

卵巣遺残は、そのままにしても命に関わる病気ではありません。
しかし乳腺腫瘍の発症に影響する要因にはなり得ます。

避妊手術は、猫の健康に大きく関わる重要な処置です。
しかし場合によっては、このような予想外のことが起こることがあります。
今回のように早期に見つけてあげることで、猫ちゃんの健康を守ってあげましょう。