Dr.Nyanのすこやかコラム
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【膀胱結石症】犬の膀胱結石症とは?症状や治療法を解説
オシッコが近くて、しかも血が混じって膀胱炎みたい。そんな症状がみられたら「膀胱結石症」を引き起こしているかもしれません。
せんせい〜トイレが近くて大変だし、なんかお腹も痛くなってきちゃたよ〜
どうにかして〜ッ!
それって、ひょっとして『膀胱結石』かもしれないよ!
オシッコとレントゲン検査してみようね!
先生〜レントゲン写真に白いモノが三つも写っている・・・
これって結石ですよね?!
レントゲン検査で膀胱結石が見つかりました。
オシッコの中には、体に不要な老廃物やカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル成分がいっぱい含まれています。これらのミネラル成分が集まって固まったものが、膀胱結石となります。
膀胱結石の大きさは、数mmのものから数cmのものまで色々です。またその表面はツルツルしたものからイガイガ、ボコボコしたものまで様々です。
砂状から粒状まで膀胱結石の大きさはさまざまです。
膀胱結石の形にはツルツルやイガイガ、ボコボコとさまざまです。
このような結石も見られました!:https://dr-nyan.com/blog/ishi/
ここでは犬の膀胱結石症の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。
膀胱結石症の症状
膀胱の中に数センチもの大きさの結石があっても、何ら症状が見られない場合があります。また小さな膀胱結石でも、結構激しい膀胱炎の症状が見られる場合もあります。
それでは一緒に膀胱結石症の症状を確認していきましょう。
膀胱炎を起こす
膀胱結石が原因で、膀胱が細菌感染を起こすし、その結果膀胱炎を引き起こしてしまいます。
膀胱炎は、
- オシッコが濁る
- オシッコが臭い
- 血が混じる(血尿)
- トイレに幾度も通う(頻尿)
- トイレを失敗する
などの症状や行動の変化が見られます。
ペットシーツにしたオシッコに血が混じっています。
膀胱結石が大きくなりすぎると、お腹が痛くなることもあります。また元気が無くなったり、食欲が落ちたりもします。
しかし膀胱内に結石があったからと、膀胱炎が必ず見られるとは限りません。下のレントゲン写真は、健康診断時に偶然に見つかった膀胱結石です。この子は、まったく膀胱炎の症状もなく普通に暮らしています。
膀胱内に結石がいっぱい詰まっています。
オシッコが詰まり苦しがる
小さな膀胱結石がオシッコをする時に尿道に詰まってしまうと、尿道閉塞を起こしてしまいます。その結果、膀胱がオシッコでパンパンになり吐き気などで苦しがったり、腎臓がオシッコで浮腫んでしまうこともあります。
最悪は腎不全を引き起こしてしまい、命に関わる大変なことになってしまいます。
腎不全とは、腎臓の働きが正常の30%以下に落ちてしまった状態を言うんだよ!腎不全の状態になった腎臓は、老廃物を十分に排泄することができないんだ!
膀胱結石症の原因
膀胱結石は一つの原因でできるわけではなく、いくつかの原因が重なることにより出来てしまいます!
その原因を一緒に確認していきましょう。
犬にできる結石はの多くはストルバイト結石かシュウ酸カルシウム結石です。しかも、そのその発生率は『1:1』とも言われています。
水の飲む量が少ない
水の飲む量が少ないと、オシッコが濃くなってしまいます。その結果、オシッコの中に含まれているミネラル量が濃くなります。
そして濃くなったオシッコの中には、ミネラルが集まって出来る結晶が見られるようになります。水の飲みが少なくなる原因としては、気候的に寒くなったり運動量が少ないなどもあります。
トイレの回数が少ない
トイレの回数が少ないと、膀胱にオシッコが溜まっている時間が長くなります。その結果、オシッコの中のミネラル量も多くなります。
トイレの回数が少ない原因としては、散歩でしかトイレをしない場合などがあります。
フードの成分
特定のミネラル成分の含有量が多く、尿石が出来やすい内容のフードもあります。
細菌の感染
犬の膀胱結石が出来る原因に、オシッコの細菌感染が関係あるということがわかっています。
細菌感染は、体の外から尿道を介して膀胱の中に細菌が入ることにより引き起こされます。感染の原因の菌の多くは、陰部に付着している菌と言われています。
体質や体調
加齢により免疫力が落ちてしまっていると、膀胱への感染を引き起こしやすくなります。また疲労やストレスなども膀胱粘膜が傷つきやすく、同様に細菌に感染しやすくなります。
~Dr.Nyan ポイント~
結石ができる仕組み
膀胱結石が出来る前の段階で見られるのが、眼に見えないくらい細かい粒状の結晶です。結晶は「ストラバイト」や「シュウ酸カルシウム」などあります。
これらのどの成分が結晶化するかは、オシッコの酸性度(pH)が関係しています。そしてこれらの結晶が大きく育つことにより、結石が出来ます。
ちなみ犬の膀胱結石の8割以上が「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」です。また両方の成分が混じって、一個の結石を作っていることもあります。
上記はストルバイト結晶、これが大きくなってストルバイト結石になります。
膀胱結石症の主な治療法と費用
治療を行うにあたっては、結石の大きさや数などを知ることが大切です。
膀胱結石の治療には、薬などを使う治療法と手術で取り除く治療法があります。治療方法の選択は、膀胱結石の種類によって違います。
膀胱結石の検査としては尿検査、レントゲン検査、超音波検査を行います。また場合によっては細菌培養感受性検査や結石成分分析を行います。
レントゲン検査で膀胱結石が見つかりました。(白く丸いものが結石)
超音波検査で膀胱の中に結石が見つかりました。(白く光ったように見えるのが結石)
結石を溶かすフードやサプリメントを使う
犬の膀胱結石で多いのが「ストルバイト結石」です。
このストルバイト結石は、オシッコの酸性度(pH)が高く、さらにオシッコの中のリンやマグネシウムの量が多いと出来やすい結石です。
そのためオシッコのpHを下げるなど条件にあった療法食などのフード、またはオシッコを酸性に傾ける薬やサプリメントを使います。
ただ結石が大きくなってしまうと、溶かすことが難しくなります。そのためにも、早期に発見し治療を行う事が望ましいとされています。
フードを選ぶ際は、先生とよく相談してください。
膀胱炎の治療などを行う
膀胱結石から膀胱炎を発症している場合には、膀胱炎の治療を行います。
膀胱炎治療には抗生剤や消炎剤を使用します。頻尿などの膀胱炎の症状を取り除くことで生活の質が大きく向上します。
また、肝臓病が原因で結石が出来ることもあります。その場合には肝臓の機能検査を行い、肝臓の治療を併せて行います。
肝臓の状態が悪く手術を行えない場合には、薬を使って膀胱炎をコントロールしていきます。
結石を手術で取り出す
薬による治療に反応が乏しい場合には、全身麻酔による手術を行い膀胱から結石を除去します。溶かすことの出来ない結石でも、手術を行います。
膀胱結石を取り出した後は、再発防止のため食事管理が重要になります。手術では結石の取り残しがないように、また膀胱からの漏れがないこと確認することが大切です。
膀胱結石症の治療費
膀胱の手術となると入院も必要となるため、それだけ治療費もかかってしまいます!やはり症状的にも経費的にも、早期発見が大切です。
膀胱結石症の予防方法
膀胱結石ができる原因には、食べ物や体質などが関係します。そのため治療し結石が無くなっても、再発を繰り返しやすいのが膀胱結石の特徴です。
ます膀胱結石を防ぐには、オシッコに結晶が出来ないようにすることが大切です。そのためにも食べ物や生活環境を整え、再発防止に勤める必要があります。
水を飲む
屋内で過ごすことが多くなった犬では、水を飲む量が少なくなっています。飲み水の好みは様々なため、いろいろなタイプの飲み水を用意します。
また『水をたくさん飲みたくなる場所』も大切です。飲み水を置くのは一か所だけでなく、数か所に置いた方が飲む水の量は増える傾向にあります。
尿石症用のフードを使う
尿石症用のフードは、再発予防に効果があります。
様々なメーカーが尿石症対応のフードを出しています。食べ物について好き嫌もあるため、好むモノを与えオシッコの様子をみていく必要があります。
トイレに行く回数を増やす
なるべく膀胱に尿を貯めさせないために、トイレの回数を増やすようにしましょう。外でしか排泄しない場合は、散歩の回数を増やすなどを試してみてください。また屋内でオシッコができるように、躾をすることも必要です!
日頃からよく観察する
日頃からよく観察しておくことも大切です。水を飲む量オシッコのしかた行動などに気をつけ、早期に発見してあげることが重要です。
定期的な検査をすることが大切!
膀胱炎などオシッコのトラブルが多い場合には、定期的なオシッコの検査します。膀胱結石となる前の結晶の段階で見つけ出し、対応することが大切です。
膀胱結石症を起こしやすい犬種
膀胱結石ができるには、犬種が関係していると言われているんだよ!
- シー・ズー
- パグ
- パピヨン
- ダルメシアン
- ミニチュア・シュナウザー
- ブルドッグ
シーズーに何度も再発してる子、知ってるよ!犬種も関係しているんだねぇ
まとめ
膀胱結石は、結晶の段階で見つけ出せば大変なことにはなりません。治療しても膀胱結石は再発しやすいので、注意してあげましょうね!
そのためにもオシッコや犬の様子に異常を感じたら、早めにご相談くださいね。発症と再発防止のお手伝いします!