若山動物病院ブログ
原因はそれだった•••
秋の健康診断で、カルシウムの値だけが異常に高い=高カルシュウム血症だった子の再検査が行われました。
その結果は、なんと健常値に戻ってました。
そして、その治療方法として選択したものは・・・・
高カルシュウム血症の原因
その前にカルシウム値が高くなってしまうには、軽い原因から病気によるものまでさまざまです。
ではそれらについて説明します。
腫瘍(がん)
一部の腫瘍(リンパ腫や骨の腫瘍など)が、カルシウムを血液中に増やす物質を作り出すことがあります。
副甲状腺(ホルモンを出す小さな器官)の異常
副甲状腺が必要以上に働くことで、カルシウムを増やすホルモンがたくさん作られ、血液中のカルシウムが高くなることがあります。
小さな腫瘍が原因の場合もあります。
食事やサプリメント
カルシウムが多すぎる食事やサプリメントを摂っていると、一時的にカルシウム値が高くなることがあります。
脱水
脱水状態になると血液が濃くなるため、カルシウム値が一時的に高く見えることがあります。
ビタミンDの摂りすぎ
ビタミンDを含むサプリメントの過剰摂取でカルシウムが増え、血液中の値が上がることがあります。
骨の問題
骨が壊される病気(骨の腫瘍や炎症など)があると、骨の中にあるカルシウムが血液に流れ出し、高カルシウム血症を引き起こすことがあります。
慢性腎臓病
腎臓の働きが悪くなると、カルシウムや他のミネラルのバランスが崩れ、カルシウム値が上がることがあります。
治療として選んだ方法は!
健康診断で問題のあったのはカルシュウム値だけであり、食欲などの臨床的な症状は見られなかったのです。
そこで、口から入るものの全てをチェックして頂いたのです!
そして今日、再検査!
なんとカルシュウム値は、健常値になっていたのです!
原因はそれだった
小魚をおやつとして与えていたことが原因で高カルシウム血症が発生していた可能性があります。小魚にはカルシウムが豊富に含まれているため、大量に与え続けると体内で過剰なカルシウムが吸収され、血中濃度が上昇したと考えられます。
小魚と高カルシウム血症の関係カルシウムの過剰摂取:
小魚(特に乾燥したもの)は100gあたり約1000mg以上のカルシウムを含むことがあります。
猫に必要な1日のカルシウム摂取量は体重1kgあたり約100~120mgであり、小魚を多量に与えると容易に過剰摂取となります。
栄養バランスの偏り
小魚を頻繁に与えることで、食事全体のカルシウムとリンのバランスが崩れる可能性があります(適正な比率は1:1~1.5:1)。
バランスが崩れると、カルシウム代謝が影響を受け、血中カルシウム濃度が上昇します。
体質的な要因
部の猫は、腸からのカルシウム吸収が過剰になる傾向があり、食事性の高カルシウム血症を起こしやすい場合があります。
健常値に戻った理由
小魚を中止することで、過剰なカルシウム摂取が解消され、血中カルシウム濃度が正常に調整されたと考えられます。
猫の体は通常、腎臓や腸を通じて余剰のカルシウムを排泄する機能があります。
そのため過剰摂取が続くと、その調整機能が追いつかなくなります。
小魚の中止により、カルシウムの摂取量が適正範囲内に収まり正常な状態に戻ったと考えられました。
今後の対策
- カルシウム含有量が少ないおやつを選ぶ。
- 乾燥小魚を与える場合は、頻度や量を大幅に減らす(週に1~2回、少量程度)。
- カロリーや栄養バランスを考慮した猫用おやつを利用。
栄養バランスを重視
- カルシウムとリンの比率が適切な食事を維持する。
- 必要に応じて相談していただき、適切なフード計画を立てる。
定期的な健康チェック
- 血液検査を定期的に行い、カルシウム値を含めた健康状態をモニタリングする。
結論
今回のケースでは、小魚によるカルシウムの過剰摂取が一時的な高カルシウム血症を引き起こしていたと考えられます。
おやつの量や種類を見直すことで改善が見られたのは、猫ちゃんにとり非常に良い対応でした。
今後は適切な量とバランスを意識しながらおやつやフードを与え、健康を維持していくことが大切です!