若山動物病院ブログ
少しでも良くなって欲しいから!
同居の健康な猫ちゃんからもらった幹細胞を移植するために来院した、腎不全の猫ちゃんです。
この治療は幹細胞を使って壊れたり働きの悪くなった組織や臓器の機能を再生・回復させようとする再生医療の一つです。
今回は、慢性腎炎だけでなく骨関節症も良くなればとのことでの治療です。
当院では幹細胞の中でも、幹細胞の中でも優れた再生促進能力と免疫調整能力を持つ脂肪間葉系幹細胞使った治療を行っています。
そんな幹細胞療法ですが、なぜ病気が良くなるか解明されていない部分があります。
しかし治らない治りづらいと言われている病気が回復することもあるため、多くの施設で治療が行われています。
また徐々にですが、幹細胞の効果について解明されてきています。
例えば腎炎ですが、幹細胞が分泌する物質に治療効果があるのではとのことから・・・
幹細胞が分泌する再生促進物質と免疫調整物質が、腎臓の細胞に対して保護作用があり、しかも腎臓病の重症化を防ぐこともわかりました。
またある腎炎の研究では・・・
幹細胞を投与しても、幹細胞たちは腎臓には行かず脾臓に集まっていたとか・・・
腎臓病が治るんだから、幹細胞は腎臓に集まるんじゃないかと思いませんか?
でも違ったんです!
腎炎が改善するのは幹細胞が腎臓に行ったからでは無く、脾臓に行ったからなんですって。
だから脾臓の無い子に幹細胞を投与しても、腎炎は改善しないというのです。
これって不思議ですよね!
つまり、このことによりわかったのは・・・
脾臓に集まった幹細胞が出す物質が、腎炎の治療に関係してると言うことんなです。
じゃ~何を出しているのか?
それは細胞外小胞と呼ばれる、全ての細胞から分泌されている小さな粒状のモノだったんです。
この細胞外小胞は、細胞間のコミュニケーションを行うための重要な物質とも言われています。
細胞間のコミュニケーション??って何だ??
ここまでくると私には理解するのが超難しくて・・・
まずは理屈は専門家に任せておいて、私どもは培養を上手に行い、トラブルも無く幹細胞を移植することに専念することにします。
でも細胞外小胞の働きが解明されたら、再生医療はグーンと進むでしょうね。
そしたら幹細胞を使わなくても良いようになるかもです!
そして病気が治る可能性も、ドーンと広がるんでしょうね!
病気や体の基礎を研究してるヒトたちを、尊敬します。