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【変形性関節症】猫の変形性関節症とは?症状や予防法を解説

猫ちゃんは、ヒトよりも骨の多い動物であることを知っていましたか?
ではチョット比べてみましょう!。

ヒトは頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個・・・体全部では約200個
ネコは頚椎7個、胸椎13個、腰椎7個、仙椎3個・・・体全部では約240個

ヒトよりも腰椎が細長く、しかも2個多いので背中が柔軟に曲げられるんだよ。
だから体をクネクネしたり、高いところから落ちた時など体クルッと回転させられるんだ!

ヒトと猫ちゃんで大きく違うのは尾椎、いわゆるシッポの骨です。
尻尾の長さにもよるでしょうけど、骨は一般的に20個くらいんなです!
でも、それでもヒトよりは20個も多いんですね!

目次

関節ってなに?

関節とは二つの骨が繋がっている部分、つまり骨と骨のつなぎ目の動く場所です。
関節は「関節包」と呼ばれる袋で覆われていて、骨と骨がズレルのを防いでいます。
骨のつなぎ目でも関節砲包が無い場合は、関節とは言いません!

この関節包の内側には「滑膜」という薄い膜が張りめぐらされています。
この滑膜からは「関節液」が分泌されており、この関節液は軟骨がこすれ合うのを防ぐ潤滑油のような働きをします。

骨は硬いものだから関節包の中で骨と骨が直接触れると、擦り減っちゃうんだよ!
だから、そのようなことが無いような作りになってるんだ。

このように関節液は関節の動きをスムーズにするだけでなく、軟骨へ酸素と栄養を補給しています。

肘の関節の構想

また関節は場所によっては形が違うため、曲げたり回したりと様々な動きを可能にしています。

変形性関節症の症状


猫ちゃんは4本の足で歩くため、ヒトのように足や膝、首や腰だけでなく手首や肘にも大きな力がかかっています。
そのためこの部位の関節の軟骨や周囲の組織が変形し、炎症を起こしてしまうことがあります。
これが「変形性関節症」と言われるものです。
また変形関節症でも、背骨が変形してしまったものは「変形性脊椎症」と言われます。

赤い矢印の部分が

猫ちゃんの変形性関節症は皆さんが思っている以上に多い病気である割には、認知度が低い病気です。

もともと猫ちゃんは、不快さや痛みを隠してしまう我慢強い動物なんです。
しかも変形性関節症は年齢と共に徐々に進行する傾向があるため、普段の生活の中では気付かない飼い主さんが多い病気でもあります。

変形性関節症は、ヒトで言う関節炎の仲間なんだよ!
だから、痛いのわかってくれる?
それなのにに気がつかれないこともあるなんて、困った!

変形性関節症の症状には、以下のようなものがあります。

  • 毛づくろいをする回数が減った
  • 体重が増えた・逆に痩せた
  • 寝ていることが多い
  • 立つ座る歩くなどの動作がぎこちない
  • 動作が遅くなった
  • 遊ぶことが減った
  • 歩くとき足を上げない、または引きずる
  • 関節を舐めたり噛んだりする
  • 高い場所に上がらない
  • 怒りっぽくなった
  • 体に触れようとすると嫌がる

猫ちゃんは筋力も強く、関節が持つ能力や柔軟性、瞬発力が高いのですが、関節炎になってしまうとこれらの力が弱くなってしまいます。

変形性関節症の原因

変形性膝関節症は、その原因により「一次性」と「二次性」とがあります。
では、一次性変形性関節症と 二次性変形性関節症について説明します!

一次性変形性関節症

肥満による関節への過度の負担、また関節に繰り返しかかる負荷や損傷などから関節の内部の軟骨や骨の関節面にスレや変形を起こしてしまった結果、起こります。

言い換えれば関節を長い時間使ってきたことで起こる、関節が傷み修復困難になっている状態です。
つまり猫ちゃんも「関節軟骨の擦り減りから関節に違和感や痛みが出てしまう」のです。

軽い損傷であれば自然に治ることもあります。
しかし重度となってしまうと関節軟骨や滑膜に炎症が起き、しかも滑液の性状も変化し軟骨の代謝を悪化させてしまいます。

肥満と運動不足はさ・・・
体重が増えても筋肉量は減ってるから関節に大きな負担がかかって関節が壊れちゃうんだね!

一次性変形性関節症は、品種に関係なく発症します。

二次性変形性関節症

他の病気や、何らかの原因が影響して関節に問題が生じてしまった結果起こってしまいます。

例えばスコティッシュ・フォールドは、成長段階で関節の構造に異常が生じてしまい発症します。
またシャムも同様に、股関節にトラブルを起こし発症します。
このように特定の猫の品種に関節に問題が起こるのが、二次性変形性関節炎です。

原因が何であれ「変形性関節症」や「変形性脊椎症」になっちゃうことが多いのは事実なんだよ!
しかも足腰の変形ってメッチャ痛いの、わかるでしょ?

変形性関節症の治療法

変形性関節症は関節の構造の変形ゆっくり進む場合と、急速に進む場合とがあります。
これは発症した原因や発症部位、年齢や運動量によります。 

関節は一生使うため悪化を防ぐともに、生活の質を落とさないようにすることが重要になります。

そのため発症した際には痛みを和らげ、また関節にかかる負担を減らすなどして、痛みを限りなく少なくし運動量も減らないようにしてあげます。

どのような場合でも動物病院での治療だけでなく、飼い主である皆様方の愛情と手当で快適な生活を送れるようにしてあげたいものです!

消炎鎮痛剤の投与

基本的には関節の痛みを和らげるために、NSAID(非ステロイド消炎鎮痛剤)使用した内科的な治療が行われます。
NSAIDは関節の炎症や痛みを和らげるだけでなく、関節の損傷が進むのを防ぐとともに生活の質を改善させます。

ただNSAIDを使用すると、あたかも治ったかのように動けるようになることがありますが、
これは痛みが止まっただけであって、治っているわけではありません。

薬飲むと、超楽になるんだよ。
だから歩けるようにもなるし、眠りも深くなって食欲もでちゃうんだ。
でも飲むの忘れちゃうと痛くなってきちゃうから、忘れないようにしないとだよ!

つまりNSAIDは痛みなどの症状を改善する治療であって、原因そのものを治しているわけではありません!

現在使用されているNSAIDは以前のモノと違い、胃腸障害などの副作用が出ることも少なく猫ちゃんにも安全に使用できる薬となりました。

体重管理

足腰を痛めてしまうと活動性が落ち、その結果太ってしまうだけでなく筋肉量も減ってしまいます。
体重が増えると、関節への負担も増えてしまうことになります。
また関節の周りには筋肉は、関節を支えるだけで無く関節にかかる負担の一部を軽減しています。

関節を支える筋肉を落とさないためにも、また関節の機能を悪化させないためにも関節に負担がかからない程度の運動が必要になります。

痛みが強い場合は消炎鎮痛剤を上手に使い、適度に身体を動かし筋肉量を維持させ肥満を防ぐようにします。
もし肥満になっている場合には、体重管理をすることが重要な治療にもなります。

関節の負荷を軽くしてあげることができれば、動きも良くなり生活の質も改善します。

運動

関節を支える筋肉を落とさないためには、どうしても運動が必要になります。
そのために、足腰に負担がかからないよう運動を行うよう心がけなくてはなりません。

ただ猫ちゃんはワンちゃんとは違い、屋外を散歩するなどができません。
そのため遊び相手と言うか、同居猫を増やすと動きが出て運動量を増やすには効果的なんですが・・・
いわゆる、多頭飼いの勧めです!

ただ適正な飼育頭数もありますので、むやみに増やすこともできません。
新しい猫ちゃんを向かい入れることをお考えの場合には、事前の準備が必要になります。
また先住猫ちゃんと仲良く暮らせる方法がありますので、是非ご相談下さい!

その他の治療方法

痛みのある部位やその周辺に対して、理学療法を行うことがあります。
例えばレーザー治療や鍼灸、マッサージ、温浴など、様々な方法があります。

枇杷の葉エキスを使った温灸をしています!

また軟骨成分を補ったり痛みを抑えるのを助けるサプリメントとして、グルコサミンやコンドロイチンなどを与えることもあります。

重症の場合には、手術を行うこともあります。

変形性関節症の予防

変形性関節症は生活習慣病のようなものですから、生活の仕方を工夫することにより発症をある程度防げたり遅らせることができます。

体重管理

関節への負担を軽くするため、体重管理は大切です。
太れば膝などの関節に負担がかかるし、痩せれば首や腰の関節にトラブルが起こりやすくなります。

肥満を防ぎから膝を守り、筋肉量を落とさないようにして腰を守りましょう!

そのためにもフードやオヤツの質と、運動量を考えてあげる必要があります。

適度な運動

適度な運動は、肥満の防止と健康維持にとても重要です。
関節を支える筋肉は、自然のサポーターでありコルセットでもあります。

そのためにも、筋肉量が落ちないようにしてあげる必要があります。

床材の見直し

床が滑りやすいと、足腰に思わぬ場所に力が入り関節に負荷がかかります。
そのため床材には滑りにくい素材のものを選んであげます。
また床に塗る滑り止めも効果がありますので、検討してみましょう!。

爪のチェック

爪が長いと、歩く際にトラブルを生じることがあります。
爪が伸びてると歩き方や足先への力の入れ方が変わるため、手首や足首に負担がかかることもあります。
そのようなことが起こらないようにするためにも、爪は切っておくことが大切です!

かかりやすい猫種

  • 高齢の猫
  • 遺伝的に関節疾患を起こしやすい猫種
  • デボン・レックスの膝蓋骨脱臼
  • シャムの股関節異型性
  • スコティッシュ・フォールドの関節症

まとめ

変形性関節症の症状と加齢に伴う緩慢な動きなどの症状がチョット似ていて、見分けがつきにくい部分もあります。
しかし病気と病気では無いとでは大きく違います!
見逃されやすい変形性関節症を早く気がついてあげれば、生活に支障が出る前に対策を取ることができます。
そのためにも日々の動き方に気をつけ、また健康診断で関節のチェックを受け、猫の最高長寿である38年を目指しましょう!