Dr.Nyanのすこやかコラム
飼い主様に伝えたい犬猫の病気や日常ケアについての役立つコラムをお届け♪
肉球のケア!
寒い季節になると空気もカラカラ、そのためお肌の乾燥が気になります。
実はお肌の乾燥は、ヒトだけじゃありません。
ワンちゃんも同じで、特に肉球は夏は熱い冬は冷たい地面を裸足で歩くためカサカサになってしまいす。
また猫ちゃんも乾燥から、同じようになってしまいます。
ちなみ肉球のカサカサは、季節や生活環境だけでなく年齢によってもなることも知られています。
では肉球をカサカサから守り柔らかく保つためのケアは、どのようにしたら良いのでしょうか?
肉球のトラブル
肉球は元々が分厚く丈夫です。
しかし直接地面や床に触れたり擦ったりしますので、トラブルが生じることもあります。
では肉球のトラブルをみてみましょ!
ケガ
素足で歩いたり走ったりすれば、小石やジャリ、ガラス片などを踏んでしまいます。
その際に、肉球にケガをしてしまうことがあります。
また夏のアスファルトやコンクリートの道路などは、ヤケドの原因にもなります。
肉球の表面の角質は分厚いとは言え、傷を作ると治りにくいため注意が必要です。
しかも最初は大した傷でなくても、痛さなどの違和感から患部を舐め続けてしまいます。
その結果、肉球の間や足先に皮膚炎を起こしてしまうこともあります
足先や足の裏の「舐め=トラブル発生!」と思ってもOKです!
乾燥とビビ割れ
皮膚だけじゃなく、肉球も乾燥してしまいます!
肉球は乾燥すると硬くなり、弾力も無くなり滑りやすくなったりクッションの働きも失ってしまいます
また乾燥した状態が長く続くと、ヒビ割れを起こしてしまうこともあります。
しかもひび割れが出来ると、違和感や痛みを伴うことがあります。
それだけでなく、ヒビ割れから出血してしまうこともあります。
そのため気にしたり、舐めたりすることが多くなります。
肉球の乾燥も保湿でケアしてあげましょうね。
肉球が乾燥する原因
肉球の表面はプニプニとして、皮膚とは違う感触を持ちます。
しかし肉球も皮膚と同じように、表皮、真皮、皮下組織からなります。
歩行の影響
肉球が乾燥してしまう原因の一つに、地面を素足で歩くことがありま。
皆さんも素足でワンちゃんと一緒に歩いてみると、よ~く分かりますよ。
夏は超熱く冬は氷のように冷たい地面を、またアスファルトやコンクリートなどの硬い地面を素足で歩いたら足裏がどうなるか想像つきますよね?
肉球は鍛えられ分厚くなり、徐々に水分を失い乾燥して硬くなってしまいます。
そもそも肉球の表面の角質は、皮膚に比べて厚くなっています。
その角質は歩いたり走ったりと地面からの刺激が続くと、さらに分厚くなってしまいます。
しかも肉球で体重を支えていますから、それだけ肉球が受ける刺激は多くなります。
これは皆さんも、自分の足の裏を見ればわかりすよね!
足の裏は体重を支え地面を踏ん張るため、他の場所に比べて皮膚は厚くなってます!
季節的な影響
冬は気温が下がるため空気中に含まれる水分量が減るため、空気が乾燥します。
さらには季節的に暖房器具など、乾燥を促すものも増えてしまいます。
空気が乾燥していると、皮膚の水分が蒸発しやすくカサカサになってしまいます。
そのため皮膚だけじゃなく、肉球もカサカサになります。
また寒さは血流も悪くしてしまい、栄養も届きにくくなってしまいます。
その結果、バリア機能も落ちてしまいトラブルが発生しやすくなってしまいます。
拭きすぎ・洗いすぎ
散歩後に足の汚れを落とすため拭き過ぎたり、お湯などで洗い過ぎると肉球の脂分が落ちてしまいます。
肉球にはエクリン腺という、ヒトの汗を分泌するのと同じ汗腺があり、そこからサラッとした分泌物が出ています。
肉球のニオイはこの分泌物が関係しているのですが、肉球をしっとりもさせてもいます。
そのため拭きすぎや洗い過ぎてしまうと、乾燥してしまいますので優しく汚れを落としてあげてください。
加齢によるもの
ヒトだけでなくワンちゃんも歳を重ねると代謝機能が落ちてきます。
その結果、水分量や分泌物の量が減ってしまい肉球が乾燥してしまいます。
また角質も乾燥からビビ割れを起こしやすくなってきます。
では肉球の構造や働きについて、みていきましょう!
肉球の構造と働き
犬の肉球
犬の「学名」は「Canis lupus familialis」で、その意味は「Canis=犬」「lupus=狼」「familiaris=家族」です。
このことから、ワンちゃんの祖先が狼であったことがわかります。
狼から連想されるのは鋭い眼光、そして優れた聴覚と嗅覚で獲物を探す姿です。
しかも狼は雪が積もり氷が張っている寒い環境に住み、そこで獲物を猛ダッシュで追いかけます。
そのため肉球は、寒い中を走るのに都合の良い構造である必要があります。それでなくちゃ獲物を獲れずに、お腹をすかしたままですもんね!
猫の肉球
ちなみヒトの祖先も温かい地方出身だったんですよ!
そのため、体は寒さに強い構造にはなっていません。
寒さに対応
ワンちゃんの肉球には血管が走っており、肉球が冷えないような耐寒構造にもなっています。
また動脈と静脈がくっついているので、血液が静脈を通って心臓に戻ってくるまでに冷えにくくなっています。
このようにワンちゃんの肉球も体も冷えにくい構造になっているので、寒くて冷たく凍った地面でも駆け回ることができるのです。
滑り止めとして
走るのに都合が良い構造とは、滑らないようになっていることです。
そのため肉球の表皮を覆っている角質層は分厚く、しかもザラザラした密集した多数の突起があります。
この突起がダッシュしたり急に止まったり、また方向転換をするときに、滑り止めとなったりブレーキのような働きをしています。
爪が出っぱなしであるのも、走る時のスパイクのような働きをしているからなんです。
クッションとして
犬は裸足で歩くため全体重が足先にかかり、その際に衝撃を足先に受けてしまいます。
肉球の角質層の下にはコラーゲンなどの弾性繊維や脂肪が詰まった衝撃吸収構造、つまりクッションとして働くようになっています。
これにより歩いたり走ったりするときに足先にかかる衝撃をの衝撃を吸収し、関節や腰にかかる負担を和らげています。
つまり肉球は体を支えるだけでなく、足にかかる衝撃から保護もしています。
肉球のケア方法
自然の中で暮らす動物は草や土で生活していますが、ヒトと暮らすワンちゃんは公園やドッグラン以外ではアスファルトなど人工物の上を歩くことがほとんどです。
しかも素足なため、肉球は思った以上のダメージを受けてしまいます。
また肉球は乾燥しやすく、ヒビ割れを起こしてしまうこともあります。
肉球のトラブルを防ぐためにもケアを行い、肉球を守ってあげることが大切です。
足の裏の汚れを綺麗にする
素足で歩くため、どうしても足の裏は汚れてしまいます。
ま~猫ちゃんは自分で舐めて綺麗にしちゃいますので、汚れは少ないんですけどね・・・
足先の汚れは肉球だけでなく肉球や指の間、毛についたものも取り除きます。
濡れタオルで拭いても、ぬるま湯で軽く洗っても良いと思います。
清潔にすることは大切ですが、肉球は思った以上にデリケートです。
ヒトの足の裏のように汚れたからとゴシゴシと洗ってはいけません。
洗い過ぎると皮脂膜まで取ってしまい、乾燥してしまう原因にもなってしまいます。
肉球クリームを塗る
足先の濡れを軽く拭き、肉球にクリームを薄く塗って優しくマッサージします。
肉球の乾燥が目立つと、クリームをいっぱい塗ってしまう傾向があります。
塗りすぎるとベタベタから滑ってしまったり、床にクリームが付いてしまいます。
また肉球にクリームが塗られたことが気になって、舐めてしまう子もいます。
そのような場合にはクリームを塗った後に体を軽くマッサージしてあげ、足先の記憶を薄めてあげます。
クリームを塗るのは最低でも1日1回ですが、できれば朝夕と散歩後に行います。
クリームを選ぶときのポイント
肉球クリームは様々なものがあります。
選ぶときのポイントは「天然の成分、無香料・無着色」です。
基本的にクリームの原料にアルコールを使うことは少ないでしょうけど、購入の際は注意して下さいね!
ワセリンは品質が大切
またワセリンを使用しても大丈夫です。
ワセリンは純度の違いによって「黄色ワセリン」「白色ワセリン」「プロペト」「サンホワイト」の4種類に分類されています。
これらは純度(不純物の含有量)が違うだけで保湿力自体に違いはないとされていますが、使用に際しては「黄色ワセリン」は避け「白色ワセリン」以上のものを使用してください!
また香料やビタミンなどの混ぜ物が無いものを選んで下さいね!
ちなみユニリーバ・ジャパンの「ヴァセリン」は、黄色ワセリンです。
またヒト用のハンドクリームを使う場合にも、成分には十分に注意して下さい
肉球講座!
子猫子犬の肉球って、プニュプニュですよね。
実は「肉球」は通称で実際には「蹠球/しょきゅう」という正式名称があります。
この「蹠球」の「蹠」は、「足の裏とか、踏む、踏みつける」と言う意味です。
またヒトの手のひらにあたる部分も「掌球/しょうきゅう」
前足の指の部分を「指球/しきゅう」、後ろ足の指の部分を「趾球/しきゅう」と言います。
いやいやいや
「しょきゅう」「しょうきゅう」「しきゅう」って言われてもねぇ・・・
それってどこの事だったっけ?ってなっちゃうよ!
わかる!わかる!肉球は肉球じゃん!
「しょきゅう」何ちゃらって言われちゃってもさ、
頭がゴチャゴチャ何がなんだかってってなって・・・そう思うよね?
こんなことから「肉球」という呼び方が使われるようになった、とかなんだそうです