若山動物病院ブログ
胆嚢粘液嚢腫
千葉県佐倉市の『若山動物病院』の千明です。
3月から始まっている『春の健康診断』
今回健康診断を受けたのは8歳のシェルティーさん。
血液検査ではどこにも異常は見られず、大きな問題はなし。
しかし、レントゲン写真を撮ると肝臓が少し腫れて大きくなっているのが見つかりました。
数値に異常は見られませんでしたが、念のためエコー検査をすることに。
エコー検査の結果、胆嚢に異常が見つかりました。
これは『胆嚢粘液嚢腫』と呼ばれるものです。
胆嚢とは、肝臓で作られた胆汁を濃縮して一時的に溜めておくための袋状の臓器です。
胃に食べ物が入ってくると、脂肪の分解を助けるために溜めていた胆汁を十二指腸へと送り込みます。
正常な胆汁はサラサラとしていて流動性があり、エコー検査では胆嚢の中は黒く何も映りません。
しかし、何らかの原因で胆汁の性質が悪化したり、排出がうまくいかなくなったりしてしまうと胆汁がどんどん濃縮されてしまいます。
濃縮された胆汁はドロドロとした物質となり、それが胆嚢粘膜への刺激となってゼリー状の粘性物質を過剰に分泌し胆嚢内に蓄積され、やがて『胆嚢粘液嚢腫』となります。
しかし、実際には『胆嚢粘液嚢腫』になる原因はいまだに解明されていません。
その原因は、下記のさまざまな基礎疾患に関係があると言われています。
- 細菌感染
- 胆泥、胆石
- 肝炎
- 腸炎
- 膵炎
- 脂質代謝異常
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症
『胆嚢粘液嚢腫』の初期症状はほとんどなく、今回のように健康診断で偶然見つかることが多いです。
誰にも見つからないまま病気が進行してしまうと、命に関わる重篤な状態へと陥ることもあります。
突然の別れや悲しい思いをしないためにも、お家の子にあった健康診断を定期的に受けて健康には気をつけていきましょう。
ブログタグ: