Dr.Nyanのすこやかコラム
飼い主様に伝えたい犬猫の病気や日常ケアについての役立つコラムをお届け♪
猫の瓜実条虫症|お尻に米粒みたいな白い虫の原因と治療・受診の目安
猫のお尻や、座っていたクッションの上に動く白い米粒」。
しかもウニョウニョと形を変えて伸び縮みする。
それを目撃した瞬間、「えっ、何これ…虫!?」と、何とも言えない衝撃を受けることでしょう!
実はその正体、猫の体内で最大50cm以上にも成長するお腹の寄生虫、『瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)』の体の一部なんです。
「うちの子は完全室内飼いだから、そんな虫が湧くはずない!」 「こまめにウンチの検査も受けていたのに、どうして?」
そんな疑問や不安が湧いてきますよね。
この虫は、ある意外なルートから猫の口に入り込んでしまうため、家から一歩も出ない猫ちゃんでも感染することがあります。
今回は、お尻に白い虫を見つけたときに取るべき対処法、
ウンチ検査では見落とされやすい理由、
病院で行う確実な治療法と予防策までを、分かりやすく解説します。
多くの場合は早期に対応すれば改善できる寄生虫なので、まずは落ち着いて確認していきましょう。

飼い主
先生
ウンチの表面に白いのが伸びたり縮んだりして動いてるの…
頭パニックです!
Dr.Nyan
それ、ひょっとして瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)かもしれないよ?
実際に確認してみようね。


飼い主
よく見るとウンチの表面に白い虫が動いてる…
こんなのがお腹の中にいるの?
この虫は、瓜実条虫(うりざねじょうちゅう:Dipylidium caninum)と呼ばれている寄生虫の片節です。瓜実条虫という名前の由来は、成虫の片節がキュウリ(胡瓜)の種のような形をしていることによります。

瓜の種のような片節が伸びたり縮んだりして動いています。少し虫を拡大してみました!
この2〜3mmから1cmくらいの大きさの片節が、100個以上も連なって瓜実条虫という1匹の虫を形作っています。この瓜実条虫は猫だけでなく犬、またヒトにも稀に感染することがあります。
そのような「猫瓜実条虫症」の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。
猫瓜実条虫症の症状
瓜実条虫の成虫は、体の長さが80cmにもなることもあります。瓜実条虫は「サナダムシ」の仲間に属し、卵を含んだ袋状の片節が繋がった平べったい形の虫です。

飼い主さん
どんな症状が出るのか心配です…無症状のこともあると聞いたのですが?
Dr.Nyan
瓜実条虫は、感染しても何ら症状が見られないこともあるんだよ!
でもどんな症状がでたら要注意なのか、確認していきましょうね!
無症状や嘔吐・下痢などの消化器症状
瓜実条虫は小腸に寄生します。
健康な猫に瓜実条虫が感染しても、無症状のことが多いと言われています。もし万が一発症しても下痢や嘔吐などが見られる程度で、命にかかわるような重篤な状態になることは稀です。
お尻を擦る
肛門の周りに瓜実条虫の片節が付くことで、肛門周囲に違和感や痒みが出ることがあります。それを気にして、お尻を床に擦ることがあります。

飼い主さん
猫がよくお尻を床にこすりつけているのですが、これも瓜実条虫のサインですか?
リスク先生
肛門周囲に片節が付くことで痒みや違和感が出て、お尻を擦る行動につながります。繰り返しこの行動が見られる場合は要注意!早めに受診してください。
【多数寄生の場合】元気がなくなる・痩せる
大量に寄生した場合には、元気や食欲が無くなったり、痩せ、また吐くなどの症状が見られることがあります。これらは他の病気でも見られる症状です。
そのため、瓜実条虫の感染の症状と見分けることが難しいです。

飼い主さん
ウンチに白い粒が何度も出てきます。大量に寄生している場合、猫の体はどうなりますか?
リスク先生
大量寄生では元気消失・食欲低下・体重減少が起こります。特に子猫や免疫の弱い猫は重症化リスクが上がります。繰り返し白い粒が出るなら早急に動物病院へ!
猫瓜実条虫症の原因
Dr.Nyan
猫瓜実条虫症の原因は、ノミの寄生なんだよ!
ノミを口にして感染
瓜実条虫の感染の原因は、瓜実条虫の卵を食べたノミを猫が口にすることによります。つまりノミの寄生により瓜実条虫が感染してしまうのです。

瓜実条虫の卵が多数見られます。
これも『経口感染』の1つと言えるでしょう。

飼い主さん
完全室内飼いなのに感染するんですか?ノミに刺されるわけじゃないですよね?
Dr.Nyan
そうなんだよ!ノミに刺されるのではなく、グルーミング中にノミを飲み込むことで感染するんだ。室内でもノミは繁殖するから、ノミ予防が最大の防衛策だよ!
猫瓜実条虫症の主な治療法と費用
偶然に、ウンチ検査で瓜実条虫の卵が見つかることがあります。しかし一般的には、ウンチの検査で瓜実条虫の卵が見つかることは極少ないと言えます。
感染に気がつく最大の理由は、瓜実条虫の片節をウンチの表面や肛門の周囲に付いてることによります。

飼い主
えっ!?じゃあ健康診断の便検査で異常なしでも、感染していることがあるんですか?
Dr.Nyan
そうなんだ。瓜実条虫は片節が見つかることで気づくケースが多いんだよ。だから、お尻や便の表面の白い粒はとても大事なサインなんだ!
駆虫薬を飲ませる

飼い主さん
薬はどうやって飲ませればいいですか?猫が薬を嫌がって困っています…
Dr.Nyan
錠剤タイプのほか、背中に垂らすスポットオンタイプや注射薬もあるよ。嫌がる子には動物病院でスポットオンや注射を選択するのが楽だよ。遠慮なく相談してね!
駆虫薬を飲ませて、瓜実条虫を駆除します。瓜実条虫の駆除には、ドロンシット錠やドロンタール錠を飲ませることで行います。
回虫などの寄生虫の場合には、駆除できたかどうかはウンチの検査で卵が出てないことで確認できます。しかし瓜実条虫の卵は便には出てきませんので、ウンチ検査では確認できません。
駆虫薬には飲ませるタイプの薬以外に、背中に垂すスポットオンタイプや注射薬があります。
治療費

飼い主さん
気になる瓜実条虫の治療費は幾らくらいでしょう?
感染の度合いや使用する薬、治療期間の違いから治療費が変わります。体重にもよりますが、駆虫剤の内服タイプの投薬で治療費は5000〜6,000円くらいです。
しかし混合感染や併発症などの消化器障害を起こしてしまっている場合には、治療期間も長く治療費もかかってしまいます!
猫瓜実条虫症の予防方法

飼い主さん
瓜実条虫は、稀にでもヒトにも感染することもある寄生虫なので、感染しないようにしたいです!
瓜実条虫は、ノミから感染します。そのため、いくら瓜実条虫を駆除してもノミがいる限りは完全には駆除できません。
再発防止のためにも、ノミの駆除が絶対に必要になります。
ノミの駆除
瓜実条虫は中間宿主となるノミを生活環境から駆除する必要があります。ノミの予防にはセラメクチン(レボリューション、ゾエティス)などのスポットオン剤を、背中に垂らします。


ノノミの成虫だけでなく幼虫や卵にも効果があります。
駆虫薬を定期的に投与することで、感染の予防が効果的にできます。
清掃の徹底

飼い主さん
部屋のどこを重点的に掃除すればノミを減らせますか?
リスク先生
ノミは温かく暗い場所が大好き!冷蔵庫・家具の裏、カーペットの繊維の中に潜んでいます。猫がよくいる場所を中心に、こまめな掃除機がけと丸洗いを実践しましょう。
室内飼いだから安心と思うかもしれませんが、そうとも言えません。ノミは室内でも、十分に繁殖します。
もし猫に1匹でもノミがいたら、屋内などの環境中には100倍はいる!しかも室内でノミが繁殖してしまうと、屋内で繁殖したノミを完全に駆除するには、時間と継続的な対策が必要になります。
屋内に住み着いたノミを『環境のノミ』と言います。
環境中のノミの駆除には、ノミの住みそうな屋内の温かい場所のホコリを掃除します。特に冷蔵庫の裏などには、注意が必要です。
屋内飼育の徹底
ノミの感染を防ぐ意味でも、猫を外に出さないことです。また新しい子を向かい入れた場合には、その子にもノミの感染が無いことを確認します。ノミが見えなくても、ノミ予防の処置を行うことが大切です。
Dr.Nyan
チョットした注意で予防できますよ!
猫瓜実条虫症になりやすい猫種
- 外に出ている猫
- ノミの予防をしていない猫
猫の瓜実条虫でよくある質問
猫のお尻に白い粒がついているのは何ですか?
瓜実条虫の片節(体の一部)の可能性があります。
白い米粒のように見え、伸び縮みして動くことがあります。条虫の片節の可能性があります
猫の寄生虫は人にうつりますか?
瓜実条虫はまれに人にも感染することがあります
瓜実条虫は自然に治りますか?
自然に完全駆除されることはほとんどなく、動物病院での駆虫治療が必要です。
放置するとノミを介して再感染を繰り返すことがあります。
ノミがいなくても感染しますか?
ノミを介して感染するため、ノミ予防が重要です

飼い主さん
治療して完治した後も、また感染することはありますか?
Dr.Nyan
環境中にノミがいる限り再感染のリスクはあるんだ。だから治療後も定期的なノミ予防薬の使用と環境の清掃を継続することが、再発を防ぐ一番の方法だよ!
まとめ
瓜実条虫はノミが寄生している猫で多くみられ、しかもヒトにも稀に感染することが知られています。そんな瓜実条虫はお腹の中に住んでいますが、駆除も予防もできる寄生虫です。
もし、少しでも気になる兆候が見られたら早めにご相談くださいね!安心して暮らせるお手伝いをいたします!
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筆者・若山正之(Dr.Nyan)のプロフィール

本記事は、犬・猫の診療を行う獣医師・若山正之が監修・執筆しています。
1975年より小動物臨床に従事し、現在は若山動物病院院長として地域医療に携わっています。長年の臨床経験に基づき、一般診療から予防医療、シニア医療まで幅広く対応しています。
特に、病気の早期発見・早期対応を重視し、飼い主様にわかりやすい説明と納得いただける診療を心がけています。
また、幹細胞療法や免疫療法などの先進医療にも取り組み、動物の生活の質(QOL)を重視した治療を提供しています。
これまでに一般飼い主様向けのセミナーや講演活動を多数行い、正しい医療知識の普及にも尽力しています。著書に『老犬生活 完全ガイド』『犬と猫の老齢介護エキスパートブック』などがあります。
本記事は最新の獣医療知見と臨床経験をもとに作成していますが、症状や状態によって対応は異なるため、気になる症状がある場合はお早めに動物病院へご相談ください。