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【尿石症】猫の尿石症とは?症状や治療法を解説

トイレに幾度も通うようになったり、トイレの中で考え事をしながらオシッコをしている!そんな症状がみられたら『尿石症』もしれません。

先生〜オシッコするときに違和感があるの・・なんで?
それとオシッコが赤いの、見て〜

オシッコの様子

オシッコに血が混じっています。

それは大変だ・・
尿石症かもしれないからオシッコを顕微鏡検査してみようね。
…おや、尿に何か写っているね?

ストルバイト結晶の様子

顕微鏡に写ったストルバイト結晶で尿石症の原因の一つです。

オシッコを顕微鏡検査してみた結果は尿石症。『尿石症』は腎臓から尿管、膀胱、尿道に結晶や結石ができてしまう病気で、膀胱や尿道を傷をつけたり尿道を詰まらせてしまいます。

しかも繰り返して発症してしまうことが多く、また重症化すると死に至ってしまう奥の深い怖い病気なんです。そのような『尿石症』の原因や対処法などについてDr.Nyanが説明しますね。

目次

尿石症の症状

尿石症の一番多い症状は、とにかくトイレに幾度も通うことだよ!
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!

まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!

オシッコが近い

結晶や結石の刺激や細菌感染から、膀胱炎を起こしてしまうことがあります。膀胱炎になるとオシッコが近くなったり、血尿となったりします。

またトイレ以外の場所でのオシッコをしたり、陰部を気にして舐めるような姿が見られるようにもなります。

オシッコが少しずつしか出ない

結晶や結石は、オシッコの通り道に傷をつけてしまいます。

そのためオシッコをするときに違和感を感じたり、オシッコをする痛みからトイレの中に長い時間座り込んでいることがあります。また激しく痛いのか、オシッコをするときに大きな声をあげることもあります。

結石の様子

膀胱と尿道に結石が溜まっています。

緑の矢印が膀胱結石、赤丸で囲んだ部分の赤い矢印が尿道の結石たちです。ちなみに黄色い矢印は、変形性脊椎症です。

オシッコにキラキラしたものが見える

尿石症になるとオシッコにキラキラしたものが見える場合があります。その正体は、結石になる前の小さな砂状の結晶です。

このキラキラした結晶を顕微鏡で見ると、その成分によって形が違います。

結晶と結石の違いは・・
『結晶』は顕微鏡でしか見えません(オシッコがキラキラ光ることはあります)
『結石』は結晶が集まって目に見えるようになったものですよ〜

ストルバイト結晶の様子

ストルバイト結晶

シュウ酸カルシウム結晶の様子

シュウ酸カルシウム結晶(四角い形のものです)

オシッコが出ない

オシッコをしたくても結晶や結石が尿道に詰まると、オシッコが出なくなってしまいます。これを尿道閉塞と言い、尿石症では最も気をつけなければならない状態です。

尿道閉塞になると、オシッコと一緒に捨てている血液中の老廃物が捨てられず尿毒症を引き起こしてしまいます。また悲惨にも、膀胱破裂を起こしてしまこともあります。

どちらの状態も命の危険性があるため、オシッコが出なくなったら早急に対処する必要があります。

例えば、こんな小さなものでも詰まれば大変なことになります。

オシッコが出ない

ボールペンの先に見える茶色いモノが、尿道に詰まっていたモノです!

尿石症の原因

猫に尿石症が多い理由には猫の体のつくり生活習慣が大きく関係しています。

例えば

  • 水の飲みが悪い
  • フードに偏りがある
  • 運動嫌い
  • トイレにこだわりがある

これらが愛猫に当てはまる人は注意が必要です。

それでは尿石症を起こす原因について、紹介していきますね。

尿道が長くて細い

尿石症はオスの猫によく見られる病気です。その理由はオス猫の尿道の形が大きく関係しています。

具体的な特徴をあげると

  • 尿道が長い
  • 尿道が細くて曲がっている
  • 尿道の先端、いわゆるオシッコの出口が細くなっている

などが挙げられます。

オスの尿道は長くて細いため結晶や結石が詰まりやすく、しかも重症化しやすいです。

飲む水の量が少ない

猫は、水の少ない砂漠地帯で進化した動物なの!
だから猫の体は水を飲まなくても脱水にならないように、
オシッコをあまり作らず体から水分が減らないようになっているんだよ。

このような猫の体の仕組みが、尿石症になりやすい大きな原因ともなっています!

飲む水の量が少ないと、当然オシッコは濃くなります。その結果オシッコ内のミネラル分も増え、結石ができやすくなってしまいます。

またオシッコの回数も減ってしまいます。

その結果オシッコが体の中に止まっている時間も長くなり、オシッコに細菌が増えやすなってしまします。オシッコに細菌が増えると、オシッコの「pH」がアルカリ性に傾きストルバイト結石ができやすくなってしまいます。

梅雨や秋から冬にかけての寒い時期になると、さらに飲む水の量が減ってしまいます。そのため尿石症は、季節にも関係する病気とも言えます。

キャットフードによる水分不足

もともと猫は飲む水の量が少なくても、獲物から水分を摂ることができたのね。
でもヒトと一緒に暮らして「キャットフード」を日常的に食べるようになると、獲物から摂っていたようには水分を摂ることができなくなったの!

しかも猫は積極的に水を飲まない性格のため、水分不足となってしまうのです。

また消化の悪いフードは、食べる量に対してウンチの量が多くなります。ウンチが増えれば、そこに含まれる水分の量も増えてしまいます。その結果、水分不足となってしまうのでフード選びも大切です。

結石の元となるミネラル成分が少ないなど、尿石症に対応しているドライフードがあります。しかしそのようなフードを食べていても、飲む水の量が少ないと尿石症になってしまうことがあります。

オシッコの我慢

もともと猫は南の国の動物のため、寒い場所はとっても苦手です。

そのためトイレが寒い場所にあると、ついつい我慢してしまいます。また落ち着かない場所のトイレや、小さめのトイレも、汚れたトイレでも我慢してしまいます。

オシッコを我慢してしまうと、オシッコが体の中に長時間とどまることにより細菌が増えてしまいます。その結果、オシッコの「pH」がアルカリ性に傾きストルバイト結石ができやすくなるなります。

オシッコの中に動いている小さな石が見えます。

トイレの好き嫌いは猫次第。例えばこんな猫ちゃんもいますよ。

ウンチで汚れているトイレは我慢して使えるけど
オシッコで汚れているトイレは使いたくない!だからガマンしてしまうの!!

運動不足

尿石症を引き起こす原因で一番多いのが、ストルバイトです。ストルバイト結石は、オシッコの「pH」がアルカリ性に傾くとできやすくなります。

オシッコのpHの値は、食事や運動量によって変わります。食後、胃の中にフードが入った状態でのオシッコのpHはアルカリ性です。

しかし運動をすると、pHは酸性になります。つまりたくさん食べる割には運動量が少ない猫には、尿石症が多く見られることになります。

感染の問題

長い時間オシッコを我慢したり、免疫力が下がっても細菌感染を引き起こしてしまいます。オシッコの中に細菌が増えてしまうとオシッコの「pH」がアルカリ性に傾きます。

その結果、ストルバイト結石が作られやすくなってしまいます。

尿石症の主な治療法と費用

治療法は原因によって異なります。原因別に治療法を解説していきますね。

結晶が見られ膀胱炎を起こしている場合

膀胱炎を発症している場合は以下の治療を行います。

  • フードを尿石症対応のものに変更
  • おしっこをいっぱいさせる
  • 抗生剤を投与する

フードを尿石症対応の物に変更し、尿石の元となるミネラル分が体の中に入る量を少なくします。
飲む水の量を増やしオシッコを薄くさせ、ミネラルが結晶化するのを防ぎます。

またオシッコをいっぱいさせることで、膀胱内に溜まった結晶を体の外に出してしまいます。細菌感染がみられれば、抗生剤を投与します。

結石が尿道に詰まっていてオシッコが出にくくなっている場合

結石が詰まっている場合は以下の治療を行います。

  • カテーテルの挿入
  • 膀胱洗浄
  • 抗生剤の投与

尿道の先からカテーテルを入れるなどして、尿道の詰まりを取り除きます。膀胱洗浄を行い、膀胱の中にある結晶を洗い出します。

細菌感染がみられれば、抗生剤の投与を行います。フードの種類と飲む水の量には十分に注意します。

尿道閉塞を起こしている場合

尿道閉鎖を起こしている場合は以下の治療を行います。

  • カテーテルを数日間挿入する
  • 結石を取り除く手術をする
  • (腎臓機能が低下している場合)輸液する

尿道の詰まりを取り除き、再度閉塞が起こらないようカテーテルを数日間挿入しておきます。詰まった原因が砂状の結晶ではなく結石の場合には、手術で取り除きます。

オシッコが詰まっていた時間が長い場合には腎臓の機能が低下してしまっている場合があります。その場合には、輸液など腎臓の治療を行います。

ちなみに以下は手術で取り出した結石です!

結石の様子

結石の様子02

原因や症状によって治療方法は違いますが、一般的な尿石症の治療は1~4週間です。しかもちゃんと治ったとしても、再発してしまうことが多いのが尿石症です。

尿石症の治療費

気になる尿石症の治療費は幾らくらいでしょう?

尿石症の原因や症状によって、使用する薬と治療期間の違いから治療費が変わります。しかも重度の場合には治療期間も長くなり、その分治療費もかかってしまいます!

例えば尿道閉塞を起こし、結石の摘出手術を行った場合には10〜20万円かかってしまいます。尿道閉塞からの腎炎を起こしてしまうと、さらに費用がかかってしまいます。

尿石症の予防方法

尿石症の治療と予防に一番大切なことは、水をいっぱい飲ませることです!

尿石症は再発しやすい病気ですが、再発の頻度を減らしてあげる事もできる病気です。だからこそ、その子にとって良い方法を見つけてあげましょうね!

適正な水の量を飲ませる

先程もお伝えしましたが、尿石症の治療と予防に一番大切なことは、水をいっぱい飲ませることです!
ではどれくらい水を飲ませたらいいのでしょうか?

普通の子が1日に飲む水の量の目安の計算は・・

【 体重 X 30ml + 70ml 】

例えば体重が5キロの猫なら・・・
5kg X 30ml + 70ml = 220ml

つまり、220ml が必要な水分量の目安です!

この水分量は、あくまでも目安でありフードに含まれている水分も含めます!

しかし思ったようには飲んでくれません。そのため飲ませる工夫をしなくてはなりません。

水の飲む量少なくて、飲ませるの大変なの!
飲ませ方を詳しく教えて〜!

ハイ!この後、水の飲ませ方を詳しく説明していきますね!

好みの飲み水を与える

もともと猫は雨などの溜水を飲んでいた動物ですし、飲み水の好みは千差万別で個性そのものです。そのため考えられる、いろいろなタイプの飲み水を用意します。

そして、どのような水を好んで飲むかをチェックします。

  • 新鮮な水
  • くみ置きの水
  • 冷たい水
  • 温かい水
  • 蛇口から出る水

また水に何かを加えると、飲む量が変わることがあります。

  • チュール
  • スープ
  • 何かを浮かべてみる

我が家の猫は水の器の中にドライフードを一粒浮かべると、水の飲みがよくなります。
病院の猫はチュールをチョット垂らすと、水の飲みがよくなります。

好みの水飲み器を用意する

我々がビールを飲むなら、ドンブリよりガラスのジョッキの方が良いですよね!同じように猫も器に好き嫌いがあり、それによって飲む量が違います。

だからこそ『水をたくさん飲みたくなる、しかもより飲みやすい器』を見つけてあげましょう。

  • ステンレス製の器
  • プラスチック製の器
  • 陶器の器
  • ガラスの器
  • 自動給水器A:水が中央から湧き出るタイプ
  • 自動給水器B:水が流れ落ちるタイプ
自動給水機

我が家の猫たちは、陶器製の器と自動給水機Aが好みです。

陶器製の器

病院の猫は、陶器製の器が好みです。

適正な大きさの水飲み器を用意する

猫のヒゲは触毛:しょくもうと言われ、根元には神経が通っておりセンサーのような役割をしています。そのためヒゲが濡れるのも器の縁に触るのも嫌がる猫もいます。

そのような猫には大きな器を用意して下さい!

水飲み器を猫がいっぱい水を飲む場所に置く

ビールを飲むなら、トイレの横でなんて嫌ですよね。それは猫も同じで、水の置き場所も重要なります。いっぱい水を飲める場所を探してあげて下さい!

  • 静かな場所
  • 温かな場所
  • 玄関
  • 階段の踊り場
  • 外が見える場所
  • 出窓の陽のあたる場所
水飲みの場所の様子

水の器をキャットタワーにも置いてみました。

飲み水を置くのは一カ所だけでなく、数カ所に置いた方が飲む水の量は増える傾向にあります。

尿石症対応フードに変更する

猫の尿石症用のフードは、再発予防に効果があります。

一般食メーカーも療法食メーカーも、尿石症対応のフードを出しています。

猫は食べ物について好き嫌いはっきりした動物ですから、好むモノを与えオシッコの様子をみていく必要があります。

またドライフードは封を切って開けた最初は食いが良いですが、時間が経つにつれ食いが悪くなる傾向があります。そのため大袋より、小さな袋を購入するのがコツです!

オシッコを我慢させない

尿石症を予防するには、オシッコを我慢させないことです。そのためトイレの数を増やしたり、トイレの場所を工夫するのも大切なことです。

トイレの様子

大きなトイレを多数置いてみました。

日頃から猫をよく観察する

愛猫の日頃からよく観察しておくことも大切です。

  • 水を飲む量
  • トイレの汚れ状況
  • 体重の変化
  • 行動

などに気をつけ、早期に発見してあげることが重要です。

尿石症になりやすい猫種

  • オスの猫
  • 若い猫
  • アメリカンショートヘア
  • ヒマラヤン
  • スコティッシュフォールド
  • ペルシャ

まとめ

猫の尿石症は、日々の生活を気をつけていれば予防ができる病気です。しかし水を飲ませるのは、そう簡単なことではありません。

本当に知恵比べみたいなものですので、出来ることは我々もお手伝いします!悩まずに、早めにご相談くださいね!