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【高血圧】猫の高血圧症とは?症状や予防法を解説

ヒトでも高血圧の方が多いように猫ちゃんでも高血圧症は珍しくなく、高齢の猫ちゃんの約20%が高血圧症に罹ってるとも言われます。
その中には無症状で暮らす、潜在的な高血圧症の猫ちゃんも多そうです。
そのため高齢の猫ちゃんでは血圧を測定し、しっかり管理することが重要とされています。

高血圧症とは、高血圧が慢性的に続く状態の病気です。
そして高血圧症は初期では症状はほとんど無く、症状が現れた時には相当進行してしまっています。

高血圧症は猫ちゃんにも多く全身に悪影響を及ぼすと言われる病気なのに、なぜか血圧に関心が低いだけでなく血圧を測ることも少ないとも言われています。
しかも猫ちゃんが高血圧症かどうかは、血圧を測らない限りは全くと言って良いほど分かりません。

俺なんか、血圧測るって言われたらさ・・・
興奮ってか緊張ってかさ、血圧が高くなちゃって
だから血圧を測る際には注意してるんだ!

目次

猫の高血圧症の症状

高血圧とは、全身の血圧が異常に高くなっている状態です。
ただ血圧が高いからと言って、長期的に高く無いければ無症状であることもあります。
しかも血圧が高くても、高血圧に特有の症状はありません

無症状や老齢と勘違い

血圧が高いまま気付くことなく持続してしまうと、様々な組織や臓器がダメージを受けてしまいます。
これは血圧が高いと血管の内側が傷つき、しかも慢性的になると血管の構造まで変化してしまうことによります。
そうなると血液の流れに障害が出たり血管が詰まり、様々な組織や臓器が影響を受けてしまいます。

高血圧症の初期では、全くの無症状です!
また症状が出たっとしても、食欲不振や体重減少、運動の減少など一見すると老齢とも思われる症状を示します。
そのため、多くは見逃されてしまうことがほとんどです!

高血圧による臓器の障害

高血圧は様々な臓器に負担をかけ、トラブルを起こします。

高血圧が原因とされる症状は、眼や心臓、脳、腎臓に良くみられるって!
それじゃ〜
それぞれについてチェックしてみようね!

高血圧により、最もダメージを受けやすいのが眼の奥にある網膜です。
この網膜は光を感じるる組織で、網膜の細胞は細い血管から栄養をもらっています。
この血管が血圧が上がると破けて出血してしまったり、網膜が浮いて剥離してしまい眼が見えなくなることもあります。

心臓

心臓に大きな力がかかるなどから不整脈が出たり、心雑音や心臓が肥大したりします。
また心臓が悪くなった結果、高血圧になることもあります。

脳内の圧力が上がることにより脳に損傷を与えます。その結果出血や梗塞、また麻痺、運動失調を起こすことがあります。
またひどい場合には痙攣発作など、神経症状を起こすこともあります。

腎臓

腎臓の血圧が高くなると腎臓の組織が傷つき、その機能が落ちてしまいます。
腎臓の変化は進行性で、機能のダメージが徐々に進んでいきます。

高血圧症でも、飼い主さんでも気が付きやすのは眼の症状!
片方もしくは両方の瞳孔が散大、いわゆる瞳が丸くなってしまっています。
しかも、なんか眼が見えていような感じもしちゃったりします・・・

猫の高血圧症の原因

高血圧には原発性高血圧、何らかの病気が原因の二次性高血圧(続発性高血圧)、原因が不明の特発性高血圧があります。

俺らの高血圧は、二次性高血圧(続発性高血圧)がほとんど
だからなんかの病気に関連し、高血圧になるんだよ!

特発性高血圧は高血圧を引き起こす病気が無いか見つけられない場合、つまり原因が特定できないタイプです。
しかし特発性高血圧と思っていたら腎臓病の初期であった場合もあります。
また緊張や興奮や不安などから、一時的に血圧が高くなってしまっている場合もあります。
血圧は常に一定ではなく、1日の中でも気温・室温、食事、運動などさまざまな原因により変わります。

そのため高血圧症を見極めるには、きちんと検査を行うことが重要になります。

血圧に影響する代表的な病気

慢性腎臓病

腎臓はオシッコを作り老廃物と一緒に体外に排出するだけでなく、体内の水分を調整し血圧をコントロールするという働きもしています。
そのため腎臓病になると、体内の水分の調整がうまくいかずに血圧が上昇してしまうことがよくあります。
これが、腎性高血圧です。

腎臓の機能が落ちると高血圧になり、高腎臓の組織が血圧で壊れ腎臓の機能がさらに落ちるて血圧がさらに上がってしまいます。

慢性腎臓病に罹った猫ちゃんの半数以上に、高血圧が認められたという報告もあります。

甲状腺機能亢進症

高齢の猫ちゃんに多いとされる甲状腺機能亢進症は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが血液中に過剰分泌され起こります。
甲状腺ホルモンは代謝に関わるため、代謝が活発化し一見元気に見えてしまうため発見が遅れてしまいます。
しかも血圧も上がってしまい、高齢の猫ちゃんの90%近くが高血圧になってしまうそうです。
そのままの状態で放置してしまうと、様々な臓器の機能が落ちてしまい命にかかわることもあります。

アルドステロン症

アルドステロン症は、腎臓の横の方にある副腎から分泌される副腎皮質ホルモンの一種であるアルドステロンが過剰に分泌される病気です。
この病気になると、ナトリウムが体内に溜まり高血圧症になるといわれています。

また副腎髄質から分泌されるホルモンであるカテコラミンが過剰に分泌されると、やはり高血圧となります。

そもそも血圧ってなに?

体の中を流れている血液は、全身に酸素や栄養素を届ける働きをしています。
そのため血液を送り出すために心臓がポンプのように働き、全身の組織に血液を届けています。
この心臓から送り出された血流が、血管の内壁を押す力を「血圧」と言います。

最高血圧と最低血圧とは

血圧には、最高血圧と最低血圧があります。
最高血圧は収縮期血圧とも呼ばれ、心臓が収縮して血液を送り出す際に血管にかかる強い圧力の値です。
最低血圧とは拡張期血圧とも呼ばれ、次に送り出す血液を溜めるために心臓の筋肉が最も広がった時の値です。

血圧の正常値と高血圧

猫ちゃんの血圧の正常値は、140mmHg以下と言われています。

高血圧は、最高血圧(収縮期血圧)が150 mmHg以上
最低血圧(拡張期血圧)が95 mmHg以上を言うんだって!

連続して最高血圧が160 mmHgを超えるようだったら、治療を始めます。
もし血圧が180 mmHg以上の状態が続いていたら超大変、ヤバイヤバイですよ!

五つの血圧に関与するもの

心拍出量
心臓が1回の拍動(心臓のドッキンと収縮する動き)で送り出す血液の量が多い程、心拍出量が増え血圧が上がります。

大動脈の弾力
大動脈が硬くなったり通りが悪くなると血液の流れが悪くなるため、拍動が強くなり血圧が上がります。

末梢血管抵抗
末梢血管(毛細血管)に血液が流れ込む際に、末梢血管の抵抗が強いと血液の流れがスムーズにいかなくなります。
そのため末梢血管の血液の流れを良くしようと拍動を強くするため、血圧が上がります。

血液の粘度
血液の粘度が高くドロドロになると血液の流れが悪くなるため、拍動を強くして血液の流れをスムーズにしようと血圧が上がります。

循環血液量
体の中を流れる血液の量が多いと、血圧は上がります。逆に血液の量が減ると、血圧が下がってしまいます。

つまり血液の硬さと量が適度であり、しかも血液が血管の中をスムーズに流れれば血圧が高くなりずらいと言うことです!

猫の高血圧症の治療法

ヒトでは肥満や塩分の多い食事が高血圧になる原因とも言われていますが、猫ちゃんではどうでしょうか?
肥満はともかく、猫ちゃんはヒトと違って塩分を摂っても血圧は上がらないそうです。
もし塩分が血圧に影響を与えるとしても、適切な猫用のフードを与えていればる問題は無いと思われます。

ただ肥満は、関節疾患にも良くないことは確かだと言えそうです。
そのため体重をコントロールすることは、全ての猫ちゃんにとって大切なことです。

高血圧になると、現在は症状が出ていなくても将来的には大きなダメージを受けてしまいます。
そのため高血圧と分かったら、必要な治療を行い定期的に血圧などの検査を必ず行いましょう。

ただ血圧の値が高くても、治療をするかしないかの境目にある時には治療を行わず定期的に血圧を測り様子を見ることもあります。

高血圧の原因となっている病気(基礎疾患)がある場合には、基礎疾患を治療すれば高血圧が良くなることもあります。

  • 基礎疾患のある高血圧では、基礎疾患と血圧の薬を併用し治療します。
  • 血圧を下げる薬を使う場合には、血圧が下がり過ぎないように慎重に投与します。
  • 薬を飲ませた後の状態をチェックし、元気や食欲などを観察します。
  • 薬の適量を見つけ状態が安定するまでは、こまめに血圧を測る必要もあります。

血圧の測定

血圧を測定する場合には、緊張や興奮から血圧の値が高くなってしまうため安静にしてリラックスした状態で行う必要があります。
より正確な血圧を知るためにはリラックスしていても、数回繰り返し血圧を測り測定値にブレがないかを確認します。

血圧の測定には「非観血的血圧測定」と「観血的血圧測定」があります。

非観血的血圧測定

腕や尾などにカフ(血圧測定用のバンド)を巻いて、安静にして血圧を測定する方法です。
この方法のメリットは、動物用の血圧計で測定が簡単に行えるという点です。

デメリットは猫ちゃんの緊張状態やカフ位置や設置具合などにより、測定値が変化してしまうことがあります。
そのため落ち着いた状態で複数回測定します。
また血圧が高く出たとしても、日を改めて測定し再確認することもあります。

観血的血圧測定

動脈にセンサーが付いている針を刺して血圧を測定する方法で、正確に測れます。
ただ一般的ではありません!

猫の高血圧症の予防方法

猫ちゃんは緊張や興奮しやすいため、血圧を測ることはなかなか難しいものです。
ただ猫ちゃんは病気が原因で高血圧になることもあるため、高血圧を併発する病気を早めに発見することが重要になります。

特に高血圧症と関係の深い腎臓病や甲状腺機能亢進症では、早めに発見し治療を行っていくことで高血圧を防ぐことができます。
高血圧症の予防は、定期的な血圧も含めた健康診断です。

猫高血圧症を起こしやすい猫種

  • 老齢の猫
  • 腎炎に罹っている猫
  • 心臓病の猫
  • 血圧が上がってしまう病気に罹っている猫

まとめ

高血圧症の初期は無症状ですが、時間が経つにつれ体に大きなダメージを与えてしまいます。
高血圧症を見つけ出すには定期的に血圧を測ること、また病気から血圧が高くなることもあるため定期的な健康診断を受け、高血圧症だけでなく様々な病気を予防することも重要です。

当院の健康診断の中には、血圧測定が含まれているものもあります。血圧が心配な飼い主さんは、是非ご相談ください!健康は獲得するものです。