Dr.Nyanのすこやかコラム
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【乳腺腫瘍】猫の乳腺腫瘍とは?症状や治療法を解説
乳首の近くに、コリッとした「しこり」がある!
そんな症状がみられたら「乳腺腫瘍」を引き起こしているかもしれません。
せんせい〜
オッパイのところにコリコリッとしたものがあるの!
これって何?
本当だね!
『乳腺腫瘍』かもしれないから診てみようね!
先生、乳首の横に『しこり』がありますよ!
もしも乳腺腫瘍だったら、悪性じゃないと良いですね!
乳首の近くにできた乳腺腫瘍です!
猫の乳腺は一般的には左右4対、あわせて8個あります。その乳腺の細胞が腫瘍化したものが『乳腺腫瘍』です。
猫の病気での死因 No1は悪性腫瘍、しかも悪性腫瘍の中で一番多いのが乳腺腫瘍です。猫に乳腺腫瘍がみられたら『悪性』と思っても良いほど、良性が少ないのが特徴の一つです、
ここでは『猫の乳腺腫瘍』の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
※当記事は『猫の乳腺腫瘍の写真』を参考画像として載せています。苦手な方はお控え頂くか、十分注意してご覧ください。
乳腺腫瘍の症状
猫の乳腺腫瘍の「転移率は40%」と高く、油断していると怖い病気です。もし猫は乳腺腫瘍ができたとしても、気にすることがあまりありません。
しかも発症の初期は症状がわかりにくいことがあります。そのため腫瘍がある程度大きくなるまで、気が付かないことが多々あります。また痛がるような素振りを見せることも無いのが、猫の乳腺腫瘍です。
それでは一緒に症状を確認していきましょう!
触った感じが固い
乳腺腫瘍は触ると、固くゴリッとしています。そのため「乳岩」と言った時代があったそうです。
また表面がデコボコで形も整っていなく、健康な組織との境目もハッキリしていないこともあります。
できる場所も数も様々
猫の乳腺は、脇の下から内股まであります。
そのため乳腺腫瘍ができるのは、脇の下から内股まで様々です。しかし一般的には内股に近い方に、また乳首に近い部位に発症する傾向があります。
乳腺腫瘍は一つの乳腺だけでなく、60%近くが複数の乳腺に発症しています。また腫瘍の大きさは、数ミリから大きくなったものまで様々です。
ジクジクしている
乳腺腫瘍は大きくなると、体の外に腫れ出してきます。そのため見ただけでも容易に確認することができるようになります。
時間が経つと皮膚が破け、出血したり壊死を起こしてしまうこともあります。また傷から滲み出てきた液でジュクジュクし、乳腺腫瘍の周囲が汚れ異臭がするようにもなります。
乳腺腫瘍の部分の皮膚がジクジクして出血もしています!
腫瘍が大きくなりジクジクした部分も広がってしまっています!
呼吸が早い
乳腺腫瘍は、リンパ節や肺などに転移しやすい腫瘍です。肺に転移してしまうと咳が出たり息苦しそうにしたり、呼吸が早く荒くなるなどの症状も現れます。
肺が白く、肺がんが見られています!
【参考ブログ】肺に転移してしまった子の症例
赤く腫れるなど特徴的な症状を示す
見た目が他の乳腺腫瘍と違うのが、とても悪性度が高い『炎症性乳癌』です。
炎症性乳癌は乳腺が固い板状のしこりとなり、赤く腫れ熱と痛みを持ちます。炎症性乳癌は周囲の組織へ強い炎症を伴いながら、とても早く広がります。
またリンパ液の流れが悪くなり、パンパンに腫れた後ろ足が痛々しい感じになってしまうこともあります。
乳腺腫瘍の原因
乳腺腫瘍は、卵巣からのホルモンが影響を与えていると考えられています。
その理由は、以下の事例からも推測できます。
- 避妊手術を受けていない場合には、年齢が上がるにつれ発生率が高くなる
- 早期避妊手術を受けておくと、乳腺腫瘍の発生率が低くなる
せんせい〜腺腫腫瘍って女の子だけがなるの?
んん、とっても少ないけど男の子にも出来ちゃうこともあるんだよ!
乳腺腫瘍の主な治療法と費用
乳腺腫瘍は手術を行うことが多いけど、よく話し合って決めようね!
乳腺腫瘍の治療を行う前には、以下の検査を行った上で適切な治療を行っていきます。
- 腫瘍やリンパ節に針を刺し細胞診を行う
- 胸部レントゲン検査を行う
- 手術で切除した腫瘍の悪性度を調べる
腫瘍を手術で取り除く
他の組織への転移や炎症性乳癌で無ければ、手術による外科的治療が第一選択となります。これは悪性であっても、良性であっても同じことが言えます。
手術を行うにあたって、切除の範囲には以下の三つがあります。
- しこりの部分だけを切除する
- しこりの周囲の乳腺も一緒に切除する
- しこりのある側の乳腺を全て切除する
良性腫瘍は早期に手術を行うことで、良好な経過をたどります。しかし悪性腫瘍の場合では、切除しても再発することもあります。
再発率を下げるには、広い範囲で切除することが望ましいとされています。手術を行うにあたっては、手術方法を先生と良く相談して下さい。
乳腺腫瘍を摘出したところです。
抗がん剤を使う
乳腺腫瘍の転移がみられる場合には、抗がん剤を補助治療として使用することがあります。抗がん剤は、病状と健康状態に合わせて使用します。
免疫療法を行う
外科手術や抗がん剤の治療と併せて、樹状細胞療法や活性化リンパ球療法などの免疫療法を行うことがあります。また悪性乳腺腫瘍とわかった段階から、生活の質の維持を目的として活性化リンパ球療法を行うこともあります。
サプリメントを使ってみる
癌細胞の増殖を抑える効果があるとされている、「タヒボ」と言アマゾン川流域に自生する樹木から見つかったモノがあります。その「タヒボ」を含むサプリメントを服用してみるのも、一つの方法です。
【参考サイト】近畿大学の研究より
https://www.kindai.ac.jp/agriculture/research-and-education/collaboration/02/index.html
乳腺腫瘍の治療費
乳腺腫瘍の手術は、全身麻酔をして行います。
そのため小さな1個の乳腺腫瘍でも、6〜10万円はかかります。乳腺腫瘍大きかったり手術範囲が広い場合には、手術自体が大掛かりになってしまうため治療費もかかってしまいます!
症状的にも経費的にも、乳腺腫瘍の手術などの治療は早期に行うことが大切です。
乳腺腫瘍の予防方法
乳腺腫瘍は気をつければ発症率を下げることができるよ。
早期に避妊手術を行う
避妊手術は、乳腺腫瘍の発生率を低くするという報告があります。しかし避妊手術を行えば、乳腺腫瘍を完全に予防できるというわけではありません。乳腺腫瘍の予防率を高めるには、避妊手術を行う時期が大切になります。
避妊手術を行う時期が、乳腺腫瘍の発生率に大きく関係するんだよ
【 避妊手術を行う時期と乳腺腫瘍の発生率 】
- 6ヶ月齢以前では「10%以下」
- 7〜12ヶ月では「 14%」
- 13〜24ヵ月齢では「 89%」
- 24ヶ月齢以降では予防効果なし
この結果から、乳腺腫瘍の発症率を上げないためには6ヶ月齢前までに避妊手術を行なうことが望ましいと言えます。
体をよく触り乳腺腫瘍を見つけ出す
乳腺腫瘍は、大きさにより病状の経過に影響するため小さなうちに見つけ出すことが重要です。
悪性の乳腺腫瘍の場合には、リンパ節への転移がなく腫瘍の直径が2cmより小さい場合には治療後の経過が良いとされています。しかし、それでも平均的な生存期間は29ヵ月とも言われます。
リンパ節への転移がなくても直径が2cm以上にもなると治療の経過が悪くなり、リンパ節への転移があれば平均的な生存期間は9ヵ月と短くなってしまいます。これらのことからも、早期発見の大切さがわかります!
乳腺腫瘍の多くは乳首の近くに出来ますが、少し離れた場所に出来ることもあります。乳腺腫瘍を早期発見するためにも、日々の生活の中にスキンシップの時間を作ることを心がけてください。
乳腺腫瘍を起こしやすい猫種
- 避妊手術を受けていない猫
- 中高齢の猫
まとめ
乳腺腫瘍は、スキンシップを日々行うことで見つけることができます。また早期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍を予防することもできます。
日頃からスキンシップを心がけ、もし「しこり」を見つけたなら早めにご相談ください。悔いのないように暮せるお手伝いさせて頂きます!