Dr.Nyanの健やかコラム

【歯周病】犬の歯周病とは?症状や治療法を解説

2021.05.09

歯周病は誰もが知っている病気です。
予防しなくちゃならないとは知っているけど、歯磨きはハードルが高いですよね!
口臭は気になるけど、どうしたら良いの?

その前に歯周病がどんな病気なのか、漠然として良くはわからない・・
そんな飼い主さんに朗報!Dr.Nyanがわかりやすく解説していきますネ!

ワンちゃんの飼い主さん
ワンちゃんの飼い主さん
うちの子、とっても口が臭いんです!

それって歯周病かもですよ!
そうそう、3歳以上の犬の約80%が歯周病に罹ってるの知ってます?
Dr.Nyan
Dr.Nyan
しかも「歯周病」って「歯槽膿漏」のことなんだよ!
Dr.Nyan
Dr.Nyan

ワンちゃんの飼い主さん
ワンちゃんの飼い主さん
それは大変、ちゃんと治さないと
先生、詳しく教えて!

歯周病ってどんな症状?

シロちゃん
シロちゃん
歯周病って一体どんな症状がでるの?
まずはどんな症状がでたら要注意なのか一緒に確認していきましょう!
Dr.Nyan
Dr.Nyan

【初期症状】歯と歯肉の境目が赤い(歯肉炎)

歯周病の初期症状は、歯と歯肉の境目の部分が赤くなること(歯肉炎)です。

健康な歯は白く艶があり、健康な歯肉(歯茎)は綺麗なピンク色で弾力があります
歯垢の中に住む歯周菌が原因となり、歯肉に炎症を起こしたのが「歯肉炎」です。
歯垢とは食物のカスなどを栄養として増えた、歯に付いた細菌の塊です。

Dr.Nyan
Dr.Nyan
歯肉炎を見つけたら

・適切な治療
・口の中の環境の改善
・栄養状態の改善

これらを頑張ると歯肉炎は治ってくるよ!

【中期症状】歯肉が赤く貼れ、出血や痛みがでる

適切な治療とケアを怠った歯肉炎は・・
元の健康な状態には戻ることのできない『歯周病』へと進行してしまいます。

口の中の粘膜組織には、ウイルスなどの異物が体内に入り込むのを防ぐための「粘膜免疫システム」が備わっています。
しかし口の中が汚れていては、この免疫システムは十分に効果が発揮できません。
そのため口の中ケアが、とっても大切になります。

口の中のケアとは、歯垢や歯石を取り除くことだけではありません。
口の中に住み着いた歯周菌の数を減らさなくてはなりません。

歯周菌は歯周病を引き起こすだけではありません。
歯周菌は傷ついた歯肉から血管の中に入り込み、血液にのって脳や腎臓、心臓、肺など全身に運ばれていきます。
そして歯周菌がたどり着いた臓器に、病気を発症させてしまいします。

【こんなサインがあったら注意!】

歯周病になると、様々な症状が見られるようになります。
しかも歯周病は痛みを伴うことが多いので、よく確認してあげてくださいね!

【歯周病の症状】
・口が臭く腐敗臭がする
・口の周りが汚れている
・歯茎の色が赤くなっている
・顔まわりを触れられるのを嫌がる
・歯がグラグラしたり抜ける
・食べづらそうだったり、食べるのに時間がかかる
・固いものを食べなくなる
・歯ぐきがやせて歯が長く見える
・目の下の頬の部分が腫れる

【後期症状】全身の健康に影響がでる

歯周病が進んでしまうと、歯肉が赤く腫れ出血や痛みが出てきます。
また化膿すると、歯肉から膿が出て悪臭を放つようになります。

歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)が深くなると、歯を支える骨が溶け歯がぐらつくようになります。
そうなると歯が抜けてしまうと言う、最悪の状況になってしまいます。

犬の歯周病の様子

歯石がたくさん付いて歯周病が悪化した状態

犬歯の根の部分が化膿すると炎症が鼻の中の粘膜にまで進み、まるで鼻炎のようにクシャミや鼻水を飛ばしたり膿が出たりもします。
また犬歯が抜けてしまうと、抜けて開いた穴が鼻の中まで通じてしまっていることもあります。
しかも穴は閉じることなく開いたままになってしまう、そんなこともあります。

犬の歯周病の様子

上顎の犬歯の抜けたところに大きな穴が開いてます

歯周病による病変は、口の中だけにはとどまりません。
歯の根の化膿が眼の下の頬の部分も広がり、その部分の皮膚がブヨブヨに腫れたり穴が開いてしまうのです。
顔の炎症は薬を飲めは治りますが薬をやめると再発し、歯を治すまで繰り返し続きます。

犬の歯周病の様子

目の下の頬の部分に穴が開いてます

歯周菌が血液中に入って全身へ、そして様々な病気の原因に!
⇒ 肺:肺炎、ぜんそく
⇒ 関節・骨:関節炎、骨髄炎
⇒ 腎臓:慢性腎臓病
⇒ 肝臓:肝炎
⇒ 心臓:心内膜炎、血栓症、
⇒ 脳:認知症

歯周菌は口の中の炎症にとどまらず、全身の健康に大きな影響を与えてしまう・・
また口腔内の健康状態が全身の健康に関係していることを、再認識して下さいね!

歯周病は生命にもかかわる、重大な事態を引き起こしてしまいます。

歯周病の原因

Dr.Nyan
Dr.Nyan
次は考えられる原因について確認していくよ。

歯周病の原因は、歯周菌です!
歯にたまり続けた歯垢や歯石は、歯周菌の温床となり悪さをします。

また老齢になると唾液の分泌が衰え、口腔内の洗浄作用が落ちて不衛生な状態になります。
口の中のトラブルから水の飲む量が減ると、さらに口腔内が不衛生な状態になります。

不衛生な状態は歯周菌が広がりやすい状態です。
歯周病を改善するには不衛生な状態にならないよう対応していく必要があります。

歯周病の治療法と費用

Dr.Nyan
Dr.Nyan
歯周病の疑いがあってもあせらず治療をしていきましょう。

治療法は「歯周病ってどんな症状?」で述べた段階別(初期・中期・後期)に紹介していきますね!

【初期症状】毎日の歯磨きで歯垢を落とす

歯周病の初期症状は歯肉が赤くなる歯肉炎の状態です。
初期症状であれば毎日の歯磨きで歯周病を防ぐことができます。

歯垢はいわば「ワラで作られた歯周菌が住む家」のようなモノです。
上手に歯磨きをすれば、歯垢は壊し取り除くことができます。
また歯周菌も減らすことができます。

歯ブラシは、何でも良いわけではありません。
歯の形は人と犬とでは違うため、犬用の歯ブラシを使いましょう!
また各症状に合った歯ブラシがあります。
症状が中期に進んでも、専用のものを使うと痛がりませんよ!

デンタル歯ブラシ

症状に会った歯ブラシがあります

【中期症状】歯科処置で歯石を落とす

歯石は「石で作られた歯周菌の住むマンション」のようなモノです。
頑固で硬く作られた歯石は、歯磨きだけでは壊すことはできません。
また歯石の表面はデコボコしており、放置しておくとそこに歯垢が付いて歯石は増えていきます。

歯周病が原因の口臭や痛みなどは、初期治療として消炎鎮痛剤や抗生物質を使います。
痛いと触られるのも嫌になるし、トラウマにしてしまうことは避けなくてはなりません。

全身麻酔を行うなどして歯石を壊し除去することも、考える必要があります。

【後期症状】症状によって適切な処置をする

進行した歯周病の歯周ポケットは、とても深くなっています。
そのため歯や歯根に付着した歯石を除去するだけでなく、歯周ポケットの奥深くの歯石や感染した組織を取り除く必要があります。
しかし処置が痛かったり不安な思いをさせてしまうと、処置後に口を触られることを嫌がるようになってしまいます。
その結果、歯磨きなどのホームケアを行うことも難しくなリます。
そのようなことにならなためにも全身麻酔が必要となります。

全身麻酔を行うためには、血液検査とレントゲン検査を行います。
これは歯周病と心臓病とが密接な関係があるため、歯周病だと心臓病を患っていることが多いことからです。
安全に全身麻酔を行うためには、避けられない検査です。

■歯科処置の手順

・歯科処置前には酸素吸入と鎮静鎮痛剤を使います。
これはストレスを抑え緊張させないようにするためです。
・麻酔をかけ、処置中に誤嚥しないような処置を行います。
・超音波を使い歯石や感染した組織を、きれいに取り除きます。
・歯垢が付きずらくなるよう、歯の表面を磨きます。
・歯周ポケットの中に、歯周菌を殺す薬を注入します。

歯科処置を行っている様子

全身麻酔で歯石除去と歯周病の治療を行っています!

全身麻酔を避け、無麻酔で歯科処置を行う場合もあります。
その場合、痛みを伴いそうな場所には局所麻酔を使います。
それでも歯周ポケットの奥深くまでの治療は、なかなか難しいものです。
そのため家庭で行う歯磨きの延長にある処置と考えて下さい!

どのような場合でも、歯科処置を行わず歯周病を放置することは絶対に避けなければなりません。

治療費はどのくらいかかるものなのか。

軽度の歯周病であれば、診察と外用薬で5000円前後です。
しかし重度となり全身麻酔が必要となると、50000円〜80000円前後にはなります。
料金は抜歯など処置の内容、また心臓病などの病気により違いがでてきてしまいます。

やはり『予防に勝る治療は無い』とは思いませんか?

歯周病の予防方法

シロちゃん
シロちゃん
歯周病の予防って、歯磨きしかないのかしら?
定期的なチェックや、日頃のケアで予防することができます。
Dr.Nyan
Dr.Nyan

歯周病予防には、歯周病の初期の症状である歯肉炎の早期発見と治療です。
予防には、丁寧な歯磨きを行います。
定期的な歯周菌の検査とケアを行います。

【究極の予防方法1】粒大きめなドライフードを食べさせる

1つ目の予防方法は小さい時から「粒の大きめなドライフード」を食べさせることです。
大粒のドライフードをあげると、食べるのに良く噛まなければいけませんよね?

するとどうなるかというと…

⇒ よく噛むと顎をよく使うことになる
⇒ 顎をよく使うと唾液腺が発達する
⇒ 唾液腺が発達すると唾液がたくさん出る
⇒ 唾液がたくさん出ると口腔内の細菌の流れる量が多くなる
⇒ 歯垢が作られずらくなる
⇒ 歯周菌が住みずらくなる

つまり、よく噛むことで歯垢が作られにくくなり、結果として歯周菌が住みずらくなるのです。

歯科用のドッグフードの様子

こんなに大きな粒のフードもあります

よく噛むことで、歯の表面がドライフードで歯垢が擦れ落ちます。
これがドライフードによる歯磨き効果です。

Dr.Nyan
Dr.Nyan
小さい時からの「噛む習慣」は、老齢になっても忘れません!

【究極の予防方法2】水をよく飲ませる

2つ目の予防方法は小さい時から「水」をよく飲ませるように心掛けることです。
水をよく飲ませると、口に中は水分で潤っている時間が長くなります。

するとどうなるかというと…

⇒ 口腔内の食べかすや細菌が流れる
⇒ 歯垢が作られない
⇒ 歯周菌が住みずらい

水をいっぱい飲ませることは、ドライマウスを防ぐことにもなります。
ドライマウスとは唾液の出る量が少なくなって、口の中が乾燥している状態です。
唾液や口の中の粘膜には、歯周菌と戦う働きを持っています
そのため唾液が少なくなると、戦う力が落ちてしまうのです。

【予防方法3】デンタルケア用品を使う

唾液の分泌を促すようなスプレーやジェルも、効果があります。

デンタルガムも、噛ませることで歯石は落ちます。
その際には硬いガムではなく、軟らかなガムを使うことをお勧めします。
軟らかなガムを噛むと、歯がガムの中に食い込むため歯石が落ちやすくなります。
またガムの端を手で持ち、一気に食べないような工夫も必要です。

歯周病になりやすい犬

Dr.Nyan
Dr.Nyan
以下の犬種は要注意!上記であげた予防方法をぜひ実践してあげてください。
  • ミニチュアダックスフンド
  • イタリアン・グレー・ハウンド
  • トイ・プードルなどのトイ犬種
  • 糖尿病に罹ってる
  • 口に中が乾き気味

まとめ

歯周病は、どのような治療を施しても元の健康な状態には戻りません。
歯周病は症状がすすむと全身の健康を脅かす、怖い病気です。

また歯石を取ることが「歯科処置」の目的ではありません。
歯石を取るだけなら「歯石除去処置」ですし、ホームレス歯周菌が住む家を作り出しちゃいます。
歯周菌を住まわせない、それが本来の『口の中の健康管理の目的』です。

犬が歯磨きをしている様子

上手に歯磨きをしてあげると嫌がりません!

お家で行える範囲はお家で行い、それでも無理な部分は我々がお手伝いします!
悪さをする歯周菌を少しでも減らして、健康に暮らしましょう!

  1. 口が臭い
  2. 歯みがき
  3. 食欲がない

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