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【慢性腎炎】猫の慢性腎炎(慢性腎臓病)とは?症状や治療法を解説

猫ちゃんを飼う方にとって、気になるのが『腎臓病』です。『慢性腎炎(慢性腎臓病)』は治ることも無く、しかも年齢を重ねるごとに増えてしまう病気です。

いくら頑張って治療しても、進行してしまう病気です。しかし付き合い方によっては、その進行を遅らせてあげることもできる病気です。だからこそ飼い方に気をつけて、早期に見つけてあげたいものです。

先生!慢性腎炎って、そんなに多い病気なんですか?

そうなの、15歳を超えてくると80%の猫が罹る病気なんだよ!

それって、オシッコが出なくなっちゃうの?

いやいや、オシッコを作り過ぎちゃう病気なんだよ!

では猫の慢性腎炎がどんな病気なのか、一緒に確認していきましょう!

目次

猫の慢性腎炎って、どんな病気?

何らかの原因で腎臓の機能が3ヶ月以上にわたり低下している状が、慢性腎炎です。

腎臓の大きな働きは以下の四つです。
◎オシッコと一緒に体の中の老廃物を捨てる
◎イオンのバランスや体の水分量を一定に保つ
◎血圧を調整する
◎赤血球数の数をコントロール

腎臓病は、見た目には目立った症状も見せず徐々に進行していきます。しかも腎臓の機能の75%が障害され、腎不全となるまでは大きな症状がみられません。つまり気が付かないままに進行し、重症化てしまう病気と言えます。

腎臓の位置

腎臓はお腹の中でも背中の方に、背中に寄り添うように位置しています。

慢性腎炎と診断されたときには、すでに腎臓の状態が悪くなってしまっています。しかも体調を崩した時には、結構危ない状態にもなってしまっています。このようにある程度、腎臓が悪くならないと飼い主さんが気がつきにくいのが慢性腎炎です。

元気で食欲モリモリでも慢性腎炎になってるってこと?

そう!症状が無くても調べたら残念って事もあるんだよ!

慢性腎炎ってどんな症状

猫が慢性腎炎になると体に不要なモノが血液中に残ってしまうのね!
一体どんな症状がでるんでしょう?

まずはどんな症状がでるのか一緒に確認していきましょう!

多飲多量

慢性腎炎の大きな特徴は、オシッコも飲む水の量も増えます。

これは水をたくさん飲むから、オシッコが増えるのではありません。その逆で、オシッコをたくさんするから水を飲む量が増えるんです!

これは、腎臓の機能の一つである体の中の水分量を一定に保つための「再吸収」が上手くいっていないことによります。とにかく薄いオシッコを、とても大量にするようになります。

脱水

腎臓の働きである「再吸収」の能力が落ちるため、オシッコがいっぱい出てしまいます。そのままでは体の水分量が減り「脱水状態」となってしまいます。そのため足りない分を補うため、水を飲む必要があります。

しかしペロペロと舌を動かし飲む水の量では、その不足分を補うには大変です!そのため脱水の状態が改善されず、脱水が進んでしまいます。

脱水の様子

皮膚を指で摘んで引っ張ってみます。

脱水の様子

指で摘んで引っ張った皮膚は指を離しても元に戻りません。脱水状態になると、次のような症状が見られます。

  • 腎臓の血液検査値が高くなってしまう(血液が濃くなるため)
  • 毛がパサつき艶がなくなる
  • 動きが悪く寝てばかりいる
  • ウンチが固くなる(便秘)

脱水状態が続くと大変なことになります。またウンチが固い場合には、早めの処置を行うことが大切です。

嘔吐

吐き気も見られ、食欲も落ちてしまいます。これらの症状は慢性腎炎になると見られる、胃潰瘍や胃炎などからによります。

嘔吐や吐血また下痢なども、慢性腎炎の進行にともない見られるようになります。

貧血

腎臓で作られる造血ホルモンの分泌量が、腎臓の機能が落ちるともに徐々に減っていきます。

その結果、赤血球の作る能力が落ちます血液中の赤血球の数が少なくなります。
いわゆる「貧血」です!

腎臓の機能が原因で起こる貧血を「腎性貧血」と言います。貧血になると、動きも悪くなり食欲も落ちてしまいます。

貧血で状態が悪い場合には、輸血を行うこともあります。

輸血の様子

輸血を行っている様子です。

高血圧

腎臓のメインの働きである「ろ過機能」が悪くなってしまいます。そのためオシッコはいっぱい出るのに、体の中の老廃物が体外に捨てづらくなります。

しかも腎臓は頑張って、一生懸命に「ろ過」しようと腎臓に流れる血液を増やそうとします。そのため血圧が高くなり、腎臓への負担がさらに増えてしまいます。

急性増悪

慢性腎炎は、徐々に病状が進行していく病気です。しかし突然のように、悪化することがあります。
これを「急性増悪」と言います。

この場合には、急性腎炎に準じた治療を行う必要があります。

また慢性腎炎でも進行が早く、突然のように悪化する場合もあります。この場合は、上記の治療方法とは違います。

このように慢性腎炎での「急性増悪」には二つのケースがあるため、注意が必要です。

慢性腎炎の原因

猫の慢性腎炎の発症に原因については、はっきりと特定はされていません。しかし急性腎炎から慢性腎炎になってしまうことが、知られています。

また歯周病や口内炎などの慢性的な炎症疾患や、偏った食生活なども原因になるとは言われています。

慢性腎炎の主な治療法と費用

治す薬がないのが、慢性腎炎です。腎臓への負担は最小限に、病状の進行は最大限に遅らせる」こと、これが慢性腎炎の治療の目的です。

つまり「症状の緩和と改善」を行なっていきます。そのためにも、飼い主さんの知識が重要になります。そして「我が子の専属の動物看護師さん」となり、日々の生活を明るく暮らしていく必要があります。

お家での看護は、水分補給食事がとても大切になります。

また以下の治療を症状に応じて行います。

  • 体の中の毒素を体外に出すために薬を使う
  • 尿毒症からの症状の改善のためにサプリメントや薬を使う
  • 血圧を改善するためにACE阻害剤などの薬を
  • 貧血には輸血や造血のための薬を使う

ヒトのように透析はしないのかしら?

猫ちゃんに血液透析はね難しい部分があってね・・
行っている動物病院は少ないかも

幹細胞による治療を行う

「幹細胞」とは、体の中にある様々な器官や臓器などに変化する細胞です。

椎間板ヘルニアではこの幹細胞を利用し、脊髄の損傷した部位の血流の改善と神経細胞の回復を目的とした治療を行うことができます。

幹細胞療法に使う幹細胞は、皮下脂肪の中から取り出し培養で増やしたものを使います。幹細胞療法は他の内科的治療や椎間板ヘルニア手術などと併用も可能な治療方法です。

幹細胞療法にご興味のある方はご相談ください!

別のコラムで、治療の詳細については紹介の予定です。

治療費については、アニコム損保の保険金請求状況の結果から以下のようになります。

<診療費>
・年間平均診療費:272,598円
・平均診療単価:9,329円
<通院>
・年間平均通院回数:15.2回
<入院>
・年間平均入院費用:119,223円
・平均入院費用単価:69,003円

【参考サイト】猫との暮らし大百科|猫が慢性腎臓病になったときにかかる費用はどれくらい?

結構、高額になってしまいますよね!

1年の通院回数が15回、平均診療費は約27万円にもなっています。これはあくまでも保険請求された平均です。保険請求害の治療もありますし、症状によってはさらに高額ってこともあります。

例えば高額医療で保険対象外の「幹細胞療法」を行うとなると、とても大変です。早期発見と、適切な治療を行うことが大切です。

慢性腎炎の予防方法

慢性腎炎は防ぐことは出来ません!しかも気付かないうちに発症し、また進行してしまう病気です。そのため腎臓の負担をかけないような生活をすることが、一番大切です!

トイレをきれいにしておく

慢性腎炎では、症状が進むにつれオシッコをいっぱいするようになります。そのため、オシッコでトイレの汚れが激しくなります。

トイレがオシッコで汚れていると、オシッコを我慢してしまうのが猫の性格です。

オシッコを我慢しては、体には良くありません。当然、腎臓にも悪いですよね!

腎臓に負担をかけないためにも、トイレを清潔にしておくが大切です。もうひとつの方法は、トイレの数を増やすことです。

水をよく飲ませる

オシッコをいっぱいするのが、慢性腎炎です。脱水を防ぐには、水をいっぱい飲む必要があります。

脱水になると症状の悪化だけでなく、腎臓の状態も悪化させてしまいます。水を飲ませる工夫は、腎炎の悪化を防ぐ意味でも大切です。

定期的に健康診断を受ける

一般的には、健康診断は7歳からは年に1回、10歳を過ぎたら年に2回・・とも言われています。しかし年に2回、健康診断を受けても病気は見つけられない事があります。

そのためにも、的確な治療を行うには早期発見が何よりも大切です。

慢性腎炎になりやすい猫種

以下の猫種は要注意!定期的な健康診断を受けましょう!

  • メインクーン
  • アビシニアン
  • ロシアンブルー
  • ペルシャ
  • チンチラ
  • ヒマラヤン
  • バーミーズ
  • 種に関係はなく高齢の子

まとめ

慢性腎炎は治らない病気ですし、治療しても進行していく病気です。しかしハッキリとした症状が見られない初期に、些細なことへの気づきが大切になります。発見が早ければ、それだけ対処することもできます。

またその猫にあった、無理のない治療をしてあげたいものです。少しでも辛く苦しく無い毎日を過ごさせてあげる、お手伝いをいたします。