若山動物病院ブログ
犬と猫はどうして座り方が違うの?理由と見分け方【蒼太探偵シリーズ】


蒼太
あれ? なんか違う
放課後、理科部の蒼太は、犬の「しろ」と猫の「おたま」が並んで座っているのを見て、ふと不思議に思いました。
おたまは、前足をきれいにそろえて、後ろ足を体の近くに寄せるように座っています。
まるで、体を小さくまとめているように見えました。
それに対してしろは、後ろ足やおしりの方に体重をかけて、前足を前に置くように座っています。
こちらは、どっしり落ち着いて見えます。
同じ「座る」なのに、どうしてこんなに違うのでしょうか。
気になった蒼太は、顔見知りの獣医師の先生にたずねてみました。
犬と猫で座り方が違うのはどうして?

蒼太
先生、猫は前足をそろえて、後ろ足を寄せるように座りますよね。
犬は後ろ足に体重をかけて座っているように見えます。
どうしてですか?

おいどん先生
いいところに気づいたね。
これは、犬と猫で体のつくりと、得意な動きが違うからなんだよ。

蒼太
得意な動きが違うと、座り方まで変わるんですか?

おいどん先生
そうなんです。
座り方には、その動物らしい動き方がよく表れることがあるんだよ。
蒼太は少し身を乗り出しました。
ただの座り方のクセではなく、そこにはちゃんと理由があるようです。
猫は「すぐ動けるように」座っている

おいどん先生
まず猫のことを考えてみよう。
猫は、ジャンプしたり、高いところに登ったり、すばやく向きを変えたりするのが得意だよね。

蒼太
たしかに。
急に走り出したり、ひらっと飛び乗ったりします。

おいどん先生
だから猫は、座っているときも、ただ休んでいるだけじゃないのね。
いつでも、すぐ動けるように座っていることが多いんだよ。
猫が前足をそろえ、後ろ足を体の近くに寄せて座るのは、体をコンパクトにまとめるためです。
体を小さくまとめておくと、
- すぐ立ち上がれる
- すぐ走れる
- すぐジャンプできる
という動きにつながります。

蒼太
なるほど。猫は休んでいるように見えて、じつは「すぐ動く準備」をしているんですね。

おいどん先生
その通り。猫らしい座り方だね。
犬は「安定しやすいように」座っている
蒼太は、次にシロの姿を思い浮かべました。

蒼太
じゃあ犬は、どうして後ろ足の方に体重をかけるんですか?

おいどん先生
犬は猫ほど、高いところにひらりと飛び乗ったり、体を小さく折りたたんだりすることは多くないよね。そのかわり、後ろ足や骨盤(こつばん・お尻の骨)でしっかり体を支えるのが得意なんだ。
獣医師
犬は座るとき、おしりをしっかり下ろして、後ろ側で体を受け止めることが多くあります。
前足はその前で体を支え、バランスを取る役目をしています。
つまり犬の座り方は、猫のように「すぐジャンプするため」というより、安定して楽に座るための姿勢なのです。

蒼太
だからシロは、どっしり座って見えるんですね。

おいどん先生
そうだね。
犬は「安定重視」の座り方をしていることが多いんだよ!
体のつくりの違いも関係している
蒼太は、もう一つ気になることがありました。

蒼太
でも先生、動きの違いだけで、こんなに座り方が変わるんですか?

おいどん先生
いい質問だね。じつは、体のつくりそのものも関係しているんだよ。
猫はとても体がしなやかで、背中もよく曲がります。
そのため、後ろ足を体の近くに引き寄せて、全体を小さくまとめることができます。
一方で犬は、猫ほど体を小さくたたむ感じではなく、後ろ足や骨盤(こつばん・お尻の骨)で体を支えるほうが自然です。
そのため、座るとおしり側に体重が集まりやすくなります。

蒼太
じゃあ、見た目の違いは、体の仕組みの違いでもあるんですね。

おいどん先生
その通り。同じ四つ足の動物でも、体の使い方はけっこう違うんだよ!
たとえると、もっとわかりやすい
ここで蒼太は、自分なりに考えてみました。

蒼太
猫は「よーいドン」ですぐ走り出せるように待っている人みたいですね。

おいどん先生
いいたとえだね。じゃあ犬は?

蒼太
犬は、イスにしっかり座って落ち着いている人、かな。

おいどん先生
まさにそんな感じ。
猫はすばやさ重視、犬は安定重視。それが座り方にも表れている!
蒼太は、ノートに大きく書き込みました。
猫はすばやさ重視。
犬は安定重視。
どうやら、今回の事件の答えが見えてきました。
いつもと違う座り方には注意
そのとき蒼太は、ふと大事なことを思いつきました。

蒼太
先生、いつもと違う座り方をしていたら、それも意味があるんですか?

おいどん先生
うん。それはとても大事なポイントだよ。
座り方は、ただのクセじゃなくて、体の不調のサインになることもあるんだ。
たとえば、
- 座りたがらない
- すぐ立ち上がる
- 片足を浮かせる
- 体をどちらかに傾ける
- いつもと違う不自然な形で座る
このような様子があるときは、足、関節、腰、お腹などに痛みや違和感があることもあります。

おいどん先生
急に座り方が変わったときは、特に注意したいね。

蒼太
座り方を見るだけでも、体のことがわかるんですね。

おいどん先生
そう。動物は言葉で痛いと言えないから、こういう姿勢が大事なヒントになるんだよ。
探偵蒼太の結論
家に帰った蒼太は、観察ノートの最後にこうまとめました。
猫は、前足をそろえ、後ろ足を体の近くに寄せて、体を小さくまとめて座ることが多い。
それは、いつでもすぐ動けるようにするためです。
犬は、後ろ足やおしりの方に体重をかけ、前足で支えるように座ることが多い。
それは、安定して楽に座るためです。
つまり、
猫は「すばやさ重視」
犬は「安定重視」
という違いが、座り方にも表れているのです。
蒼太はノートを閉じて、小さくうなずきました。
「ただ座っているだけに見えても、ちゃんと理由があったんだ」
まとめ
犬と猫では、座るときの体の使い方が違います。
猫は、前足をそろえ、後ろ足を寄せて、体をコンパクトにまとめるように座ります。
これは、すぐ動けるようにするためです。
犬は、後ろ足やおしりの方に体重をかけ、前足で支えるように座ります。
これは、安定して楽に座るためです。
同じ「座る」でも、その中には犬と猫それぞれの体の特徴や、得意な動きの違いが表れているのです。
もし愛犬・愛猫の座り方がいつもと違うと感じたら、体の不調のサインかもしれません。気になることがあれば、お気軽に動物病院にご相談ください。
このコラムに登場する「おいどん先生」は、探偵蒼太シリーズに登場する女性獣医師キャラクターです。
動物の体のサインをわかりやすく伝えるため、蒼太と一緒に動物の「体調の謎」を解説しています。
なお、記事内容は実際の獣医療知識をもとに作成されています。
探偵蒼太シリーズ

犬や猫の「吐く・下痢・食べない・元気がない」など様々な症状から原因、受診の目安など、病気を探る探偵蒼太シリーズです。
中学2年生の「蒼太」と女性獣医師の「おいどん先生」、蒼太の同級生の「結衣」そして「リスク先生」が、受診の目安や危険なサインをわかりやすく解説します。
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・犬の下痢は大丈夫?原因・危険な症状(血便・水様便)と受診の目安
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・犬と猫の鳴き方はなぜ違う?猫は長く犬は短い理由と声が変わる病気
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・犬と猫はどうして座り方が違うの?理由と見分け方
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