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【誤食・誤飲】犬の誤食・誤飲とは?症状や治療法を解説

「愛犬がオモチャやペットシーツなどを、食べてしまった!」
そんな経験した飼い主さんは、結構多いかと思います。

このように食べられないモノを食べてしまうこと、飲み込んでしまうことを誤食・誤飲と言います。

せんせい〜
なんか悪いモノを食べちゃったのかなぁ〜。
胃がチクチクしてて気持ち悪くて吐きそう。
しかもお腹がドーンって重い感じなの、どうにかして〜ッ!

あらッ、ひょっとして誤食・誤飲かもしれないよ。
ちょっとレントゲン検査してみようね!

誤食の様子

お腹の中に『クギ』が入ってました!

えええええ〜ッ・・・
そんなのを食べちゃったってこと?
いやいや〜信じたくなぁ〜い!

ほぇ〜犬って何でも口にするんだよ!
あのさ、誤食・誤飲は猫じゃ〜見ること無いもんねぇ!

「誤食・誤飲」による症状は、食べたり飲み込んだりしたモノにより様々ですし、詰まった場所でも違います。

ここでは「誤食・誤飲」の原因と対処法などについて、Dr.Nyanがわかりやすく説明いたします。

目次

【ケース別】誤食・誤飲の症状

「誤食・誤飲」による症状は、食べたり飲み込んだりしたモノにより様々です。
しかも飲み込んだことに気が付かず、健康診断などで偶然にレントゲン写真に写っていたなんてこともあります。

もし飲み込んでしまった場合には、食道や胃などに詰まったり傷を付けてしまうこともあります。また飲み込んだモノから溶け出した成分により、胃や腸に炎症や中毒を起こしてしまうこともあります。

消化管の異物の様子

消化管(食道、胃、腸)の異物の位置

異物が入る・詰まった場所によって症状が異なります。ケース別に症状を確認していきましょう!

気管で詰まった異物

食べたものが気管に入ってしまう、そんなことあるとは思えないのですが実際には起こることがあります。
これを「気道内異物’と言います。

気管に詰まれば空気の通りが悪くなり「呼吸するのが辛い状態」となり、場合によっては窒息死してしまうこともあります。
気管に入ってしまった無愛には、ます気を落ち着けてから背中を叩くなどの対応することが重要です。

もし異物が大きく気管を塞いでしまう気道閉塞にでもなったら、それは致命的な誤食・誤飲となってしまいます!

これまで、ドライフードを競って食べていた仔犬が、気管にフードを詰まらせたケースがありました。
また犬ガム、肉のオヤツなどが気管に詰まったこともあります。

食道の中の異物

喉を通っても、胃の手前部分の食道で詰まる場合もあります。
よく「喉が詰まった」とか「喉詰まり」と言われますよね。

食道に詰まってしまった場合には、以下のような症状が見られます。

  • 吐こうとするのに何も出てこない
  • 吐く仕草をする
  • 喉を掻きむしる
  • よだれを垂らし苦しそうにする
  • 大量のよだれが出る
  • 落ち着かない
  • 呼吸困難になる

食道に詰まった場合、何らかのハッキリとした症状が直ぐに見られるのが特徴です。

胃の中の異物

飲み込んだモノが胃の中で止まり、腸の方のに流れず詰まる場合もあります。

胃内異物の場合には、

  • 元気そうだけど食欲がない
  • 生あくびすることが多い
  • 吐き気

まるで慢性胃炎になった時のような症状に似ていることも多く、他に何ら症状が見られないこともあります。
健康診断や他の病気でレントゲン検査を撮ったときに、偶然に発見されることもあります。

胃の中の異物
石をいっぱい食べてしまい、胃にたまっています 。

また、詰まったモノによっては「胃閉塞」になる可能性も考えられます。
胃閉塞とは、食べたモノ物が十二指腸へ流れていかないことを言います。

もし胃閉塞を起こしてしまった場合には、以下のような症状が見られます。

  • 吐きそうな感じ
  • 吐き気
  • 激しい吐き気

誤食・誤飲したモノが尖っている場合には、胃に刺さってしまうこともあります。
その際に隣接した臓器である肝臓や横隔膜、肺までも傷を付けてしまうこともあります。

もし完全に詰まったら食べ物が流れないよね・・
大変な状態になっちゃうんだよね!

腸の中の異物

飲み込んだモノが胃を通り、腸に詰まることもあります。

腸の中の異物

飲み込んだものが腸の中にあります。

もし腸閉塞を起こしてしまった場合には、以下のような症状が見られます。

  • 食欲が無くなる
  • 激しい吐き気
  • くりかえす吐き気
  • ウンチが出ない
  • ぐったりする
  • お腹がふくれる

誤食・誤飲の原因

誤食・誤飲は人の場合でも子供に多く見られるように、犬でも「1歳齢以下の若い犬」で良く見られます。
特に仔犬ではペットシーツをビリビリ破ったり、オモチャを噛み壊し食べてしまうなどが多くみられます。

ピンブラシのピンを食べちゃいました・・・

~Dr.Nyan ポイント~
若山動物病院で実際にあった誤食・誤飲事例

今まで経験した誤食・誤飲には

  • スーパーボール
  • 化粧に使うコットン
  • 入れ歯
  • メガネケース
  • お金
  • 指輪
  • イヤリング
  • アイスの棒
  • 焼き鳥の竹串
  • 靴下

…など数えたらキリがありません。

その中でも超〜驚いたのが鳩を丸々食べちゃったことです。

しかも生きた鳩を一口でパクリ・・
飼い主さんはパニック状態での来院でした。

焼き鳥を竹串ごと10本以上も食べちゃった犬もいました。

【参考記事】誤食のことを書いたDr.Nyanのブログです

ボタン電池を飲み込んでしまったら、早急に対応する必要があるんだよ!
例えば、飲み込んだボタン電池が食道の粘膜に貼り付くことがあるのね。
粘膜に張り付いたボタン電池は、電気分解を起こしてしまうんだよ。
そしたら電池の中に入っているアルカリ性の液体が、漏れ出てきちゃうのね。

ボタン電池のアルカリ性の液体は、タンパク質を溶かすとても強い力を持っているんですよね。
だからボタン電池が張り付いた場所の粘膜が溶けちゃうんですよね!

そうなんだよねー
胃の中に入っちゃうと胃液で電池が腐食しちゃうのね。
そしたら電池の中のアルカリ性の液体が漏れ出てしまうんだよ。
そしたら胃の粘膜を傷を(化学熱傷;やけど)を起こして大変なことになってしまうんだよ!
これはアルカリ電池でも同じことなんだよ、こわいよね〜

誤食・誤飲の主な治療法と費用

誤食・誤飲は触診や腹部のレントゲン検査、エコー検査、バリウム検査(造影検査)、内視鏡検査、血液検査などを行い確認していきます。

異物の状態によって治療法がかわります。ケース別にみていきましょう。

気管で詰まった異物の場合

気管に異物が詰まっている場合は、胸を押す、もしくは背中を叩いて吐き出させます。

窒息死を防ぐためには飼い主さんの冷静な判断が必要です。異物が気管に詰まった際は焦らずに対応しましょう。

食道の中の異物の場合

食道の中のモノは、状況に応じて以下の対応をおこないます。

  • 内視鏡を使い取り出す
  • 棒などを使い、胃に流す
  • 手術をする

胃の中の異物の場合

胃の中のモノを取り出すには、以下の方法があります。

  • 飲み込んだモノを吐かせる処置(催吐処置)
  • 内視鏡を使い、可能な限りお腹を切らずに取り出す
  • どうしても取り出せない場合には手術で取り出す
内視鏡や麻酔管理効機器たちです

最初に催吐処置ができないか検討します。
以下の条件がそろった時に催吐処置おこないます。

  • 飲み込んだ事が確認できる
  • 飲み込んだモノが比較的小さなモノである
  • 飲み込んでから時間がそれほどたっていない

条件がそろわない場合はなるべく切らない方向で取り出せる方法を考えます。

腸の中の異物の場合

腸の中のモノを取り出すには、以下の方法があります。

  • 飲み込んだモノが自然にウンチと一緒に出るまで待つ
  • どうしても出ない場合には手術で取り出す

特に危険な異物の場合

ここからは、特に危険なケースを挙げていきます。

閉塞をおこしている異物

不完全な閉塞の場合、詰まったモノの動きを見ながらの対応になります。場合によっては、時間はかかるが肛門から出てくることもあります。

完全に閉塞してしまった場合には、手術を行い食べたモノを取り出します。

尖った異物

竹串など尖ったものを食べてしまうと、胃に刺さってしまうこともあります。腸の内容物が漏れ出てしまうと、腹膜炎を起こしてしまいます。

激しい痛みだけでなく命の危険もあるため、手術を行います。

ヒモ状の異物

ヒモ状のモノを誤食・誤飲し小腸に詰まった場合、小腸がジャバラ状になり腸の中が広く傷害が生じてしまいます。そのためヒモ状のモノを、手術により取り除かなくてはなりません。

どちらにしても腸が傷ついていたり壊死が見られたら、その部分を切除するなど手術が必要になってしまいます。

誤食・誤飲の治療費

誤食・誤飲の治療は、その症状の程度によって大きな幅があります。重度になると入院や緊急手術も必要となるため、高額になる可能性が高いです。

何にしても飲み込ませないこと、予防に勝る治療はありませんよね!
基本は予防が大切です!

誤食・誤飲の予防方法

誤食・誤飲は、屋内だけでなく屋外でも起こります。とにかく注意!注意することによって、予防することができます。

躾(しつけ)をする

室内の場合、特に留守中は気を付けましょう。

留守番の際はケージやサークルの中で過ごさせる躾により、誤食・誤飲の機会を減らすことができます。その際にトイレシート(ペットシート)をビリビリに破く場合は、メッシュ付きのトイレトレーを使います。

また、留守中寂しいだろうとオモチャを与えると、遊んでいるうちに食べてしまうことがあります。
留守番をさせる時は、噛み壊れるようなオモチャは与えないことが大切です。

散歩での拾い食いにも、注意が必要です。
指定の場所にあるモノや与えたモノ以外のモノを、勝手に食べないように躾けることが必要です。

また、口にくわえてしまったモノを、指示で放す躾が出来るようにもしたいものです。犬が飲み込めそうな大きさのモノで遊んでいるときは、何かに気をそらせた隙に取り上げるようにしましょう。

生活環境を見直す

犬が飲み込んでしまいそうなモノは、犬が届く範囲に置かないようにすることが大切です。

犬のオモチャは、小さくて丸飲みできる大きさのモノは避けます。眼を離す時は、オモチャを片付けておくことも大切です。

留守番中や目を離した間の出来事は、何を口にしたか判断できません。そのため普段から室内に危険なものを置かないこと、しっかり管理することを徹底しましょう。

また遊んであげる時間をつくり、コミュニケーションが取れるように見直してみましょう!

誤食・誤飲を起こしやすい犬種

  • 1歳齢以下の若い犬

まとめ

誤食・誤飲は注意すれば、完全ではないにしろ防ぐことができます。

もし誤飲しても、すぐに症状が現れないものもあります。気がついたら重症化し、命に関わる状態になってしまっている事もある病気です。

「誤飲を見た」とき、または「誤飲したかも」と思ったときにはご相談ください!お家での管理方法など、健康を守るお手伝いをいたします!