猫の耳ダニ症|耳を掻く・黒い耳垢・頭を振る原因と治療

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猫の耳ダニ症|耳を掻く・頭を振る原因・治療と受診の目安

猫がしきりに耳を掻く、頭を振る、黒い耳垢が出る!
そんな症状が見られたら「耳ダニ症(耳疥癬)」の可能性があります。

耳ダニは非常に感染力が強く、放置すると外耳炎や皮膚炎を引き起こし、痛みや強いかゆみで生活の質を大きく下げてしまいます。

Dr.Nyan

保護したばかりの子猫ちゃんや、多頭飼育の猫ちゃんで見つかることが多いんだよ

本記事では、猫の耳ダニ症について
・どんな症状が出るのか
・なぜ起こるのか
・どうやって治療するのか
・受診の目安はいつか

を、飼い主さんにもわかりやすく解説していきます。

飼い主さん

せんせい、耳から黒い汚れがいっぱい出てくるの。
だから皆に「お前の耳汚い」って言われちゃうし、耳掃除しても良くならないの!

猫の耳ダニ症で見られる黒い耳垢の状態
耳ダニ症では、黒く乾いた耳垢が大量に見られることがあります

Dr.Nyan

ひょっとして、それって耳の中にダニがいるかもしれないね。
どれどれ耳の中を見せてごらん?

飼い主さん

こんな虫が耳の中にいるの?
信じたくなぁ〜い!

※以下に耳ダニの画像を載せています。苦手な方はご注意ください

猫の耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の顕微鏡画像と寄生の様子
猫の耳に寄生する耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の顕微鏡画像

耳の入り口から鼓膜までの皮膚に住む虫を「耳ダニ」とか「耳疥癬」と言います。とっても感染力が強く、しかも外耳炎も起こす「耳ダニ症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。

目次

耳ダニ症の症状

Dr.Nyan

耳ダニ症の第一の兆候は、とにかく痒いことだよ!
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!

耳ダニは小さな虫で、その大きさは1mmの半分以下の 0.3~0.5mm 程度と言われます。そのため肉眼ではなかなか確認できないくらいの大きさですが、良〜く見ると動く姿が見えます。

この耳ダニは単に耳に痒みを出すだけでなく、外耳炎の原因になることもあります。

【参考コラム】犬の外耳炎:https://dr-nyan.com/column/dog-otitis-externa/

耳を痒がる・痛がる

耳ダニが寄生すると激しい痒みから、頭をひっきりなしに振ったり耳を後ろ足で掻いたり、夜中に突然頭を振り始めたり、寝ていても耳を掻き続けることで受診されるケースも少なくありません。

飼い主

ずっと頭を振ってるんですけど、そんなに痒いんですね……

Dr.Nyan

耳ダニ症はかなり強い痒みが出ることが多いんだ。夜も眠れないくらい痒がる子もいるよ。

そのため耳の付け根の部分の毛が抜けたり、傷を作り出血が見られることもあります。

耳の中でこんな虫が動いてたら、痒いですよね~。

黒い耳垢が詰まってる

耳の中や耳の入り口に、黒色のカサカサの耳垢が見られます。また耳の中を見ると、黒い耳垢がビッシリと詰まっています。

飼い主

耳掃除しても、またすぐ黒くなるんです……

Dr.Nyan

耳ダニが残っていると、耳垢もどんどん増えてしまうんだよ。

顕微鏡で見た耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の様子

そのため耳を触ると、耳の奥から黒い耳垢が出てくることもあります。また頭を振ると、周囲に黒い耳垢が飛び散ることもあります。

感染から皮膚炎や外耳炎を起こしてしまう

耳の周囲を掻きむしることで皮膚が傷付き、皮膚炎や外耳炎を引き起こすケースがあります。

炎症から痛みが出ると、耳や頭に手を近づけると逃げたり、噛もうとすることもあります。またその部位に感染を起こしてしまい、化膿してジクジクした皮膚炎を起こしてしまうことがあります。

そのため耳や頭に触れられるのを、とても嫌がります。

猫の耳ダニ症による黒い耳垢と外耳炎の状態
耳ダニ症から外耳炎を併発し、黒い耳垢や強い臭いが見られる状態

耳ダニによるアレルギー反応は、耳の中の状態を悪化させる原因ともなります。

リスク先生

耳ダニ症を放置すると、外耳炎が悪化して痛みが強くなることがあります!
耳を触られるだけで怒る子もいます。

耳ダニ症の原因

Dr.Nyan

耳ダニ症の原因は、ミミヒゼンダニ(耳疥癬)の寄生だよ!

耳ダニ症はミミヒゼンダニ(ミミ疥癬)に寄生した猫との接触により、感染します。そのため、仲の良い猫同士に耳ダニの感染が広がっていきます。

特に保護猫や子猫、多頭飼育では感染が広がりやすく、実際の診療でもよく見られる寄生虫疾患のひとつです。

耳ダニ症の主な治療法と費用

Dr.Nyan

耳の中の検査をするんだよ!

耳ダニから外耳炎を併発してしまうと、ちょっと厄介です。しかし一般的には、耳ダニを殺してしまえば結構治りは良いと言われています。

駆虫薬

背中に垂らす駆虫剤を使用したり、点耳薬を耳の中にたらして寄生虫を駆除します。

内服薬

炎症がひどく、強い痒みや痛みを伴うなことが多々あります。その場合は、生活の質の改善のためにも痒み止めの薬を飲ませます。

また化膿してしまっている場合には、抗生剤を飲ませることもあります。

点耳薬

炎症や痒みを抑えるために、点耳薬を使います。点耳薬には毎日点耳するものや、1週間に1回のものなどがあります。

耳道内の洗浄

点耳薬の効果を十分に得るため、耳道内の汚れを取り除くことが必要になることがあります。

しかし鼓膜に傷が付いているなど、場合によっては洗浄を行わない方が良いこともあります。耳の洗浄には、専用の洗浄液を使います。

受診の目安

次のような症状が見られた場合は、早めの受診をおすすめします。

・耳を強く掻き続ける
・頭を頻繁に振る
・黒い耳垢が大量に出る
・耳から強いニオイがする
・耳を触られるのを嫌がる、痛がる
・出血やただれがある

耳ダニ症は早期であれば比較的短期間で改善することが多いですが、放置すると外耳炎が悪化し、治療が長引く原因になります。

飼い主

耳掃除だけで様子を見てもいいのかな……

Dr.Nyan

黒い耳垢が続く時は、耳ダニや外耳炎が隠れていることも多いんだ。自己判断せず、一度耳の中を確認してもらおうね。

耳ダニ症の予防方法

飼い主

保護したばかりの猫ちゃんでも多いですか?

Dr.Nyan

かなり多いよ。特に子猫ちゃんは、兄弟やお母さん猫から感染していることも少なくないんだ。

予防薬の使用

1ヶ月に1回、首筋や背中に垂らして予防する薬があります!

猫の耳ダニ予防に使用するレボリューション(スポット薬)
耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の予防や駆除に使用されるスポットタイプの予防薬
猫の耳ダニ予防に使用するスポットタイプの予防薬
耳ダニだけでなく、回虫やノミなど複数の寄生虫予防にも対応します

Dr.Nyan

チョットした注意で予防できたり重症化することが防げますよ!

レボリューションはミミダニだけでなく、人獣共通感染症の原因となる回虫鉤虫も予防できます。

屋内飼育の徹底

感染は接触によりますので、猫を外に出さないことです。また新しい子を向かい入れた場合には、その子に感染が無いことが確認できるまでは隔離期間を設けます。

日頃から耳をチェック

耳を痒がっていないか臭いは無いかなど、日々気をつけておきます。新しい子を迎え入れる場合には、耳の中の健康状態を確認しておくことも大切です!

耳ダニ症に注意する猫

外に出る猫
保護猫
多頭飼育
子猫
新しく迎え入れた猫

よくある質問

猫の耳ダニは人にうつりますか?

基本的には人に感染することはほとんどありませんが、まれに皮膚炎を起こすことがあります

耳ダニは自然に治りますか?

自然に治ることはほとんどなく、放置すると外耳炎が悪化するため治療が必要です

耳掃除だけで治りますか?

耳掃除だけでは耳ダニそのものを駆除することはできません。黒い耳垢だけ一時的に減っても再発を繰り返すため、駆虫薬による治療が必要です。

多頭飼育の場合どうなりますか?

非常に感染力が強いため、同居猫にも感染している可能性があります。症状がなくても一緒に検査や予防を行うことがあります。

耳ダニ症は完治しますか?

適切な治療を行えば多くの場合で完治しますが、再感染予防が重要です

耳ダニ症で受診を急いだ方が良いサイン

・耳を触るだけで怒る
・出血している
・頭を傾ける
・ぐったりしている
・強い臭いがある

まとめ

耳が痒いと、日々の生活にストレスが溜まってしまいます。そんな耳ダニ症は、気をつければ予防もできるし再発も防げる病気です。

リスク先生

「耳が少し汚れてるだけ」と思っていても、強い痒みや外耳炎が隠れていることがあります!
特に黒い耳垢が続く時は、早めの受診がおすすめです。

耳の外は見えても耳の中を確認することは難しいので、気になる兆候が見られたら早めにご相談くださいね!

・耳を強く掻く
・黒い耳垢が増える
・頭を頻繁に振る
・耳が臭う

このような症状があれば、早めの受診をおすすめします。

筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

若山動物病院院長 獣医師 若山正之(Dr.Nyan)

本記事は、犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。

特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。
また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。

これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。

本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。