犬が耳を掻く・頭を振るのは危険?外耳炎の症状と治療法

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犬が耳を掻く・頭を振るのは危険?外耳炎の症状と原因・治療・受診の目安

頭を振ったり、耳を掻きたがる!
そんな症状がみられたら外耳炎の可能性があります。
放置すると悪化することもあるため注意が必要です。

飼い主さん

先生
皆に『お前の耳臭いぞ』って言われちゃうんです。
どうにかして欲しいんですが?

Dr.Nyan

それは可哀想に。
外耳炎かもしれないから、一緒に頑張って治そうね。

「外耳炎」は、耳の入り口から鼓膜までの皮膚に炎症が起こる病気です。しかも繰り返して発症してしまう、とっても奥の深い病気なんです。

そんな「外耳炎」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。

目次

外耳炎の症状

Dr.Nyan

外耳炎の第一の兆候は、とにかく痒いんだよ!
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!

犬に外耳炎が多い理由は、外耳道の形に問題があります。

  • 耳道がL字型
  • 耳道が狭い
  • 垂れ耳である

犬の外耳道(下の写真で赤い線が引かれた部分です)は、L字型に細く曲がり毛も生えています。そのため空気の流れが悪く、また蒸れやすいため細菌や真菌が増殖しやすい環境とも言えます!!

犬の外耳炎で炎症が起きている耳の部位

耳道がL字形(逆L字形)になっているのがわかります。

犬の耳道の構造(L字型で外耳炎が起こりやすい)

赤丸で囲んだ場所が、外耳炎を起こしたところです。

赤み、腫れ

耳の穴や、その付近の皮膚が赤く分厚く腫れています。そのままの状態で放置しておくと、皮膚の表面がボコボコと荒れた感じになってしまうこともあります。

外耳炎で耳が赤く腫れている様子

耳が赤く腫れています。

耳を痒がる・痛がる

外耳炎になると激しく頭を振ったり、ひっきりなしに耳を後ろ足で掻いたりします。そのため耳の後ろの部分の毛が抜けたり、皮膚に傷を作ってしまうことがあります。

また痒みから、耳を床などに擦りつけることがあります。外耳炎の炎症が進んでしまうと、痒みが痛みに変わってしまうことがあります。

痒いと痛いは、症状としては大違いです!

耳が痛いと、耳や頭に触れられるのをとても嫌がります。その他、耳や頭に手を近づけると避けるだけで無く、噛もうとすることもあります。

また痛痒いのか、痒くて掻きたい!しかし耳に足が触れると痛くて「ヒーヒー」と声を出しながら、後ろ足で掻くこともあります。

耳から悪臭

耳の中から甘臭いような臭いがしたり、腐ったような臭いなどがするなどの異臭を感じることもあります。

外耳炎で増えた耳垢と悪臭の原因となる汚れ

汚れた耳から臭いニオイが漂っています。

耳垢・膿

茶色から黒色の、ベタベタした耳垢やカサカサの耳垢が見られることがあります。また耳を触ると耳の奥からグチャグチャした音がしたり、耳の穴から膿が出てしまっていることもあります。

黒い耳垢が見られる外耳炎の症状

黒い耳垢がいっぱい出ています。

外耳炎の原因

Dr.Nyan

外耳炎を起こす原因について、紹介していきますね。

寄生虫

耳の中にミミヒゼンダニ(ミミ疥癬)が寄生すると、強い痒みと黒い耳垢を伴う外耳炎が見られます。ミミヒゼンダニ(ミミ疥癬)は、接触での感染ですので注意して下さいね!

犬の耳に寄生するミミダニ(外耳炎の原因)

これが耳の中に住む『耳ダニ』です。

細菌や真菌

耳の中の中には、常在菌である球菌やマラセチアなどの細菌や真菌が住んでいます。

これらの常在菌が、耳の中の蒸れなどの環境の悪化により増殖してしまうと外耳炎を起こしてしまいます。またそれだけでなく、起こした外耳炎を慢性化させてしまいます。

マラセチアによる外耳炎の症状(強いかゆみ)

マラセチアのよる外耳炎で痒みがいっぱい出ています。

異物

耳の中に草の種などの異物が入り込んでしまうと、外耳炎が起きることがあります。

犬の耳に入ったススキの種(外耳炎の原因となる異物)

耳の中に入ってしまったススキの種です。

アレルギー

食物アレルギーの症状のひとつに、外耳炎があります。また外耳炎を繰り返す場合には、食物アレルギーを疑い治療することもあります。

食物アレルギーの場合には、耳以外の場所にも痒みを伴うことが多々あります。アレルギーの原因となる食材を特定するには、検査を行うなど手間を必要とします。

外耳炎の主な治療法と費用

Dr.Nyan

外耳炎の原因を知るのに耳の中の検査もするんだよ!

外耳炎はただの耳の穴の病気と思いきや、実に奥深い病気なんです。しかもちゃんと治ったとしても、繰り返し発症してしまうことが多いのが外耳炎です。

原因や症状によって治療方法は違いますが、一般的な外耳炎の治療は2~4週間です。しかしアレルギーを持つ場合には、治療後は発症の予防にも努める必要があります!

駆虫薬

駆虫剤を飲ませたり、点耳薬を耳の中にたらして寄生虫を駆除します。

内服薬

炎症がひどく強い痒みや痛みを伴うなう場合は、生活の質の改善のためにも痒み止めの薬を飲ませます。化膿がひどい場合には、抗生剤を飲ませることもあります。また漢方薬を使用することもあります。

点耳薬

炎症や痒み、感染を抑えるための点耳薬を使います。点耳薬には1日1回行うものや、1週間に1回のもの、4週間に1回のものがあります。

耳道内の洗浄

点耳薬の効果を十分に得るため、耳道内の汚れを取り除くことがあります。しかし鼓膜に傷が付いているなど、場合によっては洗浄を行わない方が良いこともあります。耳の洗浄には、専用の洗浄液を使います。

犬の耳掃除の正しい方法(外耳炎予防)

耳の入り口を軽く拭いてあげます。

アレルギーの治療

食事などのアレルギーが疑われる場合には、アレルギー検査を行います。検査でアレルゲンが特定できた場合はその後、除去食療法(アレルゲンを取り除いた食事を与える食事療法)で症状が改善するか経過を観察します。

治療費

飼い主さん

気になる外耳炎の治療費は幾らくらいでしょう?

外耳炎の原因によって、使用する薬と治療期間が違いから治療費が変わります。

外耳炎の場合は、耳や耳垢の検査と点耳薬で治療費は6,000円くらいです。しかし重度の外耳炎になると治療期間も長くなり、その分治療費もかかってしまいます!

外耳炎の予防方法

飼い主さん

外耳炎にはならないようにしたいです!

Dr.Nyan

チョットした注意で予防できたり重症化することが防げますよ!

散歩での注意

草むらの中に入ると、耳の中に草の種が入ってしまうことがありますので注意が必要です。

耳掃除での注意

耳の掃除の方法を間違うと、逆に外耳炎になりやすくなってしまいます。

例えば綿棒を使う場合ですが、擦りすぎてしまうと耳の中の皮膚に小さな傷を作ってしまうことがあります。これが外耳炎を引き起こす原因にもなってしまいます。

耳の掃除と洗浄をやりすぎてもダメですよ!

耳掃除や耳の洗浄は、優しくほどほどに行うのがコツです。耳の中の汚れ=外耳炎ではありません!

日頃から耳をチェック

耳を痒がっていないか臭いはないかなど、日々気をつけおきます。特に蒸し蒸しする季節は、いつもより注意が必要です。また冬にコタツの中に潜ってしまうなどして、外耳炎になってしまうこともあります。

外耳炎になりやすい犬種

  • 一般的に若い犬
  • アレルギーの犬
  • 垂れ耳の犬
  • 耳毛が多い犬
  • アメリカン・コッカー・スパニエル
  • ラブラドール・レトリバー
  • フレンチ・ブルドック
  • シーズー
  • パグ

よくある質問

犬が耳をよく掻いたり頭を振るのはなぜですか?

外耳炎の可能性があります。耳の中で炎症が起きると強いかゆみが出るため、耳を掻いたり頭を振る行動が見られます。

犬の耳が臭いのは病気ですか?

耳から強い臭いがする場合は外耳炎のサインです。細菌やマラセチア(真菌)が増殖することで、独特の臭いが発生します。

犬の外耳炎の主な症状は何ですか?

耳を掻く、頭を振る、耳が臭う、耳垢が増える、耳が赤く腫れる、触ると嫌がるなどが代表的な症状です。

犬はなぜ外耳炎になりやすいのですか?

犬の耳道はL字型で蒸れやすく、細菌や真菌が増えやすい構造をしています。特に垂れ耳の犬や耳毛が多い犬種は発症しやすいです。

外耳炎の原因にはどんなものがありますか?

主な原因は、細菌やマラセチア、耳ダニ、異物(草の種)、アレルギーなどです。複数の原因が重なって発症することもあります。

外耳炎は自然に治りますか?

軽度の場合は改善することもありますが、多くは適切な治療が必要です。放置すると慢性化し、治りにくくなります。

外耳炎の治療にはどのくらいかかりますか?

軽度であれば2~4週間程度で改善することが多いですが、原因や重症度によっては長期治療が必要になることもあります。

外耳炎の治療費はどのくらいですか?

一般的には検査と点耳薬で5,000~7,000円程度が目安です。ただし重症の場合は治療期間が長くなり、費用も増えることがあります。

外耳炎を予防する方法はありますか?

耳の中を清潔に保つこと、耳掃除のやりすぎを避けること、湿気をためないことが重要です。また異物の侵入を防ぐため、草むらでの散歩には注意が必要です。

どのタイミングで動物病院を受診すべきですか?

耳を頻繁に掻く、頭を振る、臭いが強い、痛がるなどの症状が見られた場合は早めの受診をおすすめします。

まとめ

外耳炎は犬に多い病気ですが、気をつければ予防もできる病気です。繰り返す外耳炎は、アレルギーなどの別の病気から発症していることも多いんですよ!痒いとイライラしちゃいますよね!しかもお家では耳の中を見たくても見ることができませんので、何か気になる兆候が見られたら早めにご相談くださいね!慢性の外耳炎にならないよう、お手伝いします!

筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

若山動物病院院長の獣医師・若山正之のプロフィール写真

本記事は、佐倉市で犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。

筆者・若山正之のプロフィール